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大罪と美徳 短編集  作者: 秋雨
大罪美徳親善企画集
30/31

季節企画話 『海』


「……次は海か」


炎がプリントされた黒いトランクスタイプの水着を着た朝霧裕樹が、何故か斬城剣を担いでそう呟いた。


「ま、夏と言えば海だろ」


サングラスをつけ、こちらもトランクスタイプの水着を着ているが、こちらは上にパーカーを羽織っていた。

かつて正輝との決闘でつけられた傷跡を隠すかのように。


「――しかし、色々とやるモノだな」


そう言ったのはウェットスーツを纏い、手にはサーフボードを担ぐ北郷正輝。


「……色々やらねば、友好企画にならんだろう」


その後ろで、アロハシャツを羽織り、サンダルに短パンという格好の大神白夜。


「そうだろうね」

「……うむっ」


それに続いて、Tシャツにサンダル、メガネをサングラスにした天草昴。

その隣に居る凪は、普通の飾り気のないトランクスタイプだったが、腕のタトゥーが露わになっていて、どことなく不良っぽい印象が出ていた。


「……めんどくせえ。もう眠い」

「少しは楽しむと言う事をしろ」


遊ぶと言うより、日焼けの為に寝っ転がる用のシートを手にした、荒川公人。

そして暑苦しさを前面に出している、フィットした海水パンツを着ている鳴神王牙


「小生、泳ぐのは得意ですよ」

「それはいいが、眼に痛いから着換えろ」


ブーメランパンツの水着を着た、明治我夢が準備運動を行っていて。

その横で、防水性のネックレスに上着を羽織り、金持ちのリゾートっぽい雰囲気の武田シバが、悪態をつく。


「さて、と……なあユウに宇宙、お前らは誰のが楽しみだ?」

「? 何が?」


そんな中で、シバが裕樹に歩み寄り、世間話でもするかのように気楽そうに声を掛ける。


「とぼけんなって。女性陣の水着がだよ」

「……おいシバ!」

「怒鳴るなよ宇宙。それに海に来たんなら、定番じゃねえか。考えてみりゃ、ユウは慈愛の水鏡と、宇宙は友情のアスカと仲良さそうだしよ」

「アスカと?」

「そうか? うーん……どうだろ?」

「まあそれはそれとして、どうよ? 水鏡がどんな水着着てくるのか、楽しみじゃねえか?」

「――下品だぞ、シバ」


それを見かねたのか、凪が割り込み注意する。


「横から割り込んできて、固え事言うなよ凪。別に水着なんてファッションじゃねえか。楽しみにしてりゃ、褒めるのにも力が入るだろ?」

「――ならばいいが、あまりにあからさまなのもどうかと思うぞ?」

「へいへい、以後気をつけますよっと。で、どうよユウに宇宙?」

「まあ、否定はしないけどな」

「俺だって、楽しみじゃないって言えばうそになるけど――ってか、お前はどうなんだよ?」

「オレは、どっちかっつーと好奇心的な意味で、花柳がどんなの着てくるかが楽しみだな」


あーっ、とその場にいる全員な頷いた。


「――確かに月なら、ビキニ以上に大胆なのを着て来るのが簡単に想像できる」

「いや、オレ達の想像の上を行きそうじゃねえか? スリングショットみたいな、ブラジル水着とかよ」

「待て待て、月がウチの光一にぞっこんなのは知ってるよな? そのアプローチを考えれば、それ以上も……って、なんで陰謀を探る様な雰囲気になってんだよ!?」

「確かに、マジになって話す事でもないか。まあ続きは来てからの……ん?」


ふとシバが見上げた先――上空。

そこから飛来してくる、樹齢何千年と言わんばかりの巨木が、根を槍の様にして自身達めがけて降り注いできた。


「……聞かれてたか」


咄嗟に裕樹は、手に持っていた斬城剣の振るい、その巨木を真っ二つに。


「ちっと声がでかかったな」


シバが真っ二つになった巨木に1つに手を当て――それが瞬時に干からび、その勢いに耐えられなくなり、朽ち果てボロボロと崩れて行った。

宇宙も、その巨木を受け流しつつ風を操作し、勢いを殺し――木っ端微塵に砕いた。


「――まったくもう」


そう言って拍手をしながら、月が3人の前に歩み寄った。

紫を基調としたシンプルなビキニを纏い、麦わら帽子を被って。


「へえっ」

「よく似合ってるが、意外だな」

「バカ言わないで、私は品を損なわない色気がモットーなの」

「そりゃ悪かったが、だからって上級系譜でも防ぎきれるかどうかの攻撃するか?」

「余裕で難なく防いでおいて言うセリフじゃないわよ。それより――」


そこで会話を斬り、月が後ろに視線を向ける。


「……おおっ」


海を思わせる蒼いワンピース、ボトムスガスカートになっているAラインを纏う怜奈。

雪のように白い肌が、手と足だけとはいえ露わになり、羞恥故か少々頬を赤らめているその仕草に、裕樹は呆然とした。


「あっ、あの……どこか、変でしょうか?」

「――いや、変ってどこが変なんだ? 似合うよすごく。契約者随一の美しさは伊達じゃないって、十分示せる。うん」

「――それは、褒めすぎですよ」

「……ごめん、女性を褒めるのって難しいな」


「流石に、契約者随一の美は、憤怒をも揺るがす……ってところか」

「ヤッホー、宇宙君」


苦笑しながらその様子を見ていた宇宙に、アスカが声を掛ける。

黄色と黒を主とした、スポーツタイプのセパレート水着を纏って。


「どうかな? 怜奈ちゃんは落ちついた雰囲気、月ちゃんは大人な雰囲気。そしてボクは、活発な雰囲気でセレクトしてみたんだけど」

「活発な、か。うん、俺もそこがアスカの魅力だと思うから、良いと思う」

「そう? えへへっ――」


こちらは、わりと潤滑に進んでいた。


「――やれやれ、勇者様にはお姫さまがつきものか……さて、それじゃ泳ぐとうわっ!」


茶化す様な口調のシバの顔めがけて、傘が突き出された。


『……無視するな!』

「冗談だって。真打ちは最後にご登場、だろ?」

「…………(ふんっ)」


アスカと同じセパレートタイプの水着を纏い、その上にホットパンツとタンクトップを重ね着した詠の持っている日傘が。


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