憤怒と慈愛の穏やかな休日(3)
こういうの書いたの、久しぶりです。
色々と意見もらえるとありがたいです
--最近手ごたえがあるかどうかがよくわからんので、出来れば何か一言置いてってくれるとやる気が出ます
ほうじ茶に羊羹、それから饅頭にどら焼きなど、一通り買った後に自然公園へと2人は歩を進める。
それから適当なベンチに腰掛け、2人は思い思いにそれらを食べ始める。
「これで花でも咲いてれば、言う事なし何だろうけど」
「自然と触れ合う事も大切ですよ」
「それもそうか――いや、これはやめとくか」
「?」
「いや、こっちの話」
何でもない話題を出しては、互いに笑ったり、相槌を打ったり――
何でもない時を過ごしていた。
「――なんか、和菓子食べて日光浴しながら話しただけだった様な」
「居心地は悪かったですか?」
「まさか――バカみたいに女囲うより、こういうのの方がいいよ俺は」
「……それを聞いて安心しました」
柔らかく笑みを浮かべる怜奈に、裕樹は照れ臭くなった事とその笑顔に見惚れたのを誤魔化す様に、そっぽを向いた。
「――ここってこんなにきれいだなんて、知らなかったな」
「……そうですね」
「――誰かを傷つけたり、誰かを騙したり、誰かを殺したり……そんな事やりたがってる奴が居るのが信じられない位に」
「――そうですね」
「――こうしてる方が、逆に不思議な……そんな気がする」
朝霧裕樹は、負の最強格“憤怒”
水鏡怜奈は、正の最強格“慈愛”
――それを考えれば、不思議と言う言葉が出てくるのは自然かもしれない。
「――不思議である事が逆に不思議。そうは思わないのですか?」
「思ってるさ――だけど、そう思わずにはいられないって事」
「……」
「――それを何とかする為に、俺は宇宙と同盟を組んだ。位の自覚はあるよ」
「……それを先に言ってください」
悪い、とそう言って、裕樹はお茶を手渡す
それを受け取って、一口飲み――怜奈はふうっと一息つく。
「…………」
「…………」
その後、どうにも声を出せないまま、2人は無言の時を過ごす。
お茶は全部飲んでしまい、お菓子も既に空となり――
「俺、ちょっとゴミ捨ててくるわ」
「いえ、ワタクシが――」
コツっ――!
「あっ――!」
「……!!?」
お菓子の空箱を取ろうとして、2人は額を当て合う形になり――そこで目があった。
時間が止まったような感覚。
自身の鼓動を大きく感じる様な――そんな中で、声も出せないまま2人は互いの瞳から目が離せなかった。
「…………」
「…………」
――カランッ!
「――! ごっ、ごめん!」
「――! すっ、すみません!」
ほうじ茶の缶が落ちた音で我に帰り、2人は飛びのくように離れ――背を向け合う。
「――はーっ、はーっ……俺のマグマすら段違いに熱い」
「……はっ、恥ずかしい……」
裕樹は自身の能力及び、契約条件である憤怒とは全く違う熱さに戸惑い――
怜奈は真っ赤になった顔を手で覆い隠した上で、掌に能力を展開し物理的に冷やしていた。
「……なんか、冷たいの買いに行こう」
「……そう、ですね。丁度、アイスクリームの露店があるようですので」
「……じゃあちょっと」
「いえ……一緒に行きます」
その後、2人でアイスを買いに行き――
露店で売り子をしている女性は、何かを感づいたのか微笑ましく応対していた。
「……」
「……」
そして再びベンチに戻り、先ほどとは違う意味で互いに言葉を発せず、ただ買ったアイスを食べる事に専念し――時分は夕方に差し掛かっていく。