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短編集

男尊女卑

作者: タオニア

男尊女卑。


よくある話です。あなたは男なんだからとか……言い出したらキリがありません。


だからこそお話の中でくらいパーっとしましょう。



主人公男

女を瞬殺する能力を持つ。この力で女社会を覆そうと目論む。


女指揮官

校内の女を束ねる女。男を嫌っている。


見習い女

男と会話をする女。主人公に近づくが……。



本文

この世界では女が全てだった。



女の言うことに男は全て従わなければならないし、男が生まれると親戚からも隠して育てられた。その為、ほとんどの家庭で男の子が生まれた場合は家畜として育てるのが普通だった。彼らは言葉も自分の名前しか分からないし、文字を読めるのは選ばれた一握りの男だけだった。


服を着ることも許されなかった。男に人権なんて無かった。女に指名された男以外の全ての男子は3歳の時に去勢が行われる。


主人公もその例外ではなかった。


保健所に連れていかれた主人公はビクビクしながら自分の番を待った。だが、順番が回ってくると、怖くなって逃げ出してしまった。そんな主人公を父親は優しく諭した。


「主人公よ、熱くなってはいかんぞ。人間我慢するのが大切なんだぞ。我慢して我慢し続けて、その先に幸せは待っているものなんだよ」


 主人公は父のことを尊敬していたから素直にその言葉を信じて、我慢する生き方を選んだ。父の言葉がよく分からなくても、通じ合うものがあった。本当はもっと難しいことを言っていたが、それ以上は分からなかった。


どんなに辛くても、懸命に耐え忍ぶ父の姿を見て自分も我慢した。


 多くの男親は子作りを終えると、保健所で、去勢されることになる。その時に主人公の様に逃げ出した男子も一緒に去勢される。


 家に居場所がなくなった彼らは、学校に行かなければならなかった。家でも、学校でも、男は差別される。女子生徒に少しでも不快な思いをさせた男子は直ぐに処分される。偶然女子生徒の近くを通った男子が指名されて処分されることになった。その男子生徒は保健所行きにされるのが怖くて、ブヒブヒ泣き喚いた。どれだけ許しを請う気持ちを持っていても、彼らには人間の言葉が全く分からない。だからただ泣き喚くしかなかった。


 次の日、学校にその生徒の姿は無かった。誰も同情なんかしなかった。自分が生きるのに精一杯だったから、餌を貰うのに必死だったから、もうそんな奴のことは忘れていた。


そんな生活の中で、主人公は友達を見つけた。


 彼の名前を主人公は理解できなかったが、二人は餌を分け合うことでお互いの飢えを凌いだ。そんなことをしている中、ある女子生徒が主人公の友達のことが気になっているという噂が流れた。主人公は生まれ育った家庭でのことを思いだし、彼に忠告した。だが、その友達は生まれてすぐこの学校に預けられたらしく、女のことを知りたかった。だから、彼は一人で女についていった。だが、その先に待っていたのは女子生徒一人だけではなかった。複数の女子生徒が佇んでいた。


