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第一号追撃戦

「もう、これだけ叩けば上等なもんでしょう」


 艦橋が燃え盛る米駆逐艦ブッシュを眺めながら、第一号海防艦は次の一手を模索していた。

 このまま撤退するも良いし、何なら更にもう一隻の敵駆逐艦の始末に向かっても良かったのだ。

 ただ、後者では反撃に合うリスクもあった。


「良し。殿はもう十分でしょう。そろそろお暇するわ」


 そう言うと、第一号海防艦は反転180度を指示した。だが、後方から一段と大きな水柱と轟音が艦内にh匹渡った。


「な、何!?」

「艦長! どうも、我々を逃してはくれないようです! 敵旗艦が単艦で砲撃を仕掛けにきました!」


 犯人は敵旗艦サンタフェだった。数分前、味方からの誤射を浴びたサンタフェだったが、その優秀なダメージコントロールがしっかりと機能したお陰で火災は直ぐに鎮火した。

 レーダー類も健在だったため、サンタフェは残りの駆逐艦に退避を命じ単艦による迎撃作戦を強行、実行した。


 最も、名誉回復のため味方を無理やり撤退させた……と言う見方もある。


 名誉回復。

 それは間違いなく、屈辱を味あわせた第一号海防艦の撃沈であった。


「敵巡洋艦の砲火が激しいです! 早急な現場海域の離脱を進言します!」

「速力の差からそれは不可能に近いわ。もう少し粘ってみる」

「艦長!」


 速力は勿論の事、武装の面だってサンタフェが郡を抜いている。砲数も違えば機銃の数だって歴然の差だ。何なら機銃だけで第一号を始末する事だって出来る。


 だが、サンタフェの司令官は砲による撃沈を命令した。速力を上げ第一号との距離を確実に縮め、砲火を集中させると同時に精度も上げた。


 一方の第一号はひたすらジクザクに動き回り一発の着弾も許さず広い海を縦横無尽に走り回っていた。


「まだ仕留められんのか!」

「申し訳ございません! レーダーによる精密射撃を実施しているのですが……」


 巧妙に逃げ回る第一号に苦戦しているサンタフェ。だが、そのサンタフェのレーダーに妙な影が映り込んだ。それも幾つも。


「こ……これは……ッ!」

「何だ? どうした!」

「班長! これを見てください!」

「な……何たる事だ……」

「……ッ! クズクズしている暇はないぞ! 直ぐに艦長に報告をッ!」


 だが、遅かった。

 艦内に突如として激しい揺れが襲い、レーダー観測員達が次々と机に倒れ込んだ。他の場所でも階段から落ちたり、海に放り投げられる者も相次いだ。


 水面が激しくうねり、水柱が数え切れないほど立った。


 第一号の砲撃ではない。もっと、強力な何かによる仕業だ。


「な、何だ……あれは……」

「艦橋見張りッ! 何をしている! 直ぐに報告を寄越さんか!」

「艦長! 大変です! アレは巡洋艦ではありません! 敵の増援は戦艦です! しかも、超弩級戦艦です!」

「何!? 何でそんなデカブツがこの海域にはびこって居るんだ!」

「発砲確認! 弾着来ますッ!」


 窓ガラスが割れ、アラームが鳴り響いた。砲撃により、司令官は倒れ込み、参謀長達は壁に叩きつけられた。

 海上に浮かぶその物体は間違いなく第一号の増援であった。


 その名も、改大和型戦艦その一番艦「紀伊」。


 それは旧海軍が夢見た最大最強の戦艦だった。

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