怪奇現象?
「この部屋……何があるんだろう」
食事も済ませ、私は一足先に寝床についていた。
そう、あのティーレの倉庫……ゲフンゲフン。
空き室だ。
床は教室を思わせるような木造。
壁は石造りか。
ベットが一つに、机と椅子が一つずつ。
机と椅子に関しては多分、慌てて引っ張ってきた物だろう。
若干、埃……ゲフンゲフン、白い何かが被っている。
掃除をする余裕が無かったのかな。
ベットの近くには小さな本棚もある。
えっと、マンガとラノベが上下にぎっしり。
暇な時に読んでほしいてっ事なのかな。
しかも文字は日本語。
此処で読んでもし、監視カメラとかあったりしたら。
……確実に日本人だってバレちゃうね。
タイトルは、ラノベの方、何だか異世界物が多いような。
後、マンガは学園物?
「ん?」
今、何かを感じた。
誰かに見られている視線ぽいっ何かを。
やっぱり、監視カメラとかが仕掛けられているのだろうか。
この部屋の何処かに。
例えば……。
此処とか?
観葉植物の裏側とかに……。
「……無いわね」
じゃあ、葉っぱは……無いね。
定番の天井の角には……なし。
机の引き出しの裏……暗くてよく分からないわね。
おまけに引き出しは鍵が掛かっているし。
「電気でも付けましょうか」
日本だとスイッチがあるはずなんだけど。
……あった。
何処まで向こうの世界に近づけているんだろう。
まさか、剥がして持ってくるわけには行かないしな。
それに何度も向こうに戻れるわけでもないし。
……あっ、天井の電球も平で丸いやつだ。
向こうの物だと、このベットももしかして。
ニトリ製?
パンッ……パンッ、パンッパンッ!
「へっ、今の何?」
思わず声に出た。
何か、手のひらで叩いたような音。
拍手ではない。
一定の間隔で数回ずつ。
こう言うの、ちまたでは何て言うんだっけ。
パンッ……パパンッ!
ほら、また聞こえた。
ちょっと、今の時刻は何時何分よ?
窓から見える色は黒。
真夜中の何時かしら。
「えっと……深夜の3時?」
何と運の悪い時間に起きた物だ。
この時間は所謂、丑三つ時と言う奴じゃあないか。
よくユーチューバーがこの時間帯に心霊スポットに行って。
何かしらの現象は撮ってくるけど、幽霊みたいなのはでないと言うアレか。
でも、この店は見た感じ繁盛こそはしている。
お客様の雰囲気も嫌そうではなかった。
一階は全く、こんな雰囲気を感じなかったのに。
……まさか、私が知らないだけで、此処は実は。
「事故物件」とかだったりするのかな。
……考えるだけで身震いがしてきた。
しかもこんな時に鳥肌も少しずつ、しみじみと出て来た。
ヤバい、ヤバいよ! この部屋!
本当に幽霊がいるんじゃあないの!?
キィィィ……。
「ひゃい!?」
な、何、今の音!
まるで、黒板を爪で引っ掛けたような、あの不快音!
あれを此処で再現できる物と言ったら!
「……これよね」
そこにはすでに引きずられた椅子があった。
いかにもなオーラを放ちながら。
「あれ、少し引こずられた跡が……?」
普通、椅子を引こずっても、こんな焼かれたような跡はつかない。
いや、着くのは絶対におかしい。
コトッ……。
「こ、今度は何!?」
何かが倒れたようだ。
でも、この部屋に倒れそうな物てっ……。
あっ、あったわ。
ベットの近くにある本棚の上。
何か頑丈な花瓶が。
土が酷い具合に散乱している。
中身の花もグッタリと萎れている。
と言うより折られたような感じになっている。
いやいやいや、勘弁して下さいよ!
私、こう言うの絶対に嫌なんだけど!
ゾンビ系だって!
ゲームだって、心霊スポットだって!
怖い話だって!
みんな、皆! 今まで避けて通った道なのに!
なのに、何でこんな部屋に割り当てられなくちゃ、いけないの!
これじゃあ怖くて眠れないよ!
明日、絶対にタクシーの中で寝ているパターンだよ!
「フフッ……」
うわぁ……耳元でささやかれたよぉ。
葉っぱの音じゃあないよ。
右側から確実に女の子の声が聞こえたよ。
しかもフフッてっ。
逃げよう。
此処は一時撤退だ。
此処に居たら確実に憑かれる。
私の直感が今、音速の速さで駆け抜けて行ったよ。
脳内を。
ガチャ、ガチャ……。
……は?
ガチャ、ガチャ……。
ちょ、ちょっと、何でこう言う時に限って鍵が!
「ミ・ツ・ケ・ター」
何でカタコトなんですか!
ヤバいよ、背後から凄い気配を感じる!
昔、日本には商売繁盛か何かで座敷わらじが居たと言う話があるけど。
この声帯は間違いなく、悪い方の霊だよ!
……ん? でも、ちょっと待てよ。
何を焦っているんだ、私。
まだ十歳だけど、私にも除霊ぐらいできるんじゃあないかな?
この世界の霊は多分、ゴーストとかそう言った部類だと思うし。
それに、なんたって今の私には「召喚魔法」があるしね!
「召喚ッ!」
私の周りをカッとした眩しい光の玉がふわふわと舞い始めた。
そして、その光の玉の中から何かが出て来た。
一つの札、多分、除霊用のだろう。
これは妥当だ。
そしてもう一つは何かのステッキらしき物。
杖をデコレーションしまくった物で。
外観はまるで魔法少女とかが使っていそうな物。
何で、これが出てきたし。
次に最後の光の玉だ。
出て来たのは、この部屋を簡単に吹き飛ばすある物だった。
……手榴弾だった。




