そもそも魔王城てっ何処よ。
「本当に知らないの?」
二人共だんまり。どうやら、ガチで魔王城は鬼が島説が有力になって来たのかも知れない。仮に鬼が島だったら……えっと、戌と猿と……後は……そう、雉。この三匹……二匹と一羽を本物で雇って、最強の秘密兵器、黍断固も作って食べさせながら船を漕がないと行けないのかな。となると、もしかして桃太郎てっ、この私!? ……柔軟に考えて、無いわー。
「そもそも魔王なんて存在。この世界に居たかしら?」
「そもそも魔王てっ誰なんですかね。鬼やドラゴンよりも強いんですかね?」
「シャール。アリスちゃん。多分、そいつらより全然強いわよ」
速報。そもそもこの世界に魔王が居るのかも怪しくなって来た件について。えっ、じゃあもしかしてこの世界てっただ単に魔獣とか盗賊なんかが脅威なだけなの? 私が居た世界みたく、核兵器なんて無ければテロリスト集団も居ない。サイバーテロも、ハイジャックだって。だとしたら特殊部隊なんて言う組織も必然的に存在しない事になるよね。あぁ、なんて平和な世界なんだろう。
「やはり、先輩や先生方は盗賊に軟禁とかされているんでしょうか?」
「姉ちゃんを軟禁でもしてご覧なさい! お父上が黙って居るはずがございません! きっと、軟禁した輩は皆、死刑ですわ! 問答無用で死刑ですわ! 公開処刑ですわ!」
「なんか話が段々と物騒になって来たわね」
そもそも、アリスちゃんの口調は何処かお嬢様のような感じ。お父上。もとい、お父様は一体、どんな権力を持っているんだろう。大臣? それとも国家公務員? それとも異世界らしく貴族の主?
「で、でも見たんだよ! あのスケルトンの群れ! あれは間違いなく魔王軍の軍勢だよ!」
軍勢?
「スケルトンですって? スケルトンと言いますと全身骨で出来たアレの事ですの?」
「それ意外に何が居ると言うんだよ! 間違いない! スケルトンの奴らが村を襲って父さんと母さんを殺しまわったのを、俺はしっかりと見たんだ!」
「それは間違いなのね?」
「本当だよ!」
魔王城。と言うより、そもそも魔王の存在さえあやふやになったこの状況でスケルトンと言う単語が出て来た。でもスケルトンが出てくるには時間帯が少し速すぎはしないだろうか。これがコブリンの群れとか、熊の群れとかならまだ分かるのだけど。
「まぁ、分かったわ。とりあえず魔王軍御一行と言う事にしておきましょう」
「ちょっ、シエスカさん!?」
「魔王なんて未知なる存在をまさか、私達で始末しようと言うのですの!?」
「まだ誰もそんな事言ってないわよ」
「で、君は私にどうしてほしいの? 少年」
多分、この子は私に、仇でも討ってほしいと懇願……とまではいかないとしても、依頼ぐらいはするだろう。正式なギルドの依頼ではない。日本ぽく言うなら非公式な依頼。
「その……シエスカさん! 殺された村の皆を代表してお願いします! 魔王軍を一匹残らず成敗して下さい!」
そら来た。
「……うーん。まぁ、分かったわ。とりあえず非公式だけど受けておきましょう。私達もこのまま先生達が未帰還だと何かと不都合だしね」
「ほ、本当に殺るんですか!? シエスカさん! 魔王を!」
「そもそも本当に魔王なんて輩が存在するのかしら。私には疑問に思いますわ」
ところで私はアリスちゃんの事をちゃん付けにしているが、実際のところ本当の年齢は幾つなのだろうと毎回、その口調で思う。若しかして6つ上の16歳とかだったりするのかな。その見た目で。
「はいはい! とりあえず今日は解散ね。日も傾いて来たわ。君、名前は何て言うの?」
「サウ……」
「サウ君ね。今日はとりあえずこのベットで休んじゃって」
「良いんですか?」
「そもそもの話。此処の担当の先生が絶賛行方不明中なのよね。だから、それまではしばらく好きに使っちゃって」
「あ、ありがとう……シエスカさん」
こうして全く魔王城に関しての情報が集まらぬまま一日が立った。案の定、3年生とそれに着いて行った先生方は一向に帰ってこず、今、私達は軽い朝食を取っていた。一応、厨房はしっかりと機能しては居たけどそれでも、今は半数が行方不明だと言う。そんなに行って居たんだ。魔法の実習。
「それにしても、緊急事態ですのに朝食はとてもおいしいですわ」
「まぁ、せめて食事ぐらいはのんびりと取りたいものだよねー」
「あっ、シエスカさん。今日はシチューにしたんですね」
「シチューとパンが2つ。まぁ、財布は軽くなる一方だけどね」
「ハハハ……」
さすが異世界。この世界には基本的に米はライスと呼ばれていて何処か外国に居る感じ。食事の文化についてはEUとか欧州みたいな感じで、アリスちゃんはフランスパンのような物を買っていた。ちなみに食券で購入するのである。そして毎食旨い。
「ちょっとご一緒させてもらっても良いかな」
「えっ? アッハイ、どうぞ……」
「ありがとう」
私の隣に座ったのは、いかにも落ち着いた高校生だった。あっ、高校生なのは当たり前か。じゃあここは落ち着いた青年と言う事にしておこう。良く言うと落ち着いていて、悪く言うと冴えない、そんな感じだ。年齢はやっぱり16歳とか17歳と言った感じのようだった。
「実はね。君達と言うわけじゃあないんだけど、皆に話さなきゃあならない事があるんだ」
「えっと……貴方は……?」
「おっと、申し送れました。僕の名前は竹富長夢宜しく」
ヴェ!? 日本人!?




