パーティーの来客
その日の夜、私は王様が主催する晩餐会に参加していた。
服装は普通に学園の制服のような物。
それに比べ王様はしっかりと服装を整え。
そしてその妻みたいな美人さんはドレスを着こなしていた。
真っ白な綺麗なドレス。
娘さん。
つまりお姫様も薄黄色のドレス。
綺麗ではあるけど何処か質素な感じ。
その日の晩餐会の出席者は私を含めて十数人。
メインは勿論、王様一族と多分私。
両脇に座っているのは国防大臣とか。
外務省のお偉方とか。
それと親族らしい人達も座っているみたいだ。
勿論、皆が皆貴族である。
唯一の平民らしい平民は私一人だけ。
とてつもない場違い感を私は感じた。
「本日この晩餐会を開いた理由はほかでもない」
「彼女、シエスカ・エーレットの勝利を祝っての事だ」
「彼女の勝利はいわば我が国の勝利と言っても過言ではない」
ところでその言い回し方は今まで勝利した事がないのかな。
「それと、これも是非そなたに受け取ってほしい」
王様が指をパチッと鳴らすと執事と何人かの人が裏から出て来た。
少し地位の高そうな人が何か黒くてピカピカした箱を持ってきた。
王様自らが箱の蓋を開けて私の近くへやってきた。
私も席を立って王様の前にとりあえず形だけ膝を床につける。
顔を上げよと言われゆっくりと感覚で顔を上げる。
「これはいわば王族の仲間になったような物じゃ」
「これを身に付ければ何時でも自由にこの城へ入る事が出来る」
「有用に活用してくれ」
箱から取り出したのは金色のバッチのような物。
とても小さくてなくしたら確実に見つからないような代物だ。
服にとりつけるクリップのような物も金色で裏についている。
これは王様の目の前で装着しても良いものだろうか。
受け取った後、チラッと王様の様子を窺ってみた。
すると凄い眼差し。
これはつけてほしいと言う合図だな。
私は学生服の右胸のポケットにつけてみた。
黒めの制服に金色のバッチがよく似合う。
しかし銀髪のショートにこの格好は似合うのだろうか。
「おぉ、良く似合っておる」
「これでそなたは国が公式に認めた官僚の一員じゃ」
官僚確定なのね。
名目上はどの部類なのだろうか。
やっぱり国防関係か。
ぶっちゃけ軍事に関しては本当に素人なんだけど、いいのかな。
「では、これより彼女を迎え入れる意味も込めて晩餐会を開く事を宣言する!」
一応拍手上がるんだ。
メイドさん達が料理を横から差し入れてきた。
最初はスープみたいな何か。
色は薄黄色で何処かコンポタージュのような見た目だ。
上にパセリのような粉サイズの葉っぱが乗っている。
勿論、スプーンも銀色でピッカピッカだ。
見事に洗練されている。
やっぱり異世界の王族の料理てっ皆、こんな感じなのだろうか。
「あ、あのこのドリンクは……」
「はい。シャンパンで御座いますが?」
シャ、シャンパン!?
前世でもまだ高校生。
現在の年齢はまだ十歳。
日本国では完全に法律違反で直ぐに警察署行き。
お酒は二十歳から。
しかもしょっぱなからシャンパンてっ。
きっと王様、シャンパンが大好きなんだろうな。
しかも平然とまだ私より少し年上かと思われるお姫様もお酒。
同じようなシャンパン。
でも未成年と言っても分からないだろうな……。
「すみません、私お酒は苦手で……」
「ほうか……ではシャンパンをジュースに替えてきなさい」
「かしこまりました」
メイドさんが先ほどのシャンパンを下げ。
そして別のメイドさんが数分後、何やらリンゴジュース的な物を持ってきた。
炭酸ではない事を確認済み。
王様達はすでに食事を始めたようだ。
食器の音が部屋に響く。
私は先ずこのリンゴジュースのようなドリンクを一杯口にした。
……リンゴ?
リンゴではない何かと言うのは直ぐに分かった。
でも何だろうこの味。
梨でもなければレモンでもない。
この世界独特のフルーツなのだろうか。
そうじゃないとこの未知の味は納得いかない。
でも味は悪くない。
テロンテロン、テロンテロン、テロンテロン。
「何事だ!?」
突然、スープを飲もうとした私の懐から警報音が鳴り響く。
一番近い音は緊急地震速報だろうか。
不快な音がパネルを出すまで鳴り続けた。
パネルを見ると何か赤い光点が領土に近づいてくる。
一つだ。
たった一つの光点だった。
この一つのために会場の雰陰気はただ落ちだ。
「何事かシエスカよ」
「あ、あっ……はい。どうやら敵が領土に近づいているようで……」
「このタイミングでか!?」
一番驚いた表情をしていたのは国防大臣のような軍服を着たおじさま。
茶色い髭が少し目立っている。
胸の勲章の数から確実に元帥とかその当たりの人だろう。
「それは誠か!?」
それは私に向かって言っているんですか。
国防大臣さん。
「みたいです……早期警戒機からの報告では確かに」
「警戒機?」
そうか。
この世界にはそもそも飛行機と言う概念すら無いんだった。
じゃあ今までどうやって海の上の警戒をしてきたんだろう。
もしかしなくても帆船とかを浮かばせていたのかな。
私は信じきれていない国防大臣さんにパネルの画面を見せてみた。
尋常じゃあない速度でしっかりと近づいてきている赤い光点。
でも一つだけ。
何が目的なのだろうか。
偵察? 威嚇? それとも一撃離脱か?
「直ちに自分は国防会議に赴きます」
「その必要はありません!」
私は立ち上がって国防大臣を止めた。
そうだ。
この場で未来の科学の力を魔法族に見せ付けてみよう。
「今、この場で撃墜して見せます」




