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お題「電気」「墓場」「輝く廃人」
ジャンル「偏愛モノ」
墓場。そう俺は今罰ゲームで墓場に来ている。負けた二人が肝試しだったはずだが片方はダウンしてしまい一人で行くことになった。
他の奴らは入り口で待っている。墓の奥にある水を汲んでくる。それだけだった。
この墓地は入り口に近いほど新しく奥に行くにつれてどんどん古くなる。なんと江戸時代の墓まであるとか。ただしもう奥まで行くと手入れされておらず道のようになってしまっているが。
「俺だって怖いもの苦手なんだよ……」
「私もよ」
思わず誰かいるように一人二役してしまった……ってしてないしてな……………。
え? うそだろ?
少しずつ声のした右のほうを見る。
見るからに死んでいる人の着ているやつ着てる。いやそんなはずは……ねぇだろ。あいつら仕組んだのか? クソが。
「おい。お前死んでるの?」
「初対面でおいはないでしょ? まあ三年くらい前にね。だから顔白いんじゃん」
「へぇ〜三年くらい前に……」
「あ、ちょっと逃げるな!」
「逃げるなって言われたってまだ死にたくねぇよ!!」
「殺さないわよ!! どっかの悪霊と違って!」
「その口調だと知り合いみたいだな! てか同じだろが!」
「同じじゃないわよ! これでもいいところのお嬢様なのよ!」
「死んでたら意味ねぇし!」
「死んでも意味あるから!」
ーーーー
「お前必死の形相で走ってくるとかどうしたの?」
まさかでたとか? そういって笑い出す。
「……笑いごと……じゃねぇし」
肩で息をしているが振り切れてよかった。
まだ追いかけるのかよ。とか思いつつめっちゃ曲がりまくったからな。
とりあえずよかった。
「よし帰るぞ」
『おー!あー楽しかった』
「楽しくないから……俺マジで焦ったから」
「そうそう私も……走って疲れたし」
『……え?』
振り返るとさっきの女がいた。
もう一度前を見ると全員ダッシュで逃げていた。置いてくなし……。
「あんたもう逃げないの?」
「もう無理。マジ疲れたし家まで追いかけられたら困る。てかもう諦めた殺せ」
「賢明ね」
「伊達に学年トップとってねぇよ」
こいつ……なんで?
「なんで襲わないのって顔してるわね。殺さないわよって言ってるでしょ。私だって天国行きたいもの」
「天国?」
「そう。あなたには手伝って欲しいの!」
語尾に行くにつれて口調が強くなった。
よほど行きたいのか。
「生きてた頃は悪さしたのか?」
「失礼ね。してないわよ」
「まあ……いいよ手伝ってやる」
どうせ暇だしな。
ーーーー
気がつけばいつも彼女といた。
土日に彼女のために行動して平日は普通に暮らした。そのせいで友達には付き合い悪くなったなとか言われたけど。
学校にも来たし、一人暮らしでいたせいかご飯も作ってくれた。
帰るときも一緒。一緒でないのは風呂ぐらいだった。
楽しかった。正直好きになっていた。
恋愛とか偏愛とか純愛とかよく分かんないけど幸せだった。
それだけにだんだん辛くなっていった。
土日が来るたびに憂鬱になった。
月曜日に彼女がいると嬉しかった。
だからーーーー
「どうしたの? 電気もつけないで。ご飯できたよ?」
「なあ、あのさ……え?」
見ると肌が透けて向こう側が見えるようになっていた。
「そっか……もう四年目だもんね。消えてもおかしくないよね。まあ楽しかったし」
「楽しかったじゃねぇよ! もっと探しに行くんだろ! 消えたら天国いけんのか!」
「もう天国だったよ」
「っ!!」
「あなたと過ごした日々が天国みたいだったよ」
透けるのがひどくなっていく。
「俺だってお前といれて幸せだったよ……」
「でもあなたは生きている。だから死んだ人が関わり続けるのはよくないでしょ?」
「俺は……いいよ……」
「ダメ。あなたは生きている責任を持ちなさい。頑張ってみなさい。なんでもできる。だから辛いのもわかる。けれど何か求めるんでしょ?じゃあ頑張ってみなきゃ!それが生きている責任」
「責任……」
じゃあね。待ってるし見てるからさ。
ーーーー
輝いて見えた。それまで廃人みたいだったのに。あなたと初めて会った日、今でも忘れない。五年前あなたは中学生、私は高校生。あなたは家出した私を救ってくれた。
ありがとう。だから恩返ししたかったんだ。
……少しかっこよくなってたな。
でも残念。縁があったらまた会いましょう。
ーーーーいい人見つけなさいよ。
なんでこんな難しいお題出すのさ(´・_・`)
因みに『三題噺メーカー』でいつもお題を出してもらっています。
てか本当にさぁ。廃人輝いたら廃人じゃないだろ。昨日も荒ぶるかけらとかRPGの錬成の素材かよ。




