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新たな敵の可能性

「で、その航空機を運用できる潜水艦の情報を提示してほしい……と?」


 私は今、山本長官の部屋に押しかけて長官に情報の提示を求めた。

 それと同時に、敵の情報も求めた。

 海軍の事ならきっと何でも知っている山本長官。

 連合艦隊司令長官なんだもの、これぐらい知っていて当然でしょう。


「敵についての情報だが……これは間違いなく、米潜水艦のガトー級」

「潜水艦と言う事は間違いなくこの世界の物ではないな」


 まず長官が触れたのは先の戦いで戦った潜水艦についてだ。

 確かに、ドラゴンが居るファンタジーな世界に潜水艦だなんて場違いすぎる。

 しかもアメリカ製と来た。

 敵側も、この世界に転生したのか。


「出現海域はこの辺かね?」

「多分そうなんじゃない? 場所なんて覚えていないよ」

「戦場を知る事は戦略を立てる上ではとても重要な事だ、忘れないように」

「はいはい」


 やけに態度がデカいわね。

 それと潜水艦の事になるとなおさら真面目になるし。

 なに、この人、もしかして潜水艦マニアなの?


「つい今しがた、索敵に出していた潜水艦が丁度、その海域周辺で攻撃を受けた」


 長官は立ち上がって戦闘を詳しく説明してくれた。

 興味はないんだけど、私が居た周辺と言うのが少し引っかかった。


「伊七十一潜水艦はその時、浮上して航行していた。戦争中である国の様子を窺い、あわよくば近づいた船を沈める任を負っていたのだが、変化が起きたのは、敵の海岸が見え始めたときに起こった」


 長官は自分の席の引き出しから少し薄い書類を取り出した。色は薄橙色。決して思春期の男の子が持っていそうな薄い本などではない。表紙には「戦闘詳報」と記録したと思われる船の名前が記載されていた。ところで、戦闘詳報って何?


「これは戦闘を詳しく記載した資料だ。七ページ目にその時の戦闘が詳しく書かれている、見てくれ」


 っと、机に置かれても困るものは困る。こんないかにも難しそうな薄い本を渡されても誰特よ? っと、不満を心の中で漏らしつつも七ページ目を捲った。えっと、何々?


 時刻は14:23分っと。多分、私達が戦闘に直面したのもこのぐらいの時間帯のはず。もしくはその前か。内容はいたってシンプルだった。例えばその3分後に砲撃をはじめ、さらに2分後には攻撃を回避するために潜航。その後約18分程度身を潜め無事に生還したと言う物。


「その戦った相手の情報を見て欲しい。多分、目を疑うだろう」

「相手? どうせ、ドラゴンとかシーサーペントとかでしょう」

「それはどうかな?」


 砲撃開始と言う事はきっと対空戦闘。で、放った相手と言えば異世界ならドラゴンとかワイバーンであろう。それか私も知らない未確認生物か。


「えっと……敵は『グラマンF6Fヘルキャット艦上攻撃機』っと……は?」


 素で出てしまった。敵はドラゴンや未確認飛行物体などではなく、マジもんの戦闘機。その戦闘機の名前こそ初耳だけど、それよりもファンタジーな世界に戦闘機が飛び交うって図もなおさらおかしい。さらにその数は合計で8機とある。しかも編隊飛行。


 さらにその数分後、静かになって再び浮上すると今度は30機を越す大群が伊七十一目掛けてやってきたと記載されている。30機だ。絶対におかしい。


「俺は、まだこの世界に転生者が居ると確認している。それ以外にこの現象を説明できるだろうか。否、出来まい。そしてもっと最悪な展開は、この世界に、敵の機動艦隊がやってきているのではないだろうか……と思っている」


 んな馬鹿な。じゃあ何か。敵の機動艦隊が台風で遭難して其処から発進したグラマンに偶然、攻撃されたと。うーん、実にばかばかしい展開だ。


「幾ら何でもそれはありえないでしょ。じゃあ、そのアメリカの機動艦隊も敵側って事?」

「多分、そう言う事になる。今後はその機動艦隊の殲滅が第一の任務になりそうだ」


 台風で遭難ってファイナルカウントダンじゃあないんだから。あれ、あの映画って台風でやってきたんだっけ。


「ま、機動艦隊の件については置いておきましょう、今は航空機を積む潜水艦についてよ」

「機動艦隊を遊弋させるとどうなるか! 瞬く間に、この国は火の海になるぞ。放置するわけにはいかん。ミッドウェーで取り逃した米機動艦隊は必ず、この世界で叩く!」


 何かいけないスイッチが入っちゃったみたいだ。しかもミッドウェーって何処よ。さらに取り逃しちゃったかよ。


「熱が入っているところ悪いけどさ、航空機を積む潜水艦について詳しく……」

「俺は今すぐ会議を開く。コイツ(機動部隊)については早急に手を打たねば……ドーリットルはさせないぞ」


 っと言って部屋を後にした。お隣で姿勢正しく無言で聞いていた将校も一緒についていってしまう始末。あぁ、相談する相手が居なくなっちゃった。こんな時にウィキペディアでもあれば直ぐに調べられるんだけど生憎この世界にネットは復旧していないのよね。仕方がない、こうなったら最後の手段だ。出来れば頼りたくないんだけど……。


「ねぇ、今、暇?」


 直接脳内で通話を取り合う相手。それは勿論。


『はいはーいっ、この鳥海に何か用?』

「あれ? 筑摩さんは?」

『えっー、筑摩ー? 筑摩よりさー私と話そうよーっ』


 どうやら通話する相手を私は間違えてしまったようだ。

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