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不審者

「異常なし、次!」


 私は久々に召喚魔法を使わなかった。理由としてはやっぱり男子側のような大惨事になるのではないかと言う懸念があったからだ。こう見えて一応普通の魔法は使いこなせている方である。


「珍しく普通の魔法を使いましたね、シエスカさん」

「そ……そうね……」


 ただ感覚がなかったのか平均値を余裕で上回る規模の魔法を平気で使ってしまい一部使用不能になってしまった。今の私は加減と言う言葉を知らない。


「まだ結界が張られていますね」

「一体何をどうしたらあんな強大な攻撃系魔法を打ち出せるのかしら……」

「永遠の謎ですね」


 右側のごく一部には先生が張った結界があり此処に入ると自動的に目の前が真っ暗になると言う仕様。犯人は私です、すみません。


「でもあれで異常なしなんですね」

「そもそも私の値が5千を超えて居たからね。それから見ればきっと普通なんでしょ」

「普通なんですかね」


 値が5千を超えていると言うのも不思議な話ではあるが、ともかく私は普通だった。測定の中では。


「えー、では最後の人も終わったので皆さんは各自のクラスに戻ってくださーい」


 レイカ先生が何時もの緩やかな口調で促し、クラスへ帰ってきた。自分の席へ着き、そこから闘技場を見つめるとまだ男子側から黒煙が幾つか上がっているのが確認出来る。そしてまだ男子達はクラスに戻っていない事に私は今更気がついた。


「まだ終わってないの?」

「うーん……遅いですねー」


 シャールも男子側の闘技場を見つめるがやはり黒煙が上がっているだけで変化らしい変化は見受けられなかった。が、此処で思いもよらない校内放送を耳にする。


「緊急事態発生、緊急事態発生! 校内に不審者が侵入、既に男子側の闘技場では合戦が始まっており危険な状態。先生方は速やかに女子生徒を安全な場所へ避難させるように! 繰り返します……」


 黒煙の正体は武装集団の襲撃だったようだ。すでに校内には謎の武装集団が侵入しているとの事。


「武装集団!?」

「こんな何にもない学校に!?」


 他の女子生徒が不安な表情を見せる中、レイカ先生は女子委員長に任せ危険地帯へと急行した。いや、するんかい。


「みんな落ち着いて! 焦らずに体育館へ向かうわよ!」


 避難場所とは定番となりつつある体育館。うちの体育館はとても広くこの人数なら楽に収納できるだろう。また対爆性に優れ噂では隕石規模の魔法が直撃してもその場だけ持つと言う設計なのだとか。


「賛成! 皆、今は体育館へ向かいましょ!」

「私もそう思い……ます」


 次々と賛同者が集まる中、最後尾に黙って様子を窺う一人の女子生徒が居た。名前はハツノセ・ミナミで黒髪ロングが特徴的。普段は傍観し、積極的ではないのだが。


「待って、体育館は……止めた方が良いと思う」

「どうしてよ?」


 ミナミの反論に少し強気な感じで別の女子生徒が質問に立った。


「可能性として既に体育館はその武装集団とやらに占拠されている……」

「そんな訳ないじゃない。じゃあなに? 証拠でもあるわけ?」


 後ろで三人ほどの女子生徒がコソコソしながら此方を見つめる。一方でミナミさんは次のように話した。


「これはあくまで可能性としての話。もし占拠されているのなら避難先は屋上の方が……」

「何で占拠されているって言い切れる訳ー?」

「……」


 ついに黙り始めたミナミさん。これには少し同情してしまう。


「みんなちゅうもーく! 体育館が安全だと思う人手挙げてー!」


 数秒後、私とシャールそして委員長を加えた数名意外は皆、手を挙げた。やはりあの広さには実家のような安心感があるのだろうか。


「だってさ! ねぇ委員長さん。決まったんだし早く体育館に避難しましょ!」

「うーん……でも良いのかなー」

「良いに決まってんじゃん。ねぇ、早くしてよ! もう犯人が来ちゃうかもよ!」


 若干喧嘩越しで迫ってくる女子生徒に委員長は完全に困り果てた顔。そして何故私の方に視線を向けるのか。まさか助けて欲しいと言うメッセージなのか。とにかく気まずい空気が教室に流れる。


「あーもう、委員長さんも心配屋さんだなー。はいはーい、体育館が安全だと思う人は私について来てねー、それ意外の人は自己責任でお願いしまーす!」


 するとゾロゾロと一人、また一人と彼女に連れられるかのように教室を後にした。何人かはヘラヘラしながら出て行ったが大半はお先に失礼しますといわんばかりの表情で教室を後にした。


 結局、教室に残ったのは私を含めた七人だけ。


「何で貴方達は此処に残ったの」


 少し不満げに訊くミナミさん。そこに残った一人の女子生徒が回答した。


「ミナミさんに着いて行った方が良いかなっ……て……」

「はぁー……」


 重たい溜息を漏らした後、ミナミさんは席から教室を見渡してこう言った。


「分かったよ……着いておいで」


 面倒くさそうな素振りを見せながらミナミさんは教室を後にし、私達6人はそれに続いた。その数分後、教室は流れ弾のような攻撃魔法が入ってきて跡形もなく吹き飛んだ。

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