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ティーレの店員さん

 私はまず、スプーンでその自称。

 『卵』を試しに割ってみる事にしてみた。

 すると直ぐにスプーンが奥まで入った。

 サクッと。

 そしてとても柔らかそうだ。


 これは……そうね。

 完全にアイスクリームだわ。

 しかも良く出来ている。


「うん……おいしい」


 何かアイスクリームの周りに汁みたいなのが。

 これは溶けたアイスかな。

 ちょっと飲んでみよう。


「……やっぱりアイスの味だ」


 ハーゲンダッツではない。

 そもそも買った事がないけど。

 多分ね、このアイス。

 どちらかと言えばモウ?

 あっいや、スーパーカップ?


「スーパーカップはないか……」


 もう一口食べる……と言うより飲んでみた。

 スーパーカップではない。

 じゃあ何だろうか。

 市販で売られているもので近い物……。


 まさか、あの有名な「31」じゃあないよね。

 あれはもう少し。

 こう、違う気がする。


「ま、いいや。次に……」


 この凄い緑色のドリンク。

 緑と言うと紫と並ぶ所謂、毒のような。

 なんかまがまがしい色だと思っているんだけど。

 共感する人居るかな?


「炭酸は入っていなさそうだね……」


 炭酸特有の泡は一切立っていない。

 じゃあ無難に普通のメロンジュースだろうか。


「さすがに何かのエキス……と言うわけはないよね」


 考え過ぎにもほどがあるか。

 私はひとまず飲んでみる。

 うん、喉越しも思っていたより良い。

 何処か優しくて爽やかだ。


「以外とおいしかった」


 完食。

 アイスは冷たくて夏場には丁度良く。

 メロンジュースらしきドリンクもおいしい。

 また今度、思い出したら立ち寄ってみようかしら。

 他にも気になる名前があるしね。


 例えば……『コブリンのソテー』とかさ。

 此処てっ喫茶店じゃあないの?

 フランス料理ぽいっ名前だし、それに。

 コブリンとかさ。

 まさか、本当にコブリンのお肉を使うのかな。


 上手に炙って、包丁でスライスして。

 その肉にぴったりと合うソースなんかもかけてみたりして。


 てっ、その前にコブリンを勇者様に討伐してもらわないとね。

 この世界にも肉を解体する専門の業者が居るのかな。

 肉解体専門業者的な。

 ……そう考えたらちょっと怖くなってきたな。

 一体どんなパイプを持っているんだろう。

 このお店。


 店長は一体、何者なのかな。


「ごちそうさまでした」

「お会計は此方です」


 メイドさんに案内されて私はお会計の前に立った。

 さてさて、金貨は一体何枚かな。

 喫茶店だから多分……三枚とかかな?

 今の所持数は金貨が五十枚。

 それと銀貨が六枚ぐらい?


 銀貨は何かお釣りとして出てきたんだよね。

 日本円で一枚幾らかな。

 結構純粋な銀と金なんだよね。


「ピッ……ピッピッ、ピッ」


 うん? 何だろう、この音。

 何処かで聞いた事のある、懐かしい音。

 お店でよく聞くあの音だ。


「レ……レジッ!?」

「は、はい? 何でしょうか?」

「あっ、何でもないですよ? 気にしないでください」

「は、はぁ……」


 ピッ、ピピッと懐かしいレジの音。

 前世の夏休み、一体どれほどお世話になった事か。

 そして私はある事に気がついてしまった。

 店員さん、もといメイドさんの名札。

 そこに書かれた文字は何と……日本語だったのだ。


 へ? 同じ日本人?


「高月……さん?」

「ヘッ!? 何で私の名前を知っているんですか!?」


 余計な事は言うもんじゃあないね。

 その一言で店内は一気にざわつきだした。

 多分、お客様でこの文字を読めた人は一人も居なかったのだろう。

 と言うよりそれが前提のこのお店。

 しかし、見知らぬ少女。

 しかも十歳の少女が、普通は読めない文字を見抜いてしまったのだ。


「い、今、あの娘、日本語を読めた……のかな?」

「えぇ、間違いなく読んだわ」


 店員さんのざわめきは次第にその場に居たお客もざわつきだす。

 何か少しややこしい事になってきたような気がする。

 はやくこの状況を打開しないと。


「あ、あの……その、別に気にしないで下さい」


 と言っても、時すでに遅し。

 気にしない人など、店内には何処にも居なかったのだ。

 ひとまず、ざわめきを押さえるために私は厨房の奥へ。

 軽く職質とか任意同行のようなそんな感じ。

 見たところ、この店の店員さんはほとんどが女性。


 皆、日本人だ。

 男性陣は臨時的に厨房に出て店のざわめきを押さえた。

 ざわめきを押さえた後。

 男性陣が接客に周り女性陣は私の職質に立った。

 いや、立たなくても良いって。


 ベツニワタシアヤシイモノデハアリマセン。


「ねぇねぇ、君てっもしかして日本人?」

「もしかしなくても、それ以外しかありえないでしょう」


 少しロリっぽいメイドさんが聞いてきて。

 そしてさっきのクールぽいっメイドさんが首を傾げる。

 だから、私は決して怪しい者ではありません!

 あまり此処に長居すると馬車の人がくたびれちゃいそう。

 とくに泊まる宿も決めていないし。


「すみません、その、私、少し急いでいるんですけど」

「ねぇねぇ、これから一体何処へ行くの? 日本人さん」


 あぁ、もうこの人達には私が日本人である事が前提みたいなのね。

 帰っても良いかな、私。


「清水寺とか知ってるよね! 東京スカイツリーとかさ!」

「後、東京も、大阪も、北海道だって知っているはずよ」


 だから質問攻めは止めて下さい! 十人以上で話さないで!

 私、聖徳太子じゃあないんだからさ!

 あっ、思わず口に出すところだった。


「ほらほら、お客さん困っているでしょう? 貴女達」


 振り返ると仕事がひと段落したのか、厨房から一人の女性が。

 やはり同じ日本人らしい。

 雰囲気から察するに、旅館などで言う女将とかだろうか。


「名前は何て言うんだい?」


 ……まだ職質を続けるんですか。

 しかもデリケードな部分を。

 さて、どうしようか。

 安価で決めるとこう言うのは怖そうだ。


 シエスカと名乗るか、それとも……。

 盛岡小倉と名乗るべきか……。

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