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ゲームに三国志の武将が封印されていたから解放するために戦ってみる (旧題:三国志~武幽電~)  作者: 伏(龍)
第3章

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52 調査

タイトルを変更してみました。また変えるかも知れませんが、しばらくはこれでお願いします。

「ふわ…ぁ」


 昼食後の暖かな陽射しが差し込む教室。退屈な五限目、現代国語の授業を受けながら抑えようとしても溢れてくる何度目かの欠伸を玄は必死に噛み殺す。

 家や塾などで勉強をしない代わりに学校の授業だけはしっかりと受けるのが玄のスタイルである。つまり玄の学力は学校の授業だけに支えられている。学力があまりにも低下しすぎたら、放任主義の両親もさすがにゲームを規制してくるかも知れない。好きなゲームを好きなだけやるためには、どんなに眠たくても意識を手放す訳にはいかない玄だった。

 それに現国の教師である酒巻は、そのどうみても体育教師だろう的な体格を裏切らない性格なのである。


 バシン!


「うっわ……」


 机に突っ伏して居眠りをしていたクラスメイトの頭上に落とされた出席簿攻撃の威力を想像して思わず声が漏れる。

 一撃を受けた野球部の皆井は涎を流しながらのろのろと起き上がり説教を受けているが、持ち前の愛嬌を発揮し大げさなリアクションで坊主頭を撫で回して周囲の笑いを取っている。


 ツンツン


「ん?」


 そんな様子をぼーっと眺めていた玄は自分の肘が突かれたのに気が付き、周囲が注目している場所とは逆の方へと視線を向ける。


「ちょっと、玄。さっきから欠伸ばっかりしているけど大丈夫なの?」


 そこには眠そうな玄に咎めるような視線を向ける茜がいる。茜の席は通路を挟んだ隣のため、ちゃっかりとチェックされていたらしい。


「大丈夫、だい、じゅおう……ぶ、ふぁ」

「もう! 皆井みたいにウケも取れないんだから居眠りなんてしないでよ。ここ二日はあっち(・・・)にも行っていないのに、なんでそんなに眠いのよ」

「ま、いろいろとな」

 

 あの中州での激戦から二日が経っていた。

 武将たちのライフは二十四時間で約五十パーセントしか回復しないため、気絶レベルまで追い込まれてしまった関羽が全快するまでには二日間という時間が必要だった。

 加えて孫仁のライフも半分を割り込んでいたため、大事をとった孫仁も身動きが取れなかったのである。しかし昨晩からはすでに全快した孫仁と、いまだ傷が癒えきっていない関羽は、またしてもエンドレスな訓練に突入していた。


 同盟を結んだ孫仁とフィールドが繋がったことで、VS同士が離れていても双方の電源さえ入っていれば武将同士のコミュニケーションが取れるようになっている。さらに通話モードを互いにONにしておけば茜と玄の会話すらも可能になので、やろうと思えば無料で使える携帯電話のような使い方もできる。


 しかし、それ自体は別に玄の睡眠時間を大きく削るようなものではない。訓練の様子は音を消して縮小してしまえば気にならないし、別に深夜まで茜と会話をしていた訳でもない。


「いろいろって、なによ」

「ん~、VSのこととか、ゲームソフトのこととか、霊やら怪奇現象やら、もろもろの調査」


 玄はフィールドに出られない間、自分にできることはないかと考えた。しかし、ここまでスケールが大きな話になってしまうと、一般的な普通の高校生ができることなどたかが知れている。それでもなにか具体的にやれることとして玄が思いついたのは、インターネットで『三国志~武幽電~』に関係する言葉を片っ端から検索することだけだった。


 VSを作った会社のホームページを隅から隅まで読み込んだり、武幽電に関連するようなキーワードで検索してひっかかったサイトの情報を片っ端から調べたのだ。

 しかし、それでもたいした情報を得られず、最後には霊障と呼ばれる事象に悩んでいる人たちが集まるようなところにまで調査の手を伸ばしていた。


「へぇ、それで何かわかったの?」

「う~ん、それがさ……っと待った。向こうが落ち着いたみたいだ。またあとで話す」


 ふざけていた皆井に二発目の出席簿が落ちたところで、どうやらひと段落がついたらしい。「眠いだろうが頑張れ~」という酒巻の野太い声とともに授業が再開されようとしている。


「もう……あとでちゃんと教えてよ」


 それを見てしぶしぶと引き下がる茜にひらひらと手を振った玄は、授業を再開した酒巻のごつい顔を眺めながら昨日までの調査を思い返す。


 VSの製造会社であるVITS(ビッツ)の設立は約十年前、当時有限会社であったVITSは立ち上げと同時に強力なスポンサーを得て新型機種「VR」を発表。

 そのスペックの高さと汎用性の広さからVRは、またたく間に世界中に広がり現代ゲーム機の販売記録を全て塗り替えた。

 その後、たった二年で一部上場企業に上り詰めたVITSはゲーム機、ゲームソフトはもちろん、パソコンのOSに至るまで様々な分野の開発を手がけ、その全ての商品をヒットさせた。

 一躍、時の会社となったVITSだがここ三年ほどは大きな商品を発表していなかった。三年の雌伏の期間を経て、満を持して発売されたのが携帯用ゲーム機「VS」である。


 そんなVITSだが、真に驚くべきはその業績ではない。「この会社を立ち上げたのはたったひとりの個人だ」という噂である。

 勿論、ある時期からは徐々に人員を増やしていったのは間違いない。だが、たったひとりでスタートしたはずの有限会社に大手電気メーカーSAMS(サムズ)がスポンサーにつき、「VR」を完成させたという噂は、ネット上ではほぼ事実としてまことしやかに囁かれ、創始者を神と呼ぶような熱狂的なファンもいる。

 しかし、その人物の詳細はまったく世に知られておらず、些か眉唾ものであるという人も多い。


 創始者たるその人物のことを玄は、公式ホームページはもちろん思いつく限りの検索ワードを使って調査をしたのだが、結局なにひとつ成果を得ることはできなかった。唯一わかったのは、これだけやっても「欠片も情報を得られない」ということだけだ。


 その後もいろんなサイトをかなり丹念に読み込んだのだが、武幽電に関係しそうな情報に触れることはできなかった。そこで玄は方向性を変えた。ゲームに三国志の武将の魂が封印されているということで、霊魂や怪奇現象などのオカルト系のサイトに絞って調査をしたのだ。そのほとんどが、たわいもない体験談やインチキ臭い霊能者のサイトばかりで、有益な情報はやはり見つけることはできなかった。


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