藤咲くんと嫉妬…?
どうしよう
「……。」
沈黙はいつもの事、だから良いんだけど(いや、良くは無いんだけど!)…それより
「……」
何故か空気が重い!!!そして歩くのめっちゃ速いです藤咲くん!!
もともとのスピード差にプラスして今は何故か藤咲くんは早歩き。手を掴まれているので置いていかれはしないけど、私は今小走りしている状態だ。
…はじめて一緒に帰った時みたいになってる気がする。か、かなり足が限界
「…っ、藤咲くんっ!!」
「っ!!」
ぜえぜえと息をしながらもなんとか声を振り絞って藤咲くんの腕を引っ張ると、驚いたような顔をして藤咲くんは私の手をパッと離した
「…ごめん」
そしてそれだけ言って今度は少しゆっくり歩き出してしまった。
…これは、何か怒ってるのかな。どうしよう、私なにかしたかな
「…あのさ」
「はっ、はいぃ!」
考え込んでいたらいつの間にか藤咲くんに声をかけられていた。
ま、まさか藤咲くんから声がかかるとは思わなくておもいっきり驚いてしまった…
「なに話したの…」
「へ」
「…さっき、杉田と」
「あ、純平くんですか」
「…は?」
突然少し前を歩いていた藤咲くんがバッとこちらを振り返る…え、え?なにかしましたっけ
「なに、純平って」
あれ、藤咲くんって友達なんじゃなかったっけ?名前…知らなかったのかな
「え、と杉田くんですよ?さっき話していたときに名前で呼ぶことになって…」
「ふーん…」
そこまで言うと藤咲くんはまた前を向いて歩いて行ってしまった。
「楽しそうだね」
「え、は、はい…?」
前をスタスタと歩く藤咲くんを見て、ある事が頭に浮かんだ
い、いやいやいやいや!
落ち着け!落ち着こうか私!つい最近調子に乗らないって決めたでしょ?!
でも…少し、少しだけ
「…あの、藤咲くん」
「…何」
「もしかして、ヤキモチやいてくれたんですか…?」
「は?!」
ピタッと藤咲くんが立ち止まって再びこちらを向く
「え、いや、あの、違うと思うんですけど!!私が、純平くんって呼んだりとか、楽しく話してたりとか、少しは嫌だって思ってくれたのかなぁって」
「……。」
あああ藤咲くん無言っっ!!
「な、なんちゃって!そ、んなわけないですよねー!ただ、あの」
「…。」
「そうだったら…嬉しいなぁと、思った、だけで…」
う、うわあぁ。何言ってるんだ私は!ううう、藤咲くんもなんで無言でこっちをみてるんだろう、歩き出してくれて!全然!構わないのにっっ
数秒そうして無言でいたあとに、突然藤咲くんがぽつっと喋り出した
「…そうかもね」
「……………へ?」
今、何て?
「嫌だって思ったらそうなんでしょ?…だったら少しはそうなんじゃない」
「……えっ?!」
「自分で言っといてなに赤くなってんの。……早くしないと置いてくから」
「えっ、ちょっ!待ってください!!」
頭が、頭の整理ができてない。
待って、待って待って待って
「藤咲くん」
「……何」
あぁ、振り向いた顔が赤い、私も同じくらい今真っ赤なのかな
「大好きです」
なにか言いたくて思わず口から出た言葉に、藤咲くんは少し驚いたように目を開いて、その後また眉間にシワをよせた
「……知ってるけど」
「…ふふ、」
「何にやけてるの、」
「ごめんなさい…ふふ、」
「……変な子」
この日、藤咲くんは不機嫌そうだったけれど私はなんとなく藤咲くんに近づけたような気がして、嬉しくてにやけるのを抑えきれなかった。
この後、別れるまでにやにやしていたら藤咲くんに、にやにやしすぎだからと怒られたのだけれどそれでも幸せな一日でした。