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お出かけしませんか

ある日の放課後


「あ、郁。はいこれ、あげる」


「え?」


ポンッと手に置かれたのは2枚の紙


「…サービス券?」


「そ、最近出来た遊園地あるでしょ。そこのサービス券…たしか観覧車かなんかが一回無料で乗れるんだと思う」


「えっ、え?!」


「ほらー、あそこ入場料じゃなくて乗り物乗るのにお金かかるでしょ?それが観覧車が一回サービスになる券で…」


「え、いや、あのそうじゃなくて!…りんちゃん一緒にいかないの?」


「誰があたしを誘えと言った」


「いたっ」


ぺしっとりんちゃんに頭を叩かれた。え、どういうこと


「?、???」


どうしてもりんちゃんの言いたいことがわからなくてヒントを求めると少し呆れながらも答えてくれた


「…あんたねぇ、こういうのはまず彼氏を誘いなさい、彼氏を!」


「…………か、…彼氏?」


「藤咲くんを遊園地に誘いなさいってことよ」


「え、ええええ?!」


なんと?!そういうことか!え、いやいやいや無理無理無理無理


「は、ハードルがっ、高すぎる!」


ドスッ


「いっっったああ」


「あんたは!彼女でしょーが!!」


り、りんちゃんのチョップ…っ、痛い!え、かなり鈍い音したよ、絶対脳細胞いくつか死んだよ?!


「ていうかあんた前に帰り誘うの無理とか色々言ってたけど結果どうにかなったじゃない」


「…あ、」


確かに。あの時は驚いた、それで今のようにほぼ毎日一緒に下校できるようになったんだっけ


「で、でも…」


「でも、じゃない!郁達はほんっとうにもう少し恋人らしくして良いと思うのよ」


「え、でも藤咲くん嫌がるかも…」


「彼女にデート誘われて嫌がる彼氏がどこにいるのよ、だから、気を使いすぎ!ほら、今日も一緒に帰るんでしょ?ついでにこれ、誘ってきな」


「えっ、えぇ?!ちょ、りんちゃ」


「言っとくけどそれ、商店街でもらったやつだから期限あるからね、ちゃんと期限内に使ってよ」


「い、いや、だからね、藤咲くんの都合があるかも」


「俺が何」


「っっ!!?」


「あ、藤咲くんこんにちはー」


挨拶するりんちゃんにどうも、と頭を軽く下げる藤咲くん。


…い、いつからそこに…っっ!?


「…あ、っ、ふ、藤咲くん…何故、ここに」


混乱する頭を必死で回転させながらそう問うと少しムッとされた


「遅いから、どうしたのかと思ってきただけ」


「あ、すいません。りんちゃんと少し話してて…」


そうだよね、もうHRおわってだいぶたつもんね、うわあぁ藤咲くんを待たせるなんて…


「別にいいけど……もう終わった?」


「え、あ、はい!」


「じゃあ行くよ」


「はい、あ、りんちゃんそれじゃあ…えーとありがとう!」


「はいはーい頑張んなよー」


そしていつもの通り少し早いペースの藤咲くんに追いつくべく小走りをした。





私が追いつくとそれをチラッと確認した藤咲くんが歩調を少しおとしてくれた。


「えっと、すいません話し込んじゃって…」


「…それはいいってば、で、俺の都合がどうかしたの」


「え」


思わずギクリとする。や、やっぱり聞いてましたよねぇ


「い、いや大したことじゃ…」


と言いかけてハッと口を抑える。

もしかしなくても、これはチャンスなのでは?こうやってこの話題に触れられてる今の方が後から切り出すより言いやすいし、もし断られたら…そ、その時はその時で別の話題を探そう!

そんな事を考えた(その間0.2秒)私は話を切り出す事にした。


「あ、あの藤咲くん!」


「え、何」


会話の途中に突然意気込んで話し出してしまったからだろう、藤咲くんが驚いた顔をした


「あ、あの、そのっ」


緊張で思わず顔が赤くなる、どんどん焦って言葉が上手く出なくなってきた


うわぁ、どうしようなんて言えば


「ちょ、どうしたの、とりあえず落ち着いてよ」


藤咲くんがわざわざ立ち止まってくれたので落ち着くために深呼吸をする。うん、落ち着こう私

……よし、


「こっ、今度の土曜日か日曜日お暇ですかっ!」


「え?」


きょとんとする藤咲くんを見て一瞬ためらったが止まったらもう話せなくなってしまいそうだったので一気に喋る


「さ、さっきりんちゃんにですね、このチケットをもらいまして、期間限定のサービス券みたいなんです…そ、それでその、藤咲くんさえ良ければ、いっ、一緒に行ってもらえませんか!」


…い、言えたああぁ!

うん、言えた、恥ずかしくて下を向いちゃったけど言えたよりんちゃん!


しばらくの沈黙の後、たえられなくなって顔を上げると少し戸惑ったような顔をした藤咲くんと目が合った


「…それじゃあ、土曜日に」


「え?」


そしてまさかのあっさりオーケーがでた


「え、あ、あの本当…ですか?」


「なんで嘘を言う必要があるの…もしかして今の冗談かなんかだった?」


「ま、まさかっ!」


「じゃあ決まりね、時間は?」


「え、ええと、午前でも良いですか」


「わかった、じゃあ11時に駅で」


「は、はっ、はい!」


うわぁ、うわああっ。

藤咲くんと、お出かけできるんだっ、藤咲くんと…っ


「あ、あのっ」


「何」


「ありがとうございます!楽しみにしてますね!!」


「……ふぅん、そう」


それだけ言って藤咲くんはまた歩きはじめてしまった


「…なんであんたそんな恥ずかしいこと普通に言うの」


「え?何か言いまし…ぶっ!!」


藤咲くんが何か言ったような気がしてそっちを向こうとしたら突然藤咲くんの手がガシッと私の顔を覆った。…い、痛い


「何も言ってない、言ってないから!こっち向かないで」


「…ふ、ふぁい、すいまふぇん?」


…どうしたんだろう?

とりあえず言われた通り顔の向きを変えるとスッと手を離してくれた。


「……。」


その後何度か盗み見ようとしたけれど全て阻止されました。すごい反射神経だね藤咲くん!


とかなんとかやっていたら、いつの間にかいつも別れるところまで着いてしまった


「え、と…それじゃあここで」


声をかけて立ち去ろうとすると突然後ろからグイと手を掴まれた


「…え、あ、あの藤咲くん?!」


な、なななっ!どうしたんだ藤咲くんはっ!?顔っ、顔今絶対赤い、落ち着け私!


「え、ええと」


「……俺も」


「え?」


すると今まで目を合わせてくれなかった藤咲くんがやっとあわせてくれた


「俺も…その、土曜日、た、たの……」


「?」


「たのし……ませてもらうって、それ、くれた子に、お礼、言っておいて」


「あぁ、りんちゃんですね!わかりました、伝えておきます!」


「……よろしく、それじゃあ」


「あ、はいまた明日!」


……藤咲くん律儀だなぁ




その夜、電話でりんちゃんに今日の事と藤咲くんがお礼を言っていたという話をしたらしばらくの無言の後ため息と共に、藤咲くんも苦労するわね、と一言。……なんで


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