そして、その場で彼は逆レイプされた。


「我慢し続けるんだ。極限まで、我慢して、理性の範疇ではそれ以上耐えられなくなった時、本能だけが体を支配するようになる。理性を殺すんだ。」


「僕にはもう分からないよ……なんでこんなことし続けなきゃいけないの……?」


「お父さんはもういないんだから……結局自分で何とかするしかないんだな」


 主人公は友達を逆レイプした女の処へ向かう。もちろん許しを請うわけでもなく友達を救うわけでもない。


女どもをレイプするために。


「また来たのか……たく、お前らみたいな言葉も分からない様な奴らにご飯を食べさせているのは誰だ?」


「それは女だ。お前たちは女がいるからこの世界に生きていける……それを改めて知るんだ」


「このみっともない男の姿を見てな!」


この様になったら終わりだと思った。

女に跪いたら負け。

男は永遠に女たちに屈してしまう。


それじゃダメだ。


 そんなのが許される世界が続いていいはずがない。だから変えるんだ。女たちに潰されてきたプライドにもう一度火をつけるんだ。


こんなところで負けるな……。

お前がこれからヤらなきゃならない女はこいつだけじゃないんだから……。


「どうした? ご飯が食べたいのか? それともこの男の様にヤって欲しいのか?」


「冗談はよせ……」


「!! ……お前、言葉を理解できるのか……! 男のくせに……」


「男のくせには余計だ……父上の言葉を何度も反復して自分のものにしたんだ」


「お前らみたいな与えられたものの上にあぐらをかいている奴とは違う!」


「? 何を言っているんだ……?」



「女が男を食う」


「それがこの世界の秩序であり正しいあり方だ。それに従うことの出来ない男どもは餌を食らう豚でしかない」


「それがおかしいって言ってるんだ……まだ分からないのか……?」


「お前に何が出来る……男のくせに!!」


「情けない父から何を受け継いだと言うんだ! そんな親父は忘れてしまえ!!!」


「!!」


「ぎゃ!!」


気が付くと女の胸を鷲掴みにしていた。引きちぎる様にしてもう片方をつかむ。


「何をする! ヤメロ……手を離せ!!」


「お前は最初の見せしめだ……これから俺が殺していく女共の最初の一匹になれたんだ……」


「感謝しろ」


「……ひっ」


それは女に抗い始めた男どもの最初の一歩だった。




(学校内部)


女指揮官「あの件はどうなっている? なんだか謀反者が出たということだが……」


女指揮官「私の方まで厄介事を回さないでくれ」


女伝令兵「伝えます! 様子を見に行った二人がレイプの被害にあったと……」


女指揮官「男にヤられたのか?」


女伝令兵「それがもう……」


女指揮官「男にもそういうことをする輩が出てきたか……」


女指揮官「知能を持ったゴミ虫が……」


女指揮官「今に見ていろ、直ぐにその息の根を止めてくれる」






近くの女は粗方ヤり尽くした……様子見に来ていた女どもも何とかなった。


俺の能力は女を本能的に殺すこと。


女を見ると押し込まれた性の欲望が爆発する。そして気が付くと目の前にいた女は死んでいる。

近くにいた女はもうほとんど殺した。


だがダメだ。


恐らくこの女たちを動かしているのは刷り込みだ、刷り込んだ奴がまだ出てきていない。何かもっと行動を起こさないとその内こっちがすり減らされてしまう。



主人公男「……」


見習い女「……ひっ」


まだ女がいた。

連絡係なら潰しておかないと……。

そうして動こうとした時、



見習い女「あっ……あの!」


見習い女「私……そういう人の事知ってます」





この女は何を考えているんだ……。自分から近寄ってきて、ヤって下さいって自分から言いに来るようなものだな。




見習い女「能力は私に発動しないで下さいね」


主人公男「……何か情報があるのか?」


見習い女「あなたは男だから知らないことも多いでしょうけど」


見習い女「ここは元々男女平等を理念に掲げて作られた学校なんです」


見習い女「まあ、私の物言いからしてもそう言うのが出来てないって丸わかりなんですけど……」


見習い女「……つらいですか?」


主人公男「つらいのは俺だけじゃない」


主人公男「だからそれは男として生きる他の奴らにも言って欲しい」


見習い女「それはまだ無理です……ここが女の世界である限り」



見習い女「あなたがそれを変えてくれるんですか?」




この世界の女と呼ばれる私たちもそれぞれで生きてるんです。





コンコン……。


女指揮官「入れ」


見習い女「失礼します」


女指揮官「どうだ……男と会話した気分は?」


見習い女「……」


女指揮官「ふん、まあいい。さっさと持ち場に戻れ。作戦が始まる」


見習い女「どうしてもやるんですか?」


女指揮官「言葉を喋れるオスが一人や二人出てきたところで何も変わらんさ」


見習い女「すごい自信ですね」


女指揮官「君も見ていろ。今に男から解放されて素晴らしい世界がやって来る」


女指揮官「早く持ち場に付くんだ」


見習い女「はい」






食べ物の食べ方も知らない。


行儀よくなんて言われても床に置いて漢食いするしか知らない。男の人がそうやって床に置いて食べているのを見て私もそうしてみようと思って……、


でも教えてもらった。


あの人に、お箸の持ち方や知らない人とお話する事。

色んな楽しい事を知った。


だからその恩返し。


これが私にできる全て。




(校内)


ドンッ!!



