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冗談であると信じたい

「五日にしては良く頑張りましたねー」


 結局、私は山のように詰まれた宿題を終わらせる事が出来なかった。今は職員室で担任の先生に出来上がった分だけを提出しているところだ。お隣には、同様の理由で立ちあって居る竹富の姿があった。


「竹富君は何で宿題の提出が遅れているのですかー?」

「海について調べていたところ、他の業務に追いつかず……無念であります」


 どうやらまだ、諦めていなかったようだ。


「ちなみにー、竹富君はどのぐらいの量を終わらせたのかな?」

「ハッ、100%中100%は終わらせたつもりであります。自分の中ではねッ!」


 何故私の方を見る。


「後で先生が竹富君の部屋に行くとして、シエスカさん」

「はい……」

「一応、半分は終わっているみたいなので宿題が倍になるとか、明日までに提出しろとかは言いません。終り次第提出して下さい」


 五日間、不眠不休で頑張った甲斐があった。もし、これで宿題が二倍になります……なんて言われたらどうしようかと思っていたところだ。


「先生ッ! 話があります!」

「はい、何でしょう?」

「此処は一つ、宿題をカットさせて頂きたく……」

「却下します」

「グハッ……」


 一体、彼はどのぐらいの量を残していたのか。少し気になるところではあるが、あまり深くは追求しないでおこう。


「どうしても……と言うのなら……」


 レイカ先生は椅子から立ち上がってこう言った。


「私と勝負して竹富君が勝ったら特別に、宿題の量を減らして上げましょう」

「マジっすか!? 姐さん!?」

「えぇ、おおマジです」


 姐さんには突っ込まないんだ。


「言っときますけど、ボク。こう見えて戦闘には少し自信があるんですよ」

「あらら、それは楽しみだわー。最近、私残業ばかりでねー。たまには身体を動かした方が良いと思うのよー」


 用は単なるストレス発散っと言ったところか。お疲れ様です、レイカ先生。先生ってやっぱりブラックな職業だったんですね。


「レイカ先生、ほどほどにね。相手は生徒さんよ?」

「大丈夫ですよーサーラ先生。一瞬で終わらせますからー」

「一瞬……?」


 ……もしかしてレイカ先生って実は凄腕の能力者だったりするのだろうか。


「ほう、一瞬とな? よろしいば戦争だ。ついて来たまえシエスカ君」

「ちょっと待ってよ! 何時から私が加わったの!?」

「シエスカ君、君は何時から「私には全く関係がない」と錯覚していたのかね?」


 ただその台詞が言いたかっただけのように聞こえるのは気のせいだろうか。


「ともかく、私は部屋に戻るからね! 帰って宿題をさっさと終わらせないと……」

「待ちたまえ。シエスカ君。まさか君はこのボクを見捨てるつもりなのかね?」

「……そうだけど?」

「少し迷った!?」


 ただそう言う素振りをしただけで、実際は即答みたいな物だ。ともかく、この話は私に取っては全くの無縁。竹富さんにはお引取り願いましょう。


「レイカ先生ッ!」

「あら、何かしら?」

「レイカ先生は知りたくありませんか? シエスカ君の実力とやらを……ッ!」


 何故話題をレイカ先生に振る。そして何故私の参戦を促そうとする! 何故、決めポーズを取るッ! 殴りたい、この笑顔。


「そうねぇ……確かにちょっとシエスカさんの実力は気になるかもー」


 乗らないで下さい先生。死んでしまいます。


「そんなに警戒しなくても良いのよ。シエスカさんの宿題は二倍になったりなんてしません」


 嬉しいけどそっちじゃあないよ! 先生!


「どうです? 此処はボクとシエスカ君による同盟側対、レイカ先生による連合側と言うのはッ!」

「ねぇ、その先生の連合側って……もしかして私も含まれているの?」

「連合って事になるとそうなるねー、サーラ先生」


 凄く嫌そうな表情でレイカ先生に質問し、緩やかな表情で答えるレイカ先生。こらそこ、先生達を困らせない。そして私を巻き込むな。


「おっ、何だ何だ? 面白そうな事をしているじゃあないか。ちょっと先生も混ぜてくれよ」

「ゲッ、体育の熱血教師……」

「いい加減、名前ぐらい覚えていて欲しいのだが……」


 この体格の良い男の先生は主に体育を教えるサド・リューコス先生。魔法は使えないが、武器は己の拳のみ。近接戦なら一位二位を争う凄腕の熱血教師。怒ると怖いのに加え、運動神経も抜群。だが、戦闘になると脳筋になりやすいのだとか。


「サド先生はお呼びじゃあないですよー?」

「女二人じゃあ心配でな。俺がついている。安心しろ」


 ただ自分が混ざりたいだけなのでは……おっといけない。本音が一瞬漏れかけた。


「なら、ワシも混ざろう」


 奥の扉から出て来たのは年老いた賢者。もとい教頭先生。学園の中でも魔法を任せれば最強中の最強。ちなみに歳は既に80を超えているらしいのだが身体は見ての通りピンピンとしている。だから混ざらなくて良いって。


「なら、俺も混ざるぜ」

「ワタシも良いですか?」

「腕が鳴るのぉ」

「大和魂を見せてやるーッ!」


 最終的に先生達の連合側は8人に膨れ上がった。二人から三人へ、三人から四人へ、四人から八人へ。一方の私達同盟側はご覧の通り。たったの二人。竹富さんはどうやら目の前が真っ白になってしまったらしくポーズを決めた体制からピクリとも動かない。……って事は一対八になるの?

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