表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

いざ、遊園地

…とうとう


「へぇー、結構大きいんだ」

「ソ、ソソソウデスネ」


とうとう、来てしまいましたよ!遊園地!!待ちに待った藤咲くんと初めてのお出かけ!


「そ、そそそそれでは、さっそく、な、中へ入リマショウ」

「…ねぇ、いつにもまして変だけど大丈夫?」

「へい!?それはもう!!めっちゃめちゃ元気です!」

「……元気なのはわかるけど」


まぁいいや、と歩き出す藤咲くん。いつも通り少し歩調をゆっくりにしてくれるのでその横に並ぶ


…だめだ、いつもと同じ事をしているはずなのに、今日は妙に落ち着かない!頭はふわふわだし思考はまとまらないし…あれ、いつもそうか

と、とりあえず落ち着かなきゃ私、これ以上藤咲くんに変な子だと思われるのはつらい


休みの日という事もあってか賑やかな園内を歩きながら私は落ち着くため昨日りんちゃんと話した事を再確認することにした


えーと、まずは服装!わ、私変じゃないよね?…ワンピースなんて、まさにデートです!!って格好だけど。りんちゃん、なんでこれにしたんだろう、選んでくれたのはありがたいけど少し恥ずかしい


普段着る物より大分可愛い感じの服装なので藤咲くんの第一声が〝それ似合わないね〟とかじゃないかと心配したけれど、とりあえず無反応だったのでセーフだと思いたい


え、えーと、次、次はなんだっけ


必死に昨日の事を思い出す。


「あ、そうだ…手」

「え?」

「え?!あ、いや、手、手乾燥しますよねー!」

「…あんたくらいじゃない?」


あははーと笑ってごまかす。あ、危ない危ない思い出したよ、りんちゃんに指令された今日の最終目標


〝とりあえず、ちゅーなんて絶対無理だと思うから手くらい繋いできなさい〟


あああ、なんって事を思い出しちゃったんだろう私!思い出しちゃうと意識せざるを得ないじゃないかー!!


ちらっと隣にいる藤咲くんをみる。どうやらマップを確認しているらしい、とても真剣だ


…というか、私服、か、格好良いなぁ


全体的に落ち着いた色合いでまとめられていて、特に紺色のカーディガンなんかとてもよく似合っている


こんな格好良い人と、手、手なんてっ!ていうか手ってどうしたら繋げるものなの、なにかコツとかあるんですかね!?わ、わからない…ハードルが高すぎますよりんちゃん

第一、このお出かけを誘うにも一苦労した私が藤咲くんの手なんか握れるわけがない


「ぅぁぁぁー…」


ダメだ、想像だけで悶えそう


「…ねぇ本当に大丈夫?」


あああいけない!本気で引かれてる!これは!


「だ、大丈夫です、すいません!えーと、まずはどこに行きましょうか」

「…そうだね、こういう所来たのはじめてだからイマイチわからないけど」

「あ、そうなんですか!」


確かに、正直誘う前も藤咲くんあんまりこういう場所好きそうじゃないかなと思っていたけど


そっかーはじめてかぁ


「えへへ」

「……なに笑ってるの」

「へっ、い、いや!なんでも!!」


藤咲くんのはじめてを私が一緒にーなんて、そんな、そんな気持ち悪いこと考えてなんかいませんよ!!?

危ない危ない、浮かれすぎ注意だ


「あ、じ、じゃあせっかくですし遊園地らしい乗り物に乗りましょう!」

「遊園地らしい乗り物?」

「いわゆる、王道というものです!藤咲くん絶叫系はいけそうですか?」

「…まぁ、多分」

「では行きましょう!!」


うん、色々考えていても仕方がない!まずは藤咲くんにはじめての遊園地を楽しんでもらうことを考えよう!






「えーと、チケットを買ったらここに並ぶんですよね」

「…走ると転ぶよ」


呆れ顔の藤咲くんの指摘にすいません、と笑うとぴしっとデコピンが飛んできました。こ、この間一度されてから容赦ないですね藤咲くん?!


「い、痛い」


というか藤咲くんが保護者みたいになってきているような…あれ?


「…結構並んでるんだね、人」

「そ、そうですね。さすが王道」


どうやらこのジェットコースターはこの遊園地の目玉の一つのようで高さとスピードが売りなんだそうだ(遊園地マップより)


「そんなに面白いの?これ」

「面白いですよ!私は大好きです」


あの登る時のドキドキ、そして急降下!遊園地に来たらまずはこれ!というくらい私はジェットコースターが好きだったりする


「あ、今ちょうどジェットコースターが上に登ってますよ」

「どこ?」

「あそこです、あそこ、今ちょうど」

「郁、ちょっと危ないから柵から乗り出さな…」


ズルッ


「わっ」


ずるっと身を乗り出していた時に力をかけていた手が滑り、次の瞬間には身体がフワッと浮かび上がった


「っっ!」


そしてなにかが私をしっかりと支えた


「っ…ほら、だから言ったのに」

「ふ、ふ、ふじ、藤咲くんっ」


私を抱きかかえる形で支えてくれたのは藤咲くんだった。あんなに腕細くて綺麗なのに、片手で…私重いのに

ていうか、ふ、藤咲くん、藤咲くんがっっ、すぐ後ろに!声がっ、近っっ


て、今はそんな事考えてる場合じゃない


「す、す、すい、すいませんっっ」

「はぁ…あんたは自覚が足りない。自分はこういう事したら落ちる人間だってちゃんとわかって」

「は、はいっ!」


おっしゃる通りで!!!


はーびっくりした、と私を地面に降ろして藤咲くんは再び前を向いた


「…っ、っっ、」


そして私はびっくりやら申し訳なさやらで、それから並んでる間しばらく無言が続いたのでした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