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転生

 思春期真っ只中の高校二年。私、盛岡もりおか小倉こくらはごく普通の、何処にでも居そうな女子高生だ。特にこれと言った特技も無い。本当に学園生活じゃあただのモブで、それ以上でもそれ以下でもない。そんなごく普通の私はある日突然、意識がプツリと何かが切れるような音と共に目の前が真っ白になった。


「あれ……此処は……?」


 気がついたら一面真っ暗な世界。そこで私はただ一人、座った状態で寝ていたようだ。立ち上がって周囲を確認するが、右も左も上も下も、真っ暗。歩いているはずなのにまるで何処かふわふわと浮いているかのような不思議な感覚。これはつまり、アレだ。どうやら私は教室で死んでしまったようだ。根拠は何も無い。けど、直感と感覚でそう感じ取った。


「お目覚めですか?」


 天井方向から大人びた女性の声が聞こえてきた。私は天井を見上げてみた。するとどうだろう。背中に立派な羽が生えて胸もたわわなナイスバディの天使……あいや、女神様が真上に居た。


「えっと……一体どちら様で……?」

「私はこの世界の天使。差し詰め天使さんで良いですよ。小倉さん」


 私の名前を知っていて尚且つ相手は紛れもない本物の天使。その容姿は私が真っ先に思い描く通りでまさに、イメージ通りの姿と言ったところだった。


「あの、天使てっ事は、此処は天国とか……地獄とかそれともその狭間とかですか?」

「そうですね、どちらかと言えば狭間に当たります」

「てっ言う事は……」

「お察しが早くて助かります。そうです、貴女はこれから次の人間に生まれ変わるのです」


 優しい口調で確かに、天使と名乗った彼女は生まれ変わり。転生の二文字を言ったのだ。これはつまりアレだ。ここ最近ネット小説か何かで流行っている異世界転生と言うヤツなのかな……? となるとこの後に来る展開は。


「向こうへ行かれる前に貴女には特別な力を授けましょう。どうか何なりとお申し付け下さい」

「それじゃあ……」


 私はパッとある事を閃いてとっさに口にした。


「魔法が使えて、ごく普通の学園生活を送りたいです!」

「……へ?」


 笑みを崩さないで天使は動揺していた。普通、そんなにもおかしいのだろうか? と私は思う。いいじゃない、向こうでも普通に友達を作って、普通に勉強をして尚且つ魔法が使えたら。


「つまり、ご要望は魔法と普通の学園生活……と言う事でしょうか?」

「はい!」


 目の中を輝かせて私は大きな声で返答した。


「……分かりました。では準備を行いますので少々お待ち下さい」


 ついに来た。異世界転生。私は胸を高ぶらせた。――数分ほど待っただろうか。天使の後ろから真っ白な所謂、魔法陣のような物が展開されて、次第に大きな丸い灰色の円が出来上がった。これは、この中を潜れと言う事なのか?


「転生後、貴女は10歳の女の子と言う設定になります。身長は低く小柄。顔立ちも普通よりはちょっと良い具合になります。では、良い人生を……」


 そう言うと天使の後ろに広がっていた灰色の円は次第に大きくなって、人一人が余裕で入れるほどの大きさになった。私は、その円の中を潜り抜けて再び意識が途切れるような感覚を覚えた。


 どうやら私は異世界転生に成功したらしい。

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