季節企画話 『月見』
本日は十五夜
そんな日のある場所で……
「……ソバの手打ちなんて、初めてだ」
一条宇宙はソバを打ち……
「俺は、手製のつゆ作りってか、本格料理が初めてだ」
朝霧裕樹が、そのそばに使うつゆを作っていた。
勿論、今回の友好企画である“十五夜”の準備の為に、2人は月見そばを作っている
「……それはいいがなあ」
「……この量は流石に」
そう言う2人の顔は、げんなりしていた。
何せ荒川公人、鳴神王牙と3mの巨漢だけでも大変なのに、人億倍は食べる明治我夢が居るのだから、食事の準備も大変となる、
余談だが、王牙と公人はまるで鍋位はある特注ドンブリに対し、我夢のは風呂桶かとも言わんばかりの物である。
「「……はぁ」」
「どうした? ため息など……すまん、失言だったな」
配ぜんを手伝いに来た御影凪が、苦笑しながら謝った。
そして完成し……
「はっ!」
「よいしょっ!」
「はっ!」
「よいしょっ!」
「……なあ宇宙、凪、何やってんだあれ?」
「餅つき、じゃないか?」
「宇宙、朝霧が言いたいのは、何故王牙と我夢がそんなことしてるのかだと思うが」
「…………月見、だからじゃないか?」
「…………そうとしか、言えないだろうね」
「……めんどくせえ」
ビッグサイズの臼を囲い、鳴神王牙が杵を振るい、明治我夢が臼の餅をこねる
その様子を、月見ソバを持ってきた宇宙と裕樹。
そして、月見団子を作ってきた北郷正輝と天草昴、それを運ぶ荒川公人がそれを見て、呆気にとられていた。
「へえっ、団子うまそうだな」
「そうか? 褒められて悪い気はせんな」
「……って、北郷が作ったのかよ!?」
「茶菓子は茶の様に上手くはないがな」
「そうかな? 手際は良かったし……」
昴がげんなりとした表情で、正輝が運んでいる団子――1個でバスケットボールサイズの物と、その倍はありそうな団子に目を向ける。
「我夢君達の分まで準備するのも、手間があまりかからなかった位だったからね」
「……そうだな」
「何をやっている? 既に準備は整っているぞ」
「楽っちゃ楽でいいがな」
場を整えていた大神白夜と武田シバが、退屈そうに声を懸ける。
「ああっ、悪い悪い」
「……って、あれ? また女性陣が――」
「女性陣が、何?」
「ってなんだ、居たの……」
宇宙はそこで言葉が詰まった。
「「お・ま・た・せ♪」」
宇宙の目の前――そこには確かに、女性陣が勢ぞろいしていた。
しかし花柳月、アスカ・ホークアイがノリノリで、怜奈が恥ずかしそうにバニーガールの格好をしていて、宇宙は度肝を抜かれていた。
「……何やってるんだ?」
「何って、バニーガールだけど?」
「月と言えばウサギだからね」
「……おいおい――ってえ!?」
裕樹は2人の後ろ……身体を隠す様に縮こまってる、同じくバニーガールの恰好をしてる水鏡怜奈をみつけ、ぎょっとした。
さらに言えば、月が網タイツ、アスカが黒のストッキングを穿いてるのに対して、怜奈は素足で、雪のように白い肌を晒している。
「……はっ……恥ずかしい、ですよ。せめて、ストッキング位……」
「……おーいアスカに月」
「大丈夫よ。こんな真っ白できれいな肌、どこも恥ずかしい事はないから」
「そうそう、怜奈ちゃんだけに雪うさぎってね」
「…………(むっすうっ!)」
「あっ、詠……は、なんできぐるみ!?」
その横で、ムスっとした詠は、ウサギのきぐるみだった。
『……ふざけるな! こんな恥ずかしい上に、このおっぱいオバケどもと比較される様な恰好できる訳がない!!』
「ちょっ、おっぱいオバケは酷いでしょ?」
「そうだよ。オバケはないよ、せめて巨乳ちゃんとか……」
「――アスカさん、火に油です。それに恥ずかしさではさして変わりませんよ」
「さてと、ソバも並べたことだし、ユウはほっといてさっさと食おうぜ」
「オイコラシバ!! 何気に俺を生贄っぽい立ち位置にするな!!」




