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後日談

 結局、私はリタイヤし、勝てば宿題が減ると言う目論みは完全に崩れ去った。その後、竹富さんは一週間後に全ての宿題を提出する事になった。頑張れ、竹富さん。


「疲れたーッ!」


 部屋に戻り、思いっきりベットにダイブした私は危うくそのまま深い眠りに着きそうになった。現在の時刻はまだ夜の7時。大事な大事な晩御飯をまだ食べていないのである。


「シエスカさん! おかえりなさいです」


 一戦交えた後もあってか、シャールに合うのも随分と懐かしく感じるのは何故だろう。


「シエスカさん、今から晩御飯に行きませんか?」


 何時も通り、シャールに誘われ私は二人揃って食堂に向かった。食券を買い、後は運ばれてくるのを待つだけとなった私は椅子に座りボーとっしていた。


「そう言えばシエスカさん、レイカ先生と戦ってみた感想とか何かありませんか?」

「感想……?」

「はい、感想です!」


 シャールの瞳は輝き、私の感想を心待ちにしているようだ。少し首を傾けて今回の戦いについて振り返ってみる事にした。序盤、優位そうに見えた戦況は謎の魔法「ブレイカーダウン」によって不利になり中盤では空中で何かが爆発。終盤になる頃には完全に劣勢となり、最終的にはサブマシンガン片手に突っ込みそして詰んだ。


 自走砲が助けに来てくれたものの身長差で上がる事が出来ず、自走砲は溶岩のような火柱で溶けて私はリタイヤを選択した。


 優勢だったのは序盤だけだった今回の戦闘。やっぱり、魔法には勝てないんだなっと思った私はこう締めくくった。


「やっぱり現代兵器じゃあ勝てないよ」

「……現代兵器?」

「科学を持ってしても魔法には勝てないのね……」

「おぉ、非常に分かり易い感想です!」


 「ブレイカーダウン」、厄介な魔法が出現したもんだ。一言呟くだけで全ての電子回路が狂い、暴発を招くチート魔法。無効にする手段はないものか……。


「お待たせしましたー」

「来ましたよ、シエスカさん! ささっ、難しい事は考えずに今は良く食べましょう!」


 目の前に料理が運ばれ良い匂いが漂うが、どうも食べる気になれない。美味しそうだけど……。


「ねぇ、シャール。「ブレイカーダウン」って魔法……知ってる?」

「「ブレイカーダウン」ですか? はい、名前でしたら……」

「何か弱点はないかな?」

「弱点ですか……?」


 意外と知られている魔法のようだが、シャールの顔はキョトンとしている。その後、腕を組み何か考えているようだ。やはり手がかりはなしか……。


「魔法もレーダーのように反射できたりするのかな」


 後ろから声が聞こえた。男の声だ。


「あっ、小川さん」

「どうも……席、良いかな?」


 今山本長官から潜水艦隊を一任されている彼、小川悠馬さんの素顔を私は意外と知らない。オリジナル兵器を手がけ、その殆どはチートじみた性能を持つと言われているが……。


「……えっと……どちら様ですか?」

「初めまして。小川悠馬って言います」

「は……はぁ……」


 困惑するシャールをよそに小川さんはフォークとナイフを手にステーキを切るが……どうも慣れていない手つきのようだった。


「うーん、日本生まれ日本育ちだからナイフはやっぱり慣れないね」


 とっ言い、ようやく切り取った肉の一部を口に入れ飲み込んだ後、本題に入った。


「さて「ブレイカーダウン」についてだけど、僕はあの魔法を反射できるんじゃあないか? と考えているんだ」

「魔法を反射……ですか?」

「うん。そうだよ」


 不思議そうに見つめるシャール。魔法を反射? 彼は一体何を言っているのだろうか。


「ステルスって知っているかな」

「レーダーに映りにくくする技術の事でしょ?」

「その通り。レーダーやセンサーなどから探知され難くする技術の事だね」

「ス……ステルス?」


 ついていけず、発音が少しおかしいシャールに小川さんは何も突っ込まず話を進めた。


「ブレイカーダウンは火柱やレーザーのように物体として現れるのではなく、形のない衝撃波としてやってきた。僕は此処に注目している」

「衝撃波?」

「魔法が発動されたとき、何か風のような物を感じなかったかい? 感じていないのなら、音波的な何かで魔法を飛ばしているはずだ」


 魔法が発動したとき、風らしい風はこれと言って感じなかった。寧ろ突発的にやってきたような……そんな感じ。


「感じは……しなかったかな」

「だったら音波的な何かで間違いないだろう。電波でも構わない」


 そして小川さんはさらに話を進めた。


「電波ならステルス技術を用いて魔法を跳ね返せば良い。そこに強力な武装さえ載せれば魔法に邪魔されないチート兵器が出来るはずさ」


 ただ、ステルス技術は敵に発見され難くするための技術で何かを跳ね返すようにはできていない。一体、どうするつもりなのだろうか。


「其処は一度作ってみてからのお楽しみだね」


 そう言うと小川さんはステーキを口に放り込んだ。

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