大罪美徳親善企画その2 “正負の演奏会“
「――さて、今回は……」
「演奏会、だそうだ」
ハーモニカを持った裕樹、オカリナを持った宇宙が、渋顔をする。
「…………」
眼の前では“嫉妬”の陽炎詠が、パイプオルガンを慣らしの為に、簡単な曲を弾いていた。
「~♪」
その隣では、ハープを奏でる“色欲”の花柳月。
「演奏会だなんて、緊張しますね」
「楽しみだなあ。ボク、こういうの大好きだから」
そういいながら、“慈愛”の水鏡怜奈はフルートを。
そして“友情”のアスカ・ホークアイが、エレキギターとアンプを手に、それぞれ裕樹と宇宙の隣に立っていた。
「――もちっと気の利いた楽器、用意すべきだったかな?」
「ああ……なんか場違いな気がしてきた」
「くだらん事言っていないで準備しろ」
そう言ったのは、4つのティンパニーを並べ、軽く叩いている“正義”の北郷正輝。
打楽器を使っている事にらしいなと思いつつ、2人は苦笑。
「よしっと」
更にその後ろでは、大きな和太鼓が据えられていて、その近くに“希望”の王牙が立っている事に、納得していた。
「……人に披露する、と言えるほど上手くはないのだがな」
「それは僕も同じだよ」
そして、ヴァイオリン――それも、年代物のストラディバリウスを手にした“誠実”の御影凪。
そして、クラリネットを持った“知識”の天草昴
「へえっ、意外なチョイスだな。大神」
「……」
無愛想にそう返す“傲慢”の大神白夜は、トランペットを。
そして“強欲”の武田シバはアコースティックギター。
「――大神の奴は、元が美男子なだけに流石に絵になるな」
「俺もそう言うチョイスするべきだったかな?」
「自覚あんのかよ……で、大罪の巨漢どもは」
「……めんどくせえ」
まず眼に入ったのが、“怠惰”の荒川公人。
その手には、特注サイズのシンバルがあった。
「ふーむ……」
そして、“暴食”の明治我夢。
彼はスーザフォンと言う楽器を持っていた。
「……」
「……」
2人は自身の楽器と周囲を見比べ……
「……見劣りしないか? 俺達」
「……そもそもジャンルバラバラなんだし、仲間内なんだから。気にしない方向で」
「……そうだな」




