慈愛 上級系譜のほのぼのシーン
「――はい、注文の品は全部入ってます」
「……では、これを」
慈愛の邸宅の生活必需品の搬入。
つぐみがチェックを入れ、蓮華が了承のサインを渡し、配達業者は帰って行く。
「……さて、仕事に戻ろう」
「はい」
蓮華がつぐみを促し、邸宅へと向かい……
『ないない♪』
「あっ、つぐぴょん」
その途中、手伝いの為に出したつぐみの思念獣、つぐぴょんが蓮華に飛びついた。
「っとと……コラ、悪戯してはだめだろう」
『みゅ~……』
「うっ……いきなり飛びついてはダメだ。まず、了承を得てからなら怒らない」
『ない! ないない!』
「わかった? よしよし、いい子」
叱られてしょんぼりのつぐぴょんに注意し、わかったと言わんばかりに両手を挙げたポーズをとるつぐぴょんに、蓮華は頭を撫でてやる。
『ないない♪ ――みゅー! ないない! ないない!』
「? どうした?」
『みゅ~! ないない! ないない!』
突然何かひらめいた、と言わんばかりにつぐぴょんは蓮華に、身振り手振りで何かを訴え始める。
「? つぐみ、何を言ってるのかわかるか?」
「うーん……多分、蓮華さんにお友達を創ってほしいんじゃないかと?」
『ないない!』
「お友達……別に構わないが」
正直躊躇はあった。
眼の前の垂れたウサ耳にうさぎのしっぽがあり、ゴスロリ衣装の思念獣。
これに並んで立っても違和感ない思念獣の作成等、自分に出来るのかどうか。
『ない!』
ピコっ!
「いたっ!」
『みゅー! ないない! ないない!』
つぐぴょんがピコピコハンマーを手に、蓮華に抗議。
「……わかった。やってみてあげるから」
『ないない~♪』
そう言って、つぐぴょんの前に手を差し出し――
蓮華は深呼吸し、精神を集中させ――差し出した掌に、思念結晶体クリアが姿を現す。
「蓮華さんまた早くなりましたね」
「これ位はな――さて」
次にイメージ――投影するは、自身の姿。
それをデフォルメし……
ポンっ!
『ふぅ~!』
頭にピンとたったウサ耳に、ウサギの尻尾を生やし、執事服を着ている蓮華の思念獣。
「…………」
『みゅー?』
『ふぅー?』
「……こっちでもか」
「?」
――蓮華の視線が、つぐぴょんと自身の思念獣の胸部に向いていた事は割愛。
『みゅ~♪ ないない! ないない!』
『ふぅ~……かう』
それはさておき、つぐぴょんは初めてのお友達の手を取り、一緒に万歳
『ふぅー! かう! かうかう!』
『ない? ――みゅ~』
『かう!? かうかう! かうかう!』
『みゅ~? ないない! ないない!』
「――こっちでも、蓮華さんがお姉さん的なの変わらないんですね」
「みたいね」
「あーあ……あたしも蓮華さんみたいな、頼れる女性になりたいな」
「私は寧ろ、怜奈様やつぐみみたいに、女性らしく可愛いや綺麗という褒め言葉を言われたい」
「じゃあ執事服じゃなくて、もっとかわいい服きましょうよ--っと、いけない。お仕事! つぐぴょん、おいで!」
「えーっと……そうだ! れんれん、行くぞ!」




