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陸自の誇り

 案の定、一対八でした。喧嘩を振った? 竹富さんは別の場所で観戦している。腕を組んで戦況を見守っているのだ。結局、戦場で直接戦うのは私一人のみ。どうやら外れクジを引いたらしい。先生達は本気だ。


「本当に一人で良いのかしらー?」


 レイカ先生が問う。良いわけがない。が、私には強力な召喚魔法がある。あれだけ色んな物を召喚しておいて未だにレベルは上がっていないがスキルは確実に身についているはずだ。こうなったら戦いは数だよ、兄貴。


「正直不安ですけど……大丈夫です!」

「それは楽しみだわー」


 戦場となっているのは円形状の闘技場。戦闘は全て中継で繋がっており皆はそれぞれ好きな場所で閲覧している。これも魔法の技術らしい。決して中継カメラなどではない。負ければ全校生徒にその恥ずかしい一部始終を目撃される。それだけはなんとしても阻止したい。


「行くわよー」

「おっしゃ、やったろうじゃあねェか!」

「ちゃんと手加減してよね、レイカ!」


 先生達の足元にそれぞれ色の違う魔法陣が浮かび上がる。戦闘が始まった。魔法陣が出現した影響か、砂埃が軽く舞った。


「オレンジスターッ!」


 まず先手を取ったのは先生側。レイカ先生が文字通り、指先から星型でオレンジ色のした謎の物体を私に向けて合計五発発射する。っと、同時に私も戦端を開く。私は少し遅れて魔法陣を展開。最初に召喚したのは陸自が誇る最新鋭戦車。10式。


 10式は車体を少しずらして角度を取り相手の砲弾を弾く体制をその機動力ですぐさま整える。アレが砲弾かどうかは怪しいところだが、召喚した10式は見事に5発とも弾いて見せた。次は此方の番だ。


「1号車より各車に告ぐ! これより反撃に転じる! 2号車は右の目標を、3号車は左を狙えッ! 本車は前方の敵をやるッ! 各自、散開せよッ!」

「「了解ッ!」」


 召喚したのは3両。それぞれが弾き返した直後、隊長車から受けた指示通りに散開する。10式の最大の特徴はスローリング射撃と呼ばれる砲撃術で、簡単に言うと走りながら砲弾を発射する事が出来るそうな。その命中率も信頼して良いほどの性能。ちなみに、この情報はログから読み取った物。


「各車、砲撃開始ッ! 撃てッ!」


 1号車は前進しながら、2号車は右に旋回しながら、3号車は左に砲身を向けつつ前進しながらほぼ同時に射撃を行った。着弾と同時に大きめの砂埃が舞い、炎と黒煙が上がる。結果は至近弾2発、命中1発。命中したのはあの熱血教師。どうやら魔法でバリア的な物を張っていたらしく先生は無傷だ。


「各車、続けて撃てッ! 目標は生き残る事だ! 各自の武運を祈る」

「「了解ッ!」」


 動きながら的確な砲撃をしてくる相手に、先生達は戸惑っていた。特に熱血先生は3号車にもてあそばれている。魔法で身体能力を上げているようだが、ギリギリのところで10式の機動力が発揮。華麗に交わし、ほぼゼロ距離で先生へ向かって砲撃する。だが近すぎるため大半を外していく。


「フリーズフロー!」


 サーラ先生は床一面を氷付けにして相手のスリップを狙う。だが、10式はダイナミックに滑りながら砲塔を自由に振り回しサーラ先生と近くに居た他の先生に向けて撃ちまくる。近くに居た先生は直撃を受け退場。サーラ先生はバリアを張り耐え忍ぶ。


「いざ、真剣に勝負ッ!」

「撃てッ!」


 一方の隊長車はレイカ先生ではなく、突っ込んできた老人の先生と格闘を交えている。老人の先生はその杖を長くしたり、頑丈にしたりして鋼鉄の戦車とやりあっている。互いに機動性は抜群。カン、カンっと言う音が響きあっている。だが3両だけでは役者不足らしい。


「召喚ッ!」


 次に私が召喚したのは空からの応援。陸自から戦闘ヘリコプターを5機召喚した。Ah-64D、アパッチ・ロングボウ。5機は陣形を保ちつつ、一人の男性教師へ襲い掛かった。男性教師が空を見上げるがそれはもう遅い。5機はほぼ同時に30mm機関砲を盛大にぶっ放す。音が凄い。男性教師は尽かさずバリアを張ったが、直ぐに割れて何百発も直撃を浴び、即座に退場。でも、大丈夫。特別な魔法によって死んではいません。重体ではありますが命に別状はございません。


「ドリームボリュームッ!」


 レイカ先生が空へ向けて言い放った。ボリュームと言う事もあって闘技場全体に馬鹿デカい雑音が流れた。魔法名に夢っと入っているが全くもって夢のひとかけらもない。そんな音だった。この爆音で10式の電子技術が多少いかれたらしいが、45度の角度にして何度か叩くと直ぐに治ったらしい。ちなみに戦車の中はほぼ無人でただ音声だけが流れている状態。一体、誰が治したのだろう……?


「此方2番機、あの馬鹿デカい音を止めてくれ!」

「此方1番機、すまない。もう少し大きな声で言ってくれ!」

「あの爆音を止めてくれッ!」

「何ー?」


 ヘリコプター隊も味方との通信が困難のようだ。だが、隊列は一切乱れない。後6人か……。


「中盤戦……かな? 良し……第二陣、攻撃開始ッ!」


 夢もない爆音は相変わらず鳴り響いていた。

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