鳥海は幼女
まさか、此処までてこずるとは思ってなかった。
料理を冷めさせないように大掛かりな艦隊を向かわせた。
基本的に目視で発見し目視で攻撃をする。
非常に火力重視な艦隊編成。
しかし実際は至近すぎて戦闘にならないと言う結果に。
すでに五隻も海の底。
私は昔の船には頼らずに、所謂、テクノロジーで対抗しようと思う。
「護衛艦隊に連絡して。これよりミサイルによる迎撃を行う!」
「了解!」
ミサイルと言う単語が出た時。
王族と政治に関わる面々が首を傾けた。
やはり知らないらしい。
もしやとは思ったが、一から説明しなくちゃあ行けないかしら。
と言っても私も軍事には詳しくないし……。
「すまない……そのミサイルとやらは?」
「は、はい……えっと……」
「絶対に外さない大きな矢……ですかね?」
以外と説明しにくい物だ。
前世であればよくニュースでも耳にするし。
それに前世でミサイルと言う単語を説明した事がなかった。
ま、友達が少なかったし。
それに皆、軍隊には興味を持っていなかったしね。
「此方、イージス護衛艦『ちょうかい』、作戦行動に入ります」
「『ちょうかい』、戦闘を許可。そっちの判断に任せる」
「了解」
多分、向こうの指揮官だと思うけど。
確か護衛艦も私が召喚する限りは無人だよね。
てっ事は今は無人の艦内に声が響いている事になるのかな。
……軽く怪奇現象ね。
「此方P-3C、ターゲットに近づく艦あり!」
近づく艦?
てっきり皆怖がって距離を取ったと思ったんだけど。
「何処の船?」
「大日本帝国海軍所属。重巡洋艦『鳥海』です」
ほう、中々骨のある奴がいるじゃあないの。
にしても鳥海とちょうかいか。
面白そうな画が取れそうね。
「鳥海? 聞こえる?」
「はいはーい! お呼びですかー?」
少女の声だった。
声帯から察するにまだ小学生のような幼女の声だ。
中に人がいるのだろうか?
しかもロリロリしぃ幼女が。
「えっと……貴女は?」
「鳥海だよー! ちょーかい! ち・ょ・う・か・い!」
ふざけているのだろうか。
幼女にしか聞こえない声は高々しく鳥海と名乗った。
70年前の重厚感溢れる船に幼女。
まるで何処かのゲーマーが喜びそうなシチュエーションだ。
残念ながら今の私は同じぐらいの幼女ですけどね。
見た目は銀髪幼女。
頭脳は女子高校生てね。
「あー、鳥海ちゃん? 貴女は今シーサーペントを追っているの?」
「シーサーペント?」
どうやらガチの幼女らしい。
何故、男しか居ないはずの軍艦に幼女が居るのか。
謎は深まるばかりだ。
「何をしているの?」
「目前の大きな海蛇を追ってるのー! アイツ、ちょー速いんだよー!」
ハハ、どうやらこの娘には敬語が備わっていないみたいね。
何処か無邪気なところもあるし。
もしかして鳥海てっ見た目はかっこいいけど精神年齢が10歳前後なのかしら。
まぁ、いいわ。
「今からその海域にミサイルが飛んでくるわ。離れなさい」
「仲間がやられたんだよ!? 放って置くわけには行かないよー!」
「私が自ら成敗してやるんだからー!」
無線越しでも響くキーンと言う不快音。
耳がおかしくなりそうだ。
でも一応仲間意識はある見たいで、仇は私が取る!
と言い張って此方の言う事を一切聞かない。
子供だなー。
本当に幼女が指揮を取っているのかな。
てっきり無人艦かと思っていたんだけど。
「此方、P-3C、鳥海、間もなく主砲の射程圏内に入ります」
「哨戒機。鳥海との連絡は絶って頂戴」
「は……はぁ? 分かりました」
無線の切れる音。
これで鳥海(幼女)からのうるさい声は聞かずにすんだ。
これだから幼い子の相手は嫌いなんだよね。
言う事は聞かないし、妙に意地っ張りだし。
「ちょっとー! 何で無線を切っちゃうのー! 撃っちゃうよー!?」
「あぁもう! うるさいなー! 勝手に撃てば良いよ!」
「良いの!? やったー! 砲撃開始! 撃てー!」
重巡洋艦と言う事はあって砲撃音は絶大。
無線越しでも聞こえる煙の音と爆発音。
20時31分。
重巡洋艦鳥海(幼女)は敵に向けて最初の砲撃を行った。
と、同時にイージス艦「ちょうかい」もその弾頭を捕らえる。
さすが最新のテクノロジー。
弾頭の重さ、速さ、予想落下地点まで何でも出てくる。
幼女が操っている割には中々正確な着弾点。
しかし正確なだけで今の所命中弾は無し。
ただ無駄に水柱が立つだけだった。
私はこうなるよねと思い、ミサイル攻撃の準備を始めた。
「『ちょうかい』、ミサイル発射準備」
「了解、弾種艦対艦ミサイル! 目標加速しつつ有るシーサーペント!」
「以後シーサーペントを「α(アルファ)」と仮名!」
レーダー上の赤点にαの文字。
これで本格的にミサイルによる迎撃作戦が発動する。
料理は既に冷え切ってしまった。
しかし、今はそれどころではない事も確かだ。
「α、本艦との距離約3000! SSM-1B発射準備完了!」
「撃て!」
「ターゲットα、SSM-1B、撃ち方始めー!」
VLSと言う垂直発射装置の蓋がパカッと開く。
すでに発射段階は秒読みいや、それ以下になった。
「撃ち方始めー!」
「撃ち方始めー!」
発射のボタンが作動しようとしたまさにその時。
レーダー上に異変が起きた。
監視係の音声が注意を呼びかける。
「待って下さい! 目標に変化あり、αと鳥海が重なり合います!」
……な、何だってー!?




