ドラゴンvsドラゴン
「此方、イーグル4、ワイバーンが射程に入った」
「離れろ! イーグル4!」
「何!? うわぁぁぁ!」
レーダー上から戦闘機が一機ロストした。空に爆煙と爆音が響く。爆風は私も微量だけど、感じた。これが戦場? あまりにも一方的な戦闘だったためか、私は今。何をしているのかを少し見失っていた。そうだ。私は今。ワイバーンと戦っていたのだ。そして、新たな敵らしき反応がイーグル4を撃墜した。近代戦闘機が古代。もしくは架空上の生物に敗れた瞬間。ありえない。私はその方角を見た。
「おいおい、マジもんのドラゴンが来ちまったじゃあねぇか!」
「此処は私に任せろ!」
「カ、カーレッド! 無茶な真似は止めろ! この距離じゃあアイツまで届かないぞ!」
雷系の魔法を撃とうとしていたところを、やたら豪腕なお兄さんが止めた。爆煙は見えていても、援護の魔法は一切届かない。届いたとしても相手を余計に怒らすだけだ。私は、持てる全ての武器でその体長が30mはあろうかと思われる巨大な赤いドラゴンと対峙する事になった。ドラゴンvsドラゴン。
燃える展開と言うのは、こ言う事だろうか。私は出来る限りの戦闘機を召喚した。いや、しまくった。もう我武者羅に。理由はあのドラゴン。私達の居る学園に真っ直ぐ近づいているからだ。間違いなく、此処を狙っている。
「た、竹富。勝算はあるのかよ!?」
「勝算? 僕はこんな事態を予想だにしていません。なので、今の所は皆無ですね。精々、戦闘機達の腕次第と言ったところでしょうか」
「お、俺は何も出来ねぇぞ! な、何せ回復要員だからな!」
「困りましたね」
この二人。ダメだ。もう、私がしっかりしていないとこの学園も、転生した私も危ない。あのドラゴンの目は殺意に満ちている目。何故、此処まで躍起になるのかは私も分からない。でも、攻撃をしてきたと言う事はどう考えても、敵だ。
「無人機隊。攻撃態勢に入りました。現在、ミサイルを投射中」
「此方ヒュードラ隊。射程に入った」
「オスカー4、現在狙われている! 助けてくれ!」
通信が飛び交っている。画面にも映りきれないほどの数だ。数えただけでも30機は居る。年代も古い物から新しい物。中にはゼロ戦と言う文字もあった。いや、幾ら何でも古すぎでしょ!? ゼロ戦だよ。70年も前の老兵だよ。
「此方、辰神隊一番機。何処を狙えば良い!?」
「こんな化け物は初めてだ」
国籍は多分違う。でも、全てが日本語に翻訳されてゆく、便利な機能だ。空には爆発音と、ミサイルや飛行機雲の線。遊び心か、どっかの誰かさんが空にハートマークを書いている。余裕を見せているのかな。でも、誰もそのハートマークには注目せず、ただ戦況を見守っていた。
「やっぱドラゴンてっ強えんだな。一方的だぜ」
「はい。腕でなぎ払ったり、翼の衝撃波でコントロールを失う機体も居ますね」
どれほど彼ら二人は目が良いのだろうか。私にはただ、大きなドラゴンが小さなハエみたいな戦闘機をなぎ払っているだけにしか見えないのだが。
「イーグル6、FOX2!」
「オスカー7、FOX2! FOX2!」
映像を見て分かったんだけど、どうもドラゴンの身体を覆う甲羅はとても固いみたい。羽や腕。足にミサイルが当たっても、全て弾かれるか、一部の甲羅が取れるかでいずれも致命傷には至らなかった。やっぱり此処はアニメのようなレールガンが必要になってくるのかも。でも、レールガンてっ実在するのかしら。
「そうだ!」
私はある事を思いついた。ミサイルがダメなら、確か貫通爆弾と言う代物があったはず。ソレをドラゴンの何処かに食らわせればきっと、致命傷とはいかなくとも、充分なダメージは与えられるはず。早速私は召喚魔法を発動させた。
「召喚!」
「か、鑑定!」
ほぼ同時に、シャールの鑑定が発動して、頭上を通りすぎた戦闘機の名前が出た。丁度、私も少し気になっていたところだ。兵器の名前じゃあなくて、攻撃力の方に。
名前【F-15E ストライクイーグル】 分類【戦闘爆撃機】
攻撃力:6.777
名前【GBU-28】 分類【レーザー誘導兵器】
破壊力:9.489
打撃力:9.800
やはり少し頭がおかしい。4桁の時点がおかしい。もしも、これでダメだったら私はお手上げだ。思いつく物はもうない。
「アンカー1、進路上に目標を確保。オーライ、オーライ」
真っ直ぐにドラゴンに近づくと同時にドラゴンもこの二つの機影に気づいた。口から炎を吐こうとしたが、偶然、近くを通りかかった中国の戦闘機が、体当りしこれを食い止めた。口から炎がパンクしたように吐き出て周囲に居た戦闘機を巻き込んだ。
「ターゲット、ロック。オーライ……ファイヤ」
ガシャッと機体から切り離される音がパネルから聞こえた。爆弾は順調に降下してゆき、4発中、3発が直撃。残りの1発は地面の森に落下し、木々は衝撃でなぎ倒された。そして、ドラゴンも大きな少し濃い灰色の煙と、爆音で身体が包まれた。
これはもう勝っただろう。私の心に慢心の二文字が芽生えた。




