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アブナイ喫茶店

 結局、私は遊び倒された。

 あのの元気の源は一体何処に。

 走り回ったり、飛び跳ねたり。

 カードゲームをしたり。

 カードゲームと言ってもトランプのような物。


 基本的に後半戦がカードだった。

 神経衰弱や、普通のルール。

 UONとかもやっかたかな。

 これがあの娘、強いんだわ。

 私は十回ぐらいやって、たったの二回だけしか勝てなかった。


「また遊ぼうね! シエスカー!」


 王都から学園に帰る日。

 妹様から招待されたけど、もう勘弁して下さい。

 回復薬が1セットあっても足りません。

 毎回精神と言う名の体力ゲージが赤ギリギリです。

 一日寝たお陰で、辛うじて歩ける程度。


 盗賊と出くわしたらもう、戦車を乗り回すしかない。

 剣を振るえと言われても私は戦車に乗るもん。

 だってその方が歩くよりは楽そうだし。

 装填だって、操縦だって、射撃だって全部自動だもん。


「はぁ……疲れた……」


 元をたどればあの、山本長官が土地を貰おうと言い出したのが一番の原因。

 とんでもない規模を突きつけた後。

 私を白昼堂々置き去りにした。

 そうだ、元の原因はあの、山本長官だ!

 今度絶対、美味しい物を高値で奢ってもらうからね!

 覚悟しておいてよね!


「でもやっぱりタクシーは便利だわー」


 さすがに二日掛かる学園まで徒歩で行くわけには行かない。

 しばらく歩いた後、タクシーを召喚。

 そのまま学園まで走ってもらう事にしたのだ。

 しかし今年の夏休みは大冒険の連続。

 王都へ行って帰ってまた王都に行って帰って。

 ……あれ? 王都にしか行ってなくない?


 でもま、まだ夏休みは三週間以上あるわけで。

 何かしらのイベントは起こるでしょう。

 ハプニングと言う名の。


「ん?」


 タクシーの車窓から何かが私の目に飛び込んできた。

 レンガ作りのおしゃれな外観。

 喫茶店だ。


「ヘイ、タクシー。ちょっとあのお店に止まって」


 駐車場はないけど強引に店の近くに停車。

 召喚した物なのでお駄賃はタダ。

 何処まで行ってもタダなのだ。


「喫茶店だ……」


 タクシーを降りた後、早速店内に。

 心地良い鈴のような音がドアを開けたと同時に鳴り響く。

 コーヒーの良い香り。

 王都の町外れにありながら荒らされた形跡はなし。

 年齢層はバラバラ。

 異世界なので人種もバラバラ。


 喫茶店の中身てっこんな感じなんだ。

 私、スタバすらも入った事ないからなー。

 そう言えばスタバの正式名称てっ何て言うんだっけ。


「いらっしゃいませー、お一人様でしょうか?」


 お一人様。

 何故だろう、少し心に響くこの言葉。

 と言うより10歳の女の子が喫茶店に行くなんて。

 すっごいシュールだよね。

 ま、一応精神年齢は高校生だから気にしないんだけど。


「はい……一人です」

「では此方の席へどうぞー」


 店内もそれぽいっ雰囲気と来た。

 私は二人掛けの席へ案内されて席に着いた。

 しばらくするとメニュー表が。

 さてさて、メニュー表には何があるんじゃろな。

 喫茶店だからきっと……。


 コーヒーとかカフェラテとか。

 ケーキとかアイスとかかな。


「えっと……」


 シャールに放課後文字を教えてもらい読む事に支障はなくなっていた。

 この店の名前は喫茶店「ティーレ」。

 お水が運ばれてきた頃。

 驚愕の事実を私は知る事になる。

 この文字てっさ……どう見ても。


 日本語だよね?

 そう言えばおしゃれな看板の文字もカタカナだったような。


「えっと……『ドラゴンの……卵』?」


 何だ、このネーミングセンスは。

 喫茶店だよね。

 喫茶店だよね?


 『魔王のジュース』に『地獄のシュガータルト』……。

 『ウィングケーキ』に『カブリ海の泉』……。

 喫茶店のメニューにしては、その……溢れ出んばかりの中二病が……。

 この世界になるべく寄せているのかも知れないけどさ。

 『ドラゴンの卵』てっ、直球過ぎるでしょ。


「メニューはお決まりですか?」

「へっ!? あっ、ハイ……その……」


 メイド服に猫耳の帽子?

 まぁ、いいや。

 多分、そう言う趣旨が好きな人向けのサービスだろう。


「あのー……この『ドラゴンの卵』を下さい……?」

「疑問系? あっ、かしこまりました」

「『ドラゴンの卵」 がお一つ。お飲み物は?」


 お飲み物と言われましても……。

 じゃあ……。


「この『エメラルドグリーンの池』で……お願いします」

「かしこまりました。 少々、お待ち下さい」


 やっぱり変わってる店だ。

 何か池てっ言い方、少し嫌だな。

 もう少しなかったのかな。

 例えば……そう……『海』とかさ。

 あれ、私もそっち系の趣向になってきてる?


「水は……普通よね」


 此処で一服。

 良かった、水だけはさすがに普通だ。

 何処でもだされそうな白い縦長のコップに氷。

 夏だから丁度良い。

 

 数十分程度かな。

 窓をボケーと見てると、本命が運ばれてきた。

 あれ、人が変わった?


「お待たせいたしました、『ドラゴンの卵』です」

「アッ……ど、どうも」


 思わずペコリ。

 何かクールぽい女の人だ。

 年齢は高校生ぐらいの。

 クールぽいっけどネコ耳は必須装備なんですね。


「えっと……『ドラゴンの卵』……ですよね?」

「はい。それがどうかされましたか?」

「あっ、いえ別に……」

「……此方、『エメラルドグリーンの池』です」


 色濃ぉ!?

 えっ、何これ。

 何か、カキ氷のメロンシロップをそのまま注いだかのような濃さ。

 飲んで大丈夫かな。

 凄い喉が渇きそうなんだけど。


「どうぞ、ごゆっくり」


 一礼して伝票を置いてスタスタと厨房へ。

 えっとぉ……一つ良いでしょうか。


 これって、人が食べても大丈夫ですか?

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