アイス
異世界にも夏休みが来ました。
でも、私に休みはありません。
毎日のようにしつこくやってくる敵国のドラゴンを相手に。
私は日々戦闘機でこれに当たっているのです。
熱くても寒くてもこの日常は変わりません。
……正直、休みたいです。
幾らなんでも毎日来すぎじゃあないですかね。
しかもドラゴンを扱うあたり、本当に洗脳系の魔法があるのではないか。
それか専用に飼育しているのか。
飼育しているのなら数に限りがあるはず。
今の所大規模な侵攻はなし。
とても平和な日々が続きます。
夏休み初頭。
私は息抜きのためにプールへやってきました。
異世界にもプールはあります。
とっても広いです。
学校のプールや市民プールとは比べ物になりません。
これで学園専用のプールなんだから本当。
どれほどの敷地を備えているのやら。
この間だって図書館に行った時は本の博物館かと思ったぐらい広かったんだもん。
この世界では何でもスケールが違います。
「シエスカさん! 一緒に泳ぎませんか?」
「この服装で泳ぐとも?」
「ですよね……私、ちょっと泳いできますね」
「行ってらっしゃーい」
水着回と思った? 残念、私服回でした。
異世界にも水着の一枚や二枚。
一種類や二種類存在するのです。
際どいものから身体を完全に覆うような物まで。
そして、スクール水着のような物まで。
異世界には何でも揃っているのです。
そして買いに行く場所はなんかショッピングモールのような場所で。
これは学園には備わっていないけど、シャールは親からの仕送り物。
スクール水着のような物かな。
アリスちゃんは今日は自室でのんびり。
私ものんびりしたい。
国から正式に任命書を校長先生から貰って、海岸を固めて。
後は極秘の港に潜水艦やら護衛艦やらを泊めて。
空港には常に戦闘機を緊急配置で待機。
勿論、迎撃ミサイルも完備してちゃっかり宇宙センターもどきも作って。
はぁ、私の休みは何時かな。
国王様の許可がない限り、向こうには攻め込めないし。
追い払らっても追い払らってもドラゴンは毎日来るし。
もう、殺っちゃっても良いよね。
威嚇だけで背一杯。
「シャール楽しそうだな」
自由気ままに泳ぐシャールを尻目に私はパネルを出す。
マップと各地のライブ配信。
そして兵器の稼働率なんかがほど細かく記載されている。
マップのようなレーダーには常に戦闘機が五機必ず飛んでいる。
そろそろ敵国もこの国が新兵器を持ったてっ知る頃だろうか。
対抗策を練っていそうで怖い。
「ちょっ!?」
パネルの画面と映像が急に乱れた。
シャールが水を私にかけて来たのだ。
しかもたっぷりと。
あぁ、服が結構濡れちゃったよ……。
「ちょっと! シャール!」
「此処までおいでー」
ぐぬぬぬ……今は私服で泳ぎづらい。
そしてこの世界の水着は持っていない。
仕方ない、水の近くまで行って手で水をシャールにかけるか。
「そりゃ!」
「きゃっ!」
何だろう、このキャッキャウフフな展開。
あっ、ダメだダメ。
一瞬の気の緩みが敵の侵入を許す結果になってしまう。
そろそろパネルの席に戻らないと。
「ちょっ、ちょっと! シャール! 私は今、忙しいの!」
「何時も何かを見ているだけじゃあないですか」
「操作に忙しいの!」
「そりゃ!」
「あぁ……もう!」
もういいや。
任務の事なんて忘れちゃえ。
今は折角の長期休暇。
戦争よりも遊びを。
これが正しい夏休みの過ごし方なのだ!
水着があれば、私だって水の中に飛び込むのに。
国から正式に任命されても、まだ仕送りは来ない。
仕送りと言うよりは給料か。
遊び疲れた私は一旦席に着き、パネルを覗き込む。
うん。
今日も平和だ。
「シエスカさん、そろそろアイスを食べに行きましょうよ!」
「あっ、もう上がったんだ」
いつの間にか隣で座っていたシャールが声を掛けてきた。
学園にアイスてっどうよ。
と思ったけど、どうやら食堂にデザートと言う形であった。
シャーベットが食券で売られている。
値段は日本円で大体300円ちょいぐらい。
紙カップの中にバニラ味のアイスが二つ。
そこそこの大きさで冷たくて美味しい。
此処で暮らせるのでは? と思うぐらいの設備。
でもさすがにカキ氷は今の所は見当たらない模様。
「やっぱり私はイチゴ味ですね!」
「私はバニラかな」
味は安定のバニラからイチゴ、そしてチョコの三種。
抹茶味はそもそもお茶と言う概念がないためない模様。
抹茶ファンを敵に回しそうな世界だ。
「あれ……」
「どうしたんですか? シエスカさん?」
パネルの画面に反応があった。
それもとても大きな、沢山の反応。
光点の数は百……二百……三百はありそうだ。
皆が皆、ドラゴンと言うわけではなさそうな気がするけど。
この数はマズい。
早く迎撃に向かわせた方が良いよね。
良いに決まっている。
この状況。
下手したら一つの都市が消えてしまう。
「ど、どうしたんですか!? シエスカさん! そんなに急いで!」
「ゆっくり食べといて、私は急用を思い出したから」
アイスを三分で完食。
もう少し食べたいと言う欲望もあったけど、私は急いで食べて部屋へ戻った。
部屋へ戻った事頃、戦闘機は敵と接触していた。




