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広告と独白

《とある広告》


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ついに今春発売決定!

 

新作ゲーム機のここが凄い!


その一

 携帯ゲーム機初の光発電システム搭載!

  わずかな明かりでも半永久的に稼動。


その二

 立体投射システム搭載!

  なんと画面のいらないゲーム機。


その三

 当社のスーパーコンピューターによるネット機能!

  電源を入れるだけでゲームの世界へ。


 ゲームの域を越えバーチャルに魂を吹き込んだ自信作! その名もVS。


 ……あなたは現実を忘れる


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


《とある技術者の独白》


 それは全くの偶然だった……


 いや! 事故と言ってもいいかもしれない。何が原因で何故あのようなものができたのか、発売を一ヶ月後に控えた今もまったくわからないからだ。


 ただ、いままで何度もそうであったように私たちは次世代ゲーム機の開発に、あたっていただけ。


 市場へ売り出すための携帯端末機。そして、それの親機にあたるホストコンピューターの開発だ。


 システムとしては、現在主流のインターネットを経由したゲームと理屈は同じだ。


 パソコンやスマートフォンの代わりに、その携帯端末機を持ちゲームの為だけに特化したスーパーコンピューターと連携してプレイする。

 そういう形態のゲームになるはずだった。


 実際、開発は順調に進んでいた。

 多数のユーザーからの、多様で多量な情報に対応するため。増え続けるであろうソフトのための容量確保や拡充計画も、全てが上手くいっていた。


 それなのに……なぜあんなものができ上がったのか。


 検証のために、おなじものをおなじように作っても、決してあれとおなじものにはならなかった。


 作成段階でなに一つ変わった事をした訳ではないのだから当然のことだ。……いったいどうすればいいのだろうか。私にはわからない。


 ただ、そんな私の悩みをよそに上層部はそれをよしとした。


 一般の為のコンピューターは、検証のために組み立てた普通の物を使用することした。そして、私たちにはこいつの実用性と特殊性を試す為にあるソフトを開発させたのだ。


 それこそまさに、神をも冒涜するような非人道的なゲームソフトを。


 だが……あんなものが、いまここにあること。それこそが神の奇跡としかいいようがない。


 ならば、それによって行われる行為が、神に対する冒涜だとするのなら天上の神々にも自虐心があるとでもいうのだろうか……。


 ふ……我ながら馬鹿なことを考えている。まあいい……私は指示されたことを粛々とやるやるだけだ。


 それにより何が起ころうと、もう知ったことではない。結果として、私はこの仕事で大きな報酬を得た。多分に口止め料が含まれた金額だとは思うが……。


 どうせ誰かに漏らしたところで、信じるはずもない。通帳に記載された、いままでの生活では考えられない程の0の数。それで充分だ。


 もう、神だの仏だのを恐れる歳でもない……それに、いまとなっては神すらも……


 神すらも人間は支配できるのかも知れない。


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