12.
お題「土」「ミカン」「最強の枝」
ジャンル「王道ファンタジー」
冬の土とは相性が悪い。
自身が黄属性の魔術師だからか少し力が弱まる。雪で覆われてしまうとこちらよりも青属性の魔術師のほうが有利だ。
だから逃げるに限る。
魔人と呼ばれた7人。
懸賞金は1人200万ガルド。破格だ。
その1人だった。
正直倒せない相手ではない。
そんな相手だった。
しかし今は冬であり、力が弱まっている。だから逃げていた。
「おい! 俺を狩ると200万だぞ! 逃げんじゃねぇよ! 楽しませろ!!」
そんなことを言われても相手は紫の魔導師で雪での影響はない。
つまり相手のほうが有利だ。
近くに穴があったのでその中に隠れる。
「おい! どこいった! こっちか!」
……行ったようだ。正直助かった。
ポケットの中のミカンを食べる。
少し休んでから行こう。
そう思ってた。
穴の奥が洞窟になってることに気付く前は。
ここら辺はもともと有名な魔法戦争のあった場所で今もその影響で人が住みにくい環境を形成している。
木々は限界を超えて成長し人知の及ぶ場所で無くなってしまった。
今回はある草を取るために来たのだが……
まさかあいつに会おうとは思いもしなかった。
洞窟は奥深くまで広がっていたが歩く足は止まらなかった。
そしてやはりあった。
最強の杖が。
とある魔導師の使っていた杖。
魔力を最大限まで引き出せる大物だ。
自分の職業柄、都市にぜひ持って帰りたかった。
自分は教授でもある。
とりあえず右手に持ちその洞窟を去った。
ごめんなさい。