迎撃作戦
「大きくて三つの目標を探知ッ! ほかにも多数点在しますが、これは大気圏突入により簡単に燃え尽きる物と思われますッ!」
「データーコンタクト。目標をその三つに絞れ」
イージス護衛艦「あしがら」は完全に迎撃態勢に入った。そもそも、この落下する飛行物体は以前、シエスカがとりあえず打ち上げた人工衛星の一つで、名を「はやぶさ」と言う。一方でCICに居る観測員はこの物体を「はやぶさ」ではなく、破裂した小惑星の残骸として現在も観測中である。
「目標、アーチャー、ランサー、キャスターとして固定ッ! 僚艦「きりしま」に伝達せよッ!」
「了解」
「あしがら」は同じく第2護衛隊郡に所属するイージス護衛艦「きりしま」に情報を提供する。だが、僚艦の「きりしま」も先ほどの魔法「ブレイカーダウン」によって相手の情報を上手く聞き取る事が出来ずに居た。そんな中、「あしがら」は発光信号による合図で無事、「きりしま」とのコンタクトに成功する。
「きりしま」もSPY-1が4基とも機能しなくなり、迎撃は極めて困難。さらに全ての電子機器に異常が見られ復旧の見込みはなしとの事だった。僚艦の援護を諦めた「あしがら」は単独による高高度迎撃作戦に望む事になった。
「アーチャー、ランサー、キャスター、共に標準良しッ! VLS異常なしッ!」
「誘導装置異常なし。目標、迎撃可能圏内に入りました」
人工衛星「はやぶさ」は大気圏突入後、三つの塊に分かれ、それぞれ学園の闘技場目掛けて確実に速度を上げながら突入する。この事態にシエスカはまだ気づいていない。
「発射用意……テッー!」
「テッー!」
「テッー!」
艦長が発射の号令を出し、それぞれの担当官がほぼ同時に発射命令を出した。「あしがら」の甲板に備えつけられていたVLSが6基開き、順番にミサイルが垂直に発射された。
「インターセプト5秒前ッ!」
「4……3……2……1……マークインターセプトッ!」
マークインターセプト。命中だ。迎撃ミサイルは6発中5発が命中し、三つの残骸は弾着と同時に砕け散った。さらには向こうの軌道すらもずらし、弾着予想地点だった闘技場から大きく離れ残りの少し大きめな残骸は校長先生の自宅へと落下した。
「迎撃成功ッ!」
同時に歓声が艦内に響き渡った。この日、海上自衛隊の第2護衛隊郡は宇宙から落下してくる物体三つを見事に撃墜した。
ーほぼ同時刻、闘技場ー
「あら?」
「何……? この音?」
レイカ先生は空を見上げ、私も振り向いて空を見上げた。そこには三つの黒煙があった。さっきの音は爆発音なのだろうか?
「何かが爆発したようですねー」
レイカ先生は何事もなかったかのように私に視線を向けた。
「で、どうしますか? シエスカさんの武器はもうありませんよ?」
「そうですね……ですが先生。私のマナはまだ充分にあります」
「ふふっ、そう言うと思いました」
途端にレイカ先生は私に向けて容赦なく攻撃系の魔法をぶっ放してきた。私はつかさず召喚魔法を使用し、大きな盾を目の前に召喚した。
「召喚ッ! 【ファミリーマート】ッ!」
広大な闘技場のど真ん中にファミリーマートが現れた。レイカ先生の攻撃系魔法はファミリーマートの入店音と共に開いたドアに吸い込まれ中で爆発した。ちなみに、損害は商品が倒れただけのようだ。
「今だッ! 各車、砲撃開始ッ!」
私は後方に待機している自走砲や多連装ロケット砲などに指示を出したが、砲弾やミサイルの雨は降ってこない。何故だ。
「此方、後衛部隊ッ! 電子機器に異常が発生したため、現在射角を調整中ッ! もう5分お待ち下さい!」
さきほどの魔法「ブレイカーダウン」によって射撃に必要な装置が狂っているらしい。そのため調整までに最低でも5分掛かるらしいが、戦況は5分も待ってくれない。私は海に応援要請を求めた。
「聞こえる? ミサイルの支援射撃を要請します!」
しかし、帰ってきた返事は予想外の物だった。
「別の艦隊に要請して下さい」
……ねぇ、一瞬で断られたのだけど。




