ヒーロー 初めての人助け
ヒロが死んで転生しましたね。
「 ここが異世界かぁ…」
シダ植物が生い茂っているここは、シダフォレストである。
一息ついたのも束の間、目の前には恐竜?みたいな化け物に食われそうな女の子がいた。
「助けないと!でも、どうすれば…くっ、考えるだけ無駄か…」
ヒロは、その場でスタンディングスタートのポーズをとった。
「よーい、どっ…ん⁉︎」
自分でも驚くほどの驚異のジャンプ力だった。まさに光速の出来事で化け物の顔の前に瞬間移動した。
咄嗟に、拳を握り締め、思うがままに叫んだ。
「吹き飛べぇ!!!!化け物ぉお!!」
強烈な右ストレートが化け物の顔に刺さりその間空めがけて一直線に飛んでいった。ヒロはそのまま空中で1回転すると体操選手のように華麗に着地した。
「何コレ!?俺、ちょーつぇーじゃん!!」
興奮冷めあらぬ中、ヒロはハッとして、食べられそうだった、女の子に声を掛けた。
「弱きを助け!強きを挫く!空に瞬く、一等星!スーパーヒーロー!ヒロ参上!!俺が来たからにはもう安心です!」
自分の中で100点満点の自己紹介をしてニカッ!と笑う!しかし、自分が助けたのが女の子だと再確認したヒロは、ドキリとした。
「うっ…うわぁぁん、じぬがど思っ…だぁぁぁ〜!だずげでぐれで、ありがどうぅっ…」
その女の子はゴキブリもびっくりなスピードでヒロに抱きつき、泣き噦る。
しかし、ヒロには苦手なものがあった、女という生き物である。歳が離れたやんちゃ姉が2人いたヒロは2人の良い遊び道具で、幼稚園児の年少の頃から、プロレス技をかけられたり、おやつをとられたりと、それはもう散々だった。なんとそれは中学卒業するまで続いた。
そんなこんなで、女という生き物に恐怖を感じるようになってしまったのである。
それが原因でヒーローが好きになるのは別の話である。
流石に失禁するほどではないが、身体震えてしまうヒロであった。
「そっ、そろそろ、離れてくれないか!」
「あう…ゴメンナサイ…」
鼻水と涙でぐちょぐちょになっている女の子を引き剥がす。
「それにしても、貴方、凄く強いのねぇ」
「あっ、ああ…それ程でも無いよ」
女は苦手だか女性恐怖症まてはいかない、触れられたらまずいが、会話くらいならなんとかなる、しかしよく見ると結構可愛いなと思ってしまう。そんなところは男の子である。
「あっ、自己紹介がまだだったね、私はカトレアよ、貴方はヒロで良いのかしら?」
「あぁ、俺はヒーローを目指す者、ヒロと呼んでくれて構わない」
「ひーろー?っなに?」
なぜ、知らないんだと思い、あぁ、ここは異世界か、と思い直した。ヒーローを、知らない相手にあれこれ語っても仕方ないので簡潔に説明する。
「まぁ、善意で人助けする、勇者みたいなもんだよ剣は使わないけどさ」
「へぇ〜そうなんだ」
「聞いた割には興味無さそうだな…」
「えっ、だってひーろー?なんて知らないし勇者様みたいなもんならわかるよ、まぁ、納得した。」
「話は変わるけどここは何処で、君は何していたの?」
「そんな事も知らないでこの森に来たの!?でも、助けてくれた恩もあるし、特別に教えて上げるわ!」
それからここは、南の大陸にある、ネピアン王国より1番近いシダフォレストという場所だと、教えて貰った、さらにこの世界は、魔王及び、魔族が住む北の大陸、主に獣人などが多く住む東の大陸、最後にエルフや、巨人族の住む西の大陸に分かれていることを教えて貰った。
ヒロがいくつか質問しようとした時に、カトレアはハッとなって今、ここに来ている理由と、幻の薬草について話した。
「どうしよう、早くしないと、お父さんが死んじゃう!ヒロお願い!助けて!」
「俺はヒーローになる、漢だ!いや、今から俺はヒーローだ!任せろ!その幻の薬草は何処にあるんだ!俺も一緒にカトレアのお父さんを救う!」
「本当にありがとう!1つだけ心当たりがあるの、ついてきて!」
「あぁ、もちろんだ!」
泣き止んだばかりの腫れぼった目を擦りながらも、しっかりとした足取りで進んでいくカトレアの後ろ姿を見ながら、これから始まる冒険にヒロは心を踊らせるのと同時に、カトレアのお父さんを絶対に助けるんだと心に誓うのだった。
文字で気持ちを伝えるのは難しいですね。
これからもよろしくお願いします。