表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/20

あの日の誓いを果たす時

 目覚めた翔は、敵と対峙し、自分の身体の変化に驚いていた。

 目線は高くなり、歩調も違う。

 なによりも体の中心、特に骨そのものが金属とすり替えられたように冷たい。

 自分は今、超常的な〝何か〟に変わってしまった。

 だがその変化に怯えるより早く、怪物に捕まった最愛の幼馴染み、その光景を目の前にして翔は一気に激高した。


 全身に力が漲る。彼女を救えと叫んでいる。

 あの日の誓いを果たす時が来たと訴えている。


『その手を離せって言ってるんだッ!!』


 翔は駆けた。あっという間に敵への距離を詰め、その拳は獣のような怪人の顔面を弾丸の如く打ち抜いた。

 一撃に怯んだ敵は結花を手放す。彼女の身体は小早川が受け止めてくれた。

『ク、クソォ!!』

 怪物は猛然と翔へと挑みかかった。

 頭をもごうと企んだのか、両手を振り翳してきたのだ。

 翔も咄嗟に両腕で身体を庇うと、敵はその腕を掴み、力任せに押し込んできた。

 とんでもない怪力だ。常人なら捻り潰されていただろう。


 だが。翔はぐっと踏みとどまり、


『力を貸せ――ッ!』

 この身体に指示を飛ばすと、ヴォンと高い音が鳴った。体中を熱が漲り、目の前で頑としている両腕が青白く発行した。力が漲ったその腕は、敵の怪力と拮抗を始めた。

 怪人の顔に焦りが走るころには、その力は敵を押しのけるほどに達していた。


 再び翔の拳が唸る。敵はぐぅっと呻き、壁に叩きつけられた。

『クソォォォ!』

 敵は異次元に逃げ込もうとする。させるか!

 翔は跳躍し、異次元への渦に自ら飛び込む。


 世界が一変した。


 周囲の色が抜け落ちたかのように白く、しかしおぼろげな輪郭から、ついさっきまで居たモニター室に違いなかった。まるで、色を塗り忘れたぬり絵のようだった。


 これは慌てて作った出来損ないの次元だ。


 奴は自ら専用の仮想次元、ベータ―空間に現実の場所をコピーし、その中で移動して目的地で現実に戻る。ベータ―空間内での相対距離は変わらないため、出現位置は移動した距離に相当する。それがテレポーテーションの正体だ。


 ――なんで僕はそんな事がわかるんだ……?


 疑問が過るが、それは後だ。

 翔は逃げる怪人の腕を掴み、腰を捻り、二度ほど旋回、ハンマー投げの要領で相手を一気に放り投げた。天井にたたきつけられた敵は、

『グゥ』

 と呻くと、どういう原理なのか上昇、天井をバリバリと突き破って上階を目指した。

 翔は跳躍、その軌道を追う。

 数十メートルの距離を一気に飛び越えた。自らの脚力に、翔自身も驚いた。


 怪人は再び現実世界に逃げ、舞台は寒々とした突風の吹きすさぶビルの屋上へと移り変わった。月夜の空の下、もう使われていないヘリポートで鋼鉄の超人と獣の怪人がお互いの間合いを計り、対峙していた。


 奴の得意の瞬間移動も見破り、怪力は翔が勝った。

 もう戦わなくても結果は見えている。

『諦めろ! お前は僕には勝てない!!』

 翔は無駄な争いを避け、説得を試みたが、


『グフフ』


 敵はにやりと笑った。


『貴様こそ大人しク賢者の石をワタセ、

 さもなくば、学園に仕掛けた強力な爆薬ヲ、作動サセル』


 なんだと――!!


『あ、後出しで適当に言いやがって! 今更そんなハッタリ通用するか!』

『ココからじゃないと電波が届かなかッタだけだ。

 嘘だと思うナラ試してミルか?

 カナリ人の多い場所で、大爆発スルゾ』

 相手の堂々とした様子に、翔は攻撃をためらってしまった。

 その動揺に気をよくしたらしい加山は、

『ハッハッハッ!』

 と腹を抱えて笑い、

『さあ、石をワタセ。さもなくば、大勢の学生ガ死ぬ!!』

 くっそ、ハッタリの可能性もあるが、こいつは一度マジでやっている。


 あり得ない話じゃない――、どうする!?


 迷ったところで、翔はふっと背中に殺意を感じた。振り返ると長く分厚い両刃剣(バスターソード)を突き出した、赤い影がこちらに迫っていた。

 すんでのところで腕で払い、翔は新たな敵と対峙する。



 真っ赤な鎧に白い翼をもった、まるで神話に登場するヴァルキリーといったの出で立ちの女騎士だ。

「魔王妃様の剣、ラブラ――参る!!」

 剣を振りかざし、ラブラと名乗ったその女騎士は容赦なく切り掛かってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