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鉄の塊

 翌日、私とシャールは円形状の闘技場に居た。勿論、石造りなわけだけど、石の色が白ではなくてどちらかと言えば薄黄色のようなそんな感じ。私とシャールは隣同士で座った。石なのでやっぱり冷たい。でもこれが夏だと凄く熱いのかな。


「シエスカさん! 最初の人が撃ちますよ!」

「何か凄い活き活きしてるよね……昨日と言い今日と言い……」

「だって魔法だよ! 生まれて初めて魔法を見るんだよ! ワクワクしない方がおかしいよ!」

「アッハイ……」


 正直に言えば私も今日。初めて生の魔法を見る。でもシャールほど関心を持っているわけでもない。かと言って全く関心を持っていないのかと聞かれればそれは嘘になっちゃうし……もういいや、私だって本物の魔法には興味があります。


「ではこの的に向かって魔法を撃って下さいねー」

「やってやる!」


 トップバッターは男子。杖みたいなのを構えて所謂、詠唱見たいなのを唱えた後、盛大にぶっ放した。ブワッと炎が巻き起こって的となった木の盾は燃え上がった。消化は先生が魔法を使ったけど木の的にはしっかりと焦げ目が付いた。あの威力ならバーベキューは出来そうだ。ヒャッハー汚物は消毒じゃー!


 ――それから10人ぐらいが魔法を撃ったけど正直飽きた。何か皆同じような魔法ばかり。一際目立っていた魔法と言えば7人目ぐらいの女子で、空から雷を直撃させて木の的を完全に破壊したのが一番印象に残っている。勿論、シャールも絶賛興奮中。


「次、シエスカさん」

「頑張ってくださいね!」

「う、うん」


 シャールは私に大きな期待を寄せていた。それは他の皆もやっぱり同様みたいで初日のマナ測定が大きく影響しているみたいだ。正直、周囲からの視線と期待が重い。何か凄い緊張してきた。


「では、あの木目掛けて魔法を発動して下さーい」

「わ、分かりました」


 返事は少し弱気で。これで私がごく普通の女子で且つか弱いよアピールが出来ると言う寸法。さすが私、こう言うところでは本当にずる賢いんだから! ……ずる賢いのかな?


「召喚!」


 決して魔法の詠唱が分からなかったとかではない。私の最大測定値は召喚魔法。だからこの良い機会に私は自分自身の能力を知っておこうと思って、あえて召喚魔法を使ったのだ。


「……おかしいですねー何も起こりませんよー?」


 そんなはずは無い。だって昨日はしっかりと狙撃銃とか言う危ない物を召喚してしまったのだから。これはきっと、主人公は遅れてやってくるもの! とか言うよくある展開。私は辺りを見渡した。でも何も起きない。これってもしかして本当に何も起こらないパターン?


 パタパタパタパタパタ……。


 どうやらそうではないみたいだ。私が召喚したソレは空を飛ぶ鉄の塊。そう、ヘリコプターだったのだ。……アイエェェェ!? ヘリ!? ヘリ!? 何でェ!? 昨日は狙撃銃で今度はヘリコプターですか! しかも的を当てる武器を持っている事は所謂、戦闘ヘリコプターてっ事ですか!?


「な、何だあの化け物は!?」

「魔獣だ! 魔獣を召喚したぞ!」

「空を飛んでいると言う事は……ドラゴン? それともワイバーン?」

「す、凄い音ッ……」


 女子は耳を塞いでスカートを守り、男子はヘリの突風に耐えながら空を見上げていた。正直、私は軍事に関してあまり関心が無い。なのでこれが何の兵器かはよく分からないけど、見た目から判断して間違いなくヤバい奴だと言う確信は持っていた。緑色と茶色の塗装が施されているソレはしっかりと黒字で日本語が書かれていた。


 『陸上自衛隊』……と。


「鑑定!」


 鑑定 名前【AH-64D アパッチ・ロングボウ】 分類【攻撃ヘリコプター】

 Lv:測定不能

 攻撃力:3.532


「さ、3.500ゥ!?」

「お、おかしいぞ、攻撃力がバカげてるぜ!」

「ちょっと待て! 伝説の武器よりも強いんじゃあないか!?」


 観客席。主に男子側が騒ぎ立てている。勿論鑑定をしたシャールも女子の中では一番興奮していた。でもヘリコプターで3.500てっ事は……核兵器とか出て来たときには一体どのぐらいの攻撃力になっているのか……何か出来れば召喚したくない武器ナンバー1になっている気が……。


「司令部、此方アタッカー1、目標捕捉。攻撃許可を求む。送れ」


 無線音。ますます軍隊ぽくなって来たけど、此処は剣と魔法の異世界なんだよね? それと、司令部てっもしかして私の事!? べ、別に私ごく普通の女の子だし、司令官職なんて一度も経験した事がないし……でもでも、空中で待機していると言う事は、私から直接、撃てと命令しないといけないから。


「う……撃て」

「了解、此方アタッカー1、攻撃開始。……てっ!」


 ダダダダダッ! 機関銃が回転する音と発砲音で皆のそして私の耳が立った今、いかれた。結構大きな音で耳をつんざくとはまさにこの事なんだなと噛み締めつつ私はその場で棒立ちした。


 此処は……剣と魔法の異世界だよね?

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