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余裕の桁だ。

「では本題に入ろう」


 私は作戦研究室の隣にある部屋に邪魔している。そこはまるで執務室のようだった。立派な業務用の机と座り心地の良さそうな椅子。後はお客様用のソファーが幾つかある程度だった。私はそのソファーに座った。


「どうやらこの海域にアメリカ海軍の全戦力が集結しつつあるらしい」


 全戦力と言われても私にとってはイマイチピンと来ない。それに現代版のアメリカ海軍なら私も召喚できるはずだ。


「その軍隊って現代の軍隊ですか?」

「現代? あぁ、そうか。君は確か70年後の世界から来たのか。いやいや、違うよ。大東亜戦争当時の戦力だ」


 っと言われても分からない物は分からないのである。それにまだ九歳だし。


「規模はどのぐらいですか?」

「未確認ではあるが研究のすえ割り出された数字はざっと100隻ほど。正規空母10隻、護衛空母15隻、その他巡洋艦、駆逐艦が多数点在するとの事だ」


 さすがアメリカ様。規模がおかしい。でも、その計算だととても100隻には届かない。もしかしたら別働隊もきっと何処かに居るのだろう。海は今、アメリカで埋まっている。


「さらにイギリス海軍の艦隊も北方で発見したそうだ。勿論、機動艦隊だ。プリンス・オブ・ウェールズじゃあなかったのか……」


 確かその戦争だとアメリカとイギリスは同盟を組んでいたんだっけ。日本の同盟は確かドイツとイタリア。これでもしっかりと勉強はしてきたんだよ。Wikiの文字数を見た途端、全ての解読は諦めたけどね。


「でも100隻を超える大艦隊に山本さんは一体、どんな勝算があるとお考えで?」

「勝算? あるわけないじゃあないか。俺が暴れられるのは精々1年半だよ。それ以上はとてもじゃあないが保証できないな」


 よくもまぁ、そんな絶望的な状況を笑っていられるよね。私だったらずっとベットの中に顔を埋めているよ。


「でも、見た感じ余裕そうな表情ですね」

「そうかい?」

「はい」

「だが、今は危機的状況である事には変わりない。それだけは忘れないでほしい」

「分かった」


 そう言って私は部屋を後にした。研究室を出て廊下を歩きながら私は考える。果たして100隻を超える相手に勝つ術はあるのだろうか。そこで、私は当時のアメリカ海軍について調べてみる事にした。


ー自室ー


「おかえりなさいです!」

「ただいま」

「何か悩み事ですか?」

「いや?」


 日数はそんなに立っていないはずなのに何故か久々に合ったかのようなこの感覚。何時もの何気ないやりとりの後、私は早速Wikiを立ち上げた。つい最近、Wikiも異世界へ進出したらしい。


「何ですか? これ」

「えーっと、とりあえず魔法で言う鑑定みたいな物かな?」

「鑑定ですか? それなら私に何時でも言ってくれれば良いのに」


 君では調べられない物も世の中にはあるのだよ。ワトソン君。さてと、検索っと。


「アメリカ海軍艦艇一覧」


 この項目かな。


「アメリカ海軍艦艇一覧は、アメリカ合衆国海軍並びにアメリカ連合国海軍が過去に保有した……」


 うわっ、ログに沢山出て来た! これ全てを相手にしないといけないの!? ……何だか他人事じゃあなくなってきたような。


「凄いですね! 記事がこんなに……この青い項目は何ですか?」

「それとクリックすると詳細がさらに出てくるよ」

「へー……クリック?」


 そうだ、この世界にはパソコンがまだ普及していないんだった。思わずカーソルとかウィンドウとかシャットダウンなんて言葉を言いかけたぜ。


「……24隻? ……50隻? ……175隻!?」


 一つだけ桁がおかしい。いや、みんな桁がおかしい。どうやったらこんな数を整備できるんだ。全くアメリカは最高だぜ。


「いい戦力でしょう? 余裕の数だ、工業力が違いますよ」

「さすがアメリカ君だ」


 何故か私の脳裏に謎のコントが音声着きで流れてきた。誰よ、貴方達。


「何か今、窓ガラスが割れたような音が聞こえたけど気のせいかな? 後男性の悲鳴も……」

「あいつは良い奴だったよ。ホレッサ……」

「……誰ですか?」


 脳内だけかと思ったらどうやら誰かがキャディに乗って轢き逃げしたのかな。それよりマズはこのおかしい桁だ。


「やっぱり外の様子が変だよ!? シエスカさん!」

「ちょっと待ってそれより今、犯人を捜索中(大嘘)だから」


 えっと何々? エセックス級航空母艦24隻、カサブランカ級護衛空母50隻、クリーブランド級軽巡洋艦27隻、クレムソン級駆逐艦156隻、フレッチャー級駆逐艦175隻、ギアリング級駆逐艦96隻、エヴァーツ級護衛駆逐艦97隻、バックレイ級護衛駆逐艦154隻、ガトー級潜水艦195隻……明日寝返ります。普通、こんな桁を見たら正気になれないと思うんだけど。何、月刊空母とか。


「シャール……」

「な、何ですか?」

「明日引っ越すわよ」

「唐突にどうしたんですか!?」


 っと言うのは冗談だけにしておこう。でも、これを見た私はもう一生アメリカ海軍には手を出さないであろう。……多分もう手遅れだと思うけどね。

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