来島アキと北郷正輝の対面 その2(1)
何となく思いついたので、書きました。
「――何故ここに居る?」
「貴方が私に会いたくなった様に、私も貴方に会いたくなった……それだけです」
北郷正輝と来島アキ――2回目の会合は、とある墓地にて。
正輝がある墓の前で、手を合わせ黙とうするその後ろに、アキが花束を手に立っている形で。
「――彼女の墓ですか?」
「……余計な事かもしれんが、既に死んだ事は伝えた。ならば、墓が必要になるだろう?」
「勝手ですね」
「可能性はな――時に残酷な物なんだ。帰ってくるかもしれないと期待を抱いて、それが裏切られ続ける苦痛は、我にもわかるんだ」
「……」
「さて、話があるのだろう? ならば、場所を変えようか」
――墓場に殺戮者が長居する物ではないからな。
そう言って、正輝はアキを伴い場所を移す。
「――で、話と言うのは?」
「憤怒が傲慢とぶつかった事はご存知でしょう? ――その時、正義に一体何があったかを聞いた物で」
「大神か……それで?」
「それなのに貴方は一体、どういうつもりであんな発表をしたのか……貴方は一体、人の何を見て限界を悟ったのかを、聞きに来ました」
「――まず、前者の方は可能性が0と1とでは、大きな違いがある。そして後者は……どこまで聞いたかは知らんが、太助に降りかかった不幸と、大輔が九十九に変貌した事実で思い知った事だ」
人は他人の見捨て方を確立した時点で、それ以上など存在しない
「――人を助けるのも救うのも変えるのも、人だけ……その人が他人の見捨て方を確立させたその時、あるのはただ地獄だけだ」
「この世界に救いはない――その真実を思い知ったがゆえに、ですか?」
「大輔が九十九に変貌してからと言う物、正義の傘下が今の思想に染まるのは早かったよ。それこそ、ダムが決壊するかのようにな」
「……もうとうに、人を守る事に意味をなくしていた、と言う事ですか」
「――ああっ、そうだ。更にそれが正解となった時は、正直な話絶望すら覚えたよ」
苦笑しつつも、眼は悲愴に彩られているのを、アキはなんとなくだが直感で感じた。
「――では、貴方は何故?」
「ん?」
「何故、その思想を掲げたのですか? ――間違いだとわかっているのに」
「――見捨てられる訳がないだろう。我までこの事実から逃げたら、一体誰があいつ等を……我を信じて、平和を守りたいと願ったあいつ等を、人間に戻すと言うんだ?」