主人公男「……!! 何だ? 何かが起こったみたいだが……」


見習い女「……」


主人公男「……?」


目の前に見習い女がいる。さっきまで話していたその場所に立っている。そして……、



見習い女「ガルルル……ギャオオオ!!」


主人公男「頭がおかしくなったのか! これだから女は!」


見習い女「ギャアアアア!!」


主人公男「このままではヤられる! クソッ!!」



能力が発動する。


殴られた衝撃でそのまま地面に倒れ込む見習い女。身体をヒクつかせながら必死に呼吸をしている。



主人公男「くそっ……この女もやはり……」



きゅ。

足の襟をつままれる。


主人公男「……?」



他の女達「男だ! 生きて返すな!!」


主人公男「まだいたのか! 逃げ……」



見習い女「逃がさないよ」



見習い女は突如起き上がり背後に回り込んだかと思うと、そのまま後ろから抱き付いた。周りを女たちに包囲される。その中に指揮を執っていると思われる女も混じっていた。



女指揮官「言葉を喋れるとか、そういう男はいらない……男はずっとブヒブヒ言いながら地べたに這いつくばってればいい」


女指揮官「見習い女よ……早くその男を殺せ」


主人公男「見習い女……」


見習い女「……感謝してるから」


見習い女「あの人には助けてもらったし色々教えてもらって、ホント……」


主人公男「……恩を返すってことなのか?」


見習い女「そうだね……でも」



見習い女「私も誰かを助けたい」


見習い女「それが君かなって思ったんだ」


主人公男「え……」


見習い女「みんなが普通に生きていける世界をあなたがつくるんだよ」



女指揮官「使えない女だ……」


女指揮官「お前も知っているだろう、私はそういうことが大キライだってこと」


女指揮官「食べ物の食べ方もロクに知らなかったお前を拾ってやったというのに……」



その女は俯いた。


自分の与えた恩が仇になって帰ってきたことをひどく残念がっている。首をもたげて完全に俺から目を背いた。自分の私情が出ていて前を向けていない。



女指揮官よ……それがお前の一生で一度あったかなかったかの失敗だ。


能力は発動する。


次の時には床に無残に横たわる女指揮官の姿があった。髪は乱れ服は四方へ破かれ、男の体液が体中に塗り込まれていた。


女の息は絶え絶えだった。

女を支える女も入れば逃げ出した女もいた。

この校内の女たちは秩序の整っていない集団になり果てていた。



主人公男「飼い犬に手を噛まれて可哀想にな……」


女指揮官「!! ……貴様ごときに心配される筋合いはないわ!」


主人公男「よう言ったわ……そこでみじめに死んでいくがいい、それがお前が今まで見てきた光景だ!」




女指揮官「待て」


主人公男「みっとも……」


女指揮官「そうじゃない、私の負けだ」


女指揮官「私はもうじき死ぬ……ああそうさ、私が今まで散々見てきた光景を今こうして味わっている」


主人公男「せめてそこの女たちに看取ってもらえ」


女指揮官「だがその前に……お前にはまだやる事がある」


女指揮官「お前は見習い女をまだ殺していない」


女指揮官「私にここまで見せ付けたんだ……お前がその理念を掲げるならその女も殺す必要がある」


女指揮官「飼い主の手を噛む様なそそっかしい子だが……出来るな?」


見習い女「……はい」



考える暇もなく能力は発動した。



見習い女「さようなら」





主人公男「ウオオオオオオオオオ!!」



その男の雄叫びは勝利の喜びか、はたして。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公男の行動。短編ならではの容赦ない行動がスカッとしました。 [気になる点] 人物「 」の書き方をしないと、発言者がわかりづらかったのが気になりました。 [一言] はじめまして、タオニア…
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