我々
な、何でこの世界に日本人が!? も、もしかして日本ごと異世界へ召喚されたとか、そういった次元の話とか何かかな。でも、此処は冷静に。そう! なにせ私はごく普通の10歳の女の子! それに、幾ら日本人でも知り合いじゃあないみたいだし、多分私には関係の無い話でしょう。
「タケトミなんて珍しい名前ですわね」
「よく言われます。しかし、このグループの中にも自分と同様。同じような名前を持つ方は居るんじゃあないでしょうか?」
「同じような名前ですか?」
こ……コイツ。完全に私狙いだ。でも残念ながら私の本名? は二人には知られていない。ほら、二人とも首をかしげているんだし、これは上手くやり過ごせるわね。やり過ごした後は呼び出して何が目的かを聞き出して……。
「ご存知ではない……と? では、話題を変えましょう」
そう言ってスープを一杯口にした後、竹富と名乗った青年はこう呟いた。
「先の実技授業の際。鉄の塊。我々の世界で言うヘリコプターと言う物を召喚した一人の少女を知っていますか?」
「ヘリコプター?」
ヤバい、ヤバい、ヤバい。コイツ。完全に私を狙っているよ! 何、同じ日本人同士仲良くしましょと言う挨拶でもしに来たの!? 悪いけど、二人が居ないときにしてくれるかな!?
「あぁ、あの噂に聞くヘリドラゴンの事ですわね。それでしたら、ジンコウエイセイとか言う物を召喚したシエ……ウガッ!」
「え、えぇ!? どうしたのアリスちゃん! 急にスープに顔をつけたりして……」
「ちょ、シエスカさん!? 貴女がやったんじゃあありませんの!?」
「え? えっとぉ、私はただ、そう! 水を取りに行こうとしただけよ」
「じゃあ、その右腕はなんですの?」
「だから、水を取りに行こうかと思って」
「絶対に嘘ですわ!」
しぶとく言い争いをしている中、竹富さんは話だした。
「シエスカさん……ですか?」
「な、なんですか?」
「今日。時間がありますでしょうか? 此処は『我々だけで』話たいのです」
「えっと……私でよければ……ところで貴方はそもそも何組よ?」
「自分は1年3組です」
「てっ事は、私達と違う組じゃあないですか!」
えっと、アリスちゃん。とりあえず落ち着こうか。どうもこの竹富さんと名乗った青年の瞳は真剣そうだし、そんな恋沙汰とか恋愛だとか、そんなんじゃあないと言うのは少なくとも確かだと思うし。しかし妙な事を言ったわね。我々……つまり同じ日本人が他にも居るわけなのか?
「分かったわ。富竹さんだったわね」
「竹富です」
「今日の放課後なら空いているわ。指定先は?」
「……此方に」
竹富さんは懐から何やら手紙のような物を私に差し出した。目に通すと、指定先は学園の屋上である事が判明し、私は小さく頷いた。用は確認したと言う事を声に出さず彼に伝えた。そして放課後。私は今。竹富さんに指定された屋上に居る。アニメや小説ならよくありそうな展開だ。しかし、その場に居たのはどうやら私と竹富さんだけではないようだった。
「で、私に何の用かしら?」
「先ずお名前を聞いていません」
「名前なら述べたでしょう?」
「いえ、日本人としてのお名前がまだ……」
このままじゃあ話が進まないと悟った私は仕方なく、記憶に残っている日本人としての名前を名乗った。
「盛岡小倉……」
「盛岡小倉さんですね。それでは改めまして、自分は竹富長夢。前世では22歳のプログラマーでした」
プログラマー? どうりで私の知り合いじゃあないわけだ。
「で、自分の隣に居るのが同僚の早鷹俊治。」
「普通に俊治でいいぜ。宜しく。今じゃあどうやら回復要員のような感じだ!」
隣に居たのはやけに体格の良いナイスバディな青年が居た。同僚。つまり、同じ22歳と言う事で良いのだろうか。そして職業は同じくプログラマー。同じプログラマーなのに、これほど体格が違うのかと私は心の奥底で思った。
「で、話てっ何かしら」
「その口調はただの10歳ではありませね」
「……前世ではごく普通の女子高校生よ。ちなみに、帰宅部だから」
「そうでしたか。ちなにみ自分はテニス部でした」
な、何。何か自慢みたいな事をしてきたよ。この自称22歳。
「話に戻りましょう。今回小倉さんの事を知ったのは、何を隠そう。先の魔法実技においてでした」
「で?」
「陸上自衛隊。これは日本国にしか存在しない組織です。予想よりも早く同じ日本人を探し出す事が出来て自分達は安心しているのです」
「でもクラスが違うよね。どうやって知ったの?」
これは私の一つの疑問だ。
「それは噂で知りました。でも、それは同じクラスにドラゴン使いが居ると言う形でしたが」
「あぁ、やっぱりそんな風に伝わっていたんだぁ……」
「陸上自衛隊を知ったのは、生で見た同級生が描いた絵で知りました。あれは紛れも無く日本語でした」
「で、同じ日本人同士を集めてどうしようと言うのよ」
「それが今回の本題です」
何だろう。このジラしている感じ。
「本題は、我々でこの「戦争」を終結させようと思っているのです」
「……は? 戦争?」
お前は一体、何を言っているんだ。
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