お見合い話 憤怒編
契約者社会において。
「……おい、これ全部見合い写真なのか?」
「まだまだあるぞ。これはほんの一部だ」
大罪、美徳シリーズのブレイカーと契約した最強格と、上級系譜格と言った一握りの上位格には、重婚が許可されている。
これは主に、契約者の組織活動が企業や資産家との、共同事業でなければならない等、契約者と一般人が友好な交友を持って活動する方針――その一環として。
そして、契約者はまだ1世代目であることから、最強格の後継者の確立の可能性をより大きくする為。
「……って触れ込みだけどなあ」
朝霧裕樹は、眼の前の――主に、憤怒と協力関係にある、あるいは協力関係を持ちたがる政治家、企業、資産家から送られた、これでも一部だと言うどっさりと積まれてる見合い写真を見て、げんなりとしていた。
「なあ光一」
「これほどじゃないけど、俺にも来てるよ――断るつもりでも、目位通しといてくれ」
「……はいはい」
そう言って、上に積まれた内の1つを手にとり――めくる。
「……おい、これ。ひばりと同じで、見た目が幼いだけか?」
「え? ……いや、見た目通りの年齢だってさ。まあユウは15だから、すぐ結婚出来る年になるだろ」
「最低限の年齢位守れって突き返しとけ!」
――翌日。
「もてる男はつらい……と言うべきですか?」
「ほぼ全部が利潤目当てでならつらいよマジで!」
「そうですか? 一夫多妻なんて、男性なら誰もが一度は望む事だと聞いてますが」
「――望みってのは、望んでるうちが一番楽しいんだろうな」
ユウの妹、裕香に連れられて来た来島アキを含め、憤怒の上層部。
舞いこんでくる見合い話を肴に、茶会に勤しんでいた。
「あたしはこういう制度、あんまり好きじゃないなあ」
「だろうね。一途なひばりにとって、こういう制度は逆に邪魔でしかないか」
「邪魔、とまでは言わないけど……」
「ま、ひばりには合わないな」
「光一、お前はそうじゃなきゃまずい部分の方が多いだろ」
「……そう言う自分が疑問なんだよ俺は!」
「両極端ですね。必要であったり、不要であったり」
呆れたようにそう呟き、お茶を飲みつつ携帯ゲーム機をとりだす
「ねえねえ、何の話してるの?」
そこへ、朝霧裕樹の妹、裕香がアキに歩み寄る
「ボスのお嫁さんの……裕香さんで言えばお姉さんの話ですよ」
「お姉ちゃん?」
「そうです。裕香さんは、誰かお姉さんに欲しいという人はいますか? お嫁さんを何人も貰っていいそうですから」
「お姉ちゃんだったら……ひばり姉ちゃんと、アキ姉ちゃんが良いな」
「支倉さんはともかく、私は姉なんて……」
「アキ姉ちゃん大好きだよ? ひばり姉ちゃんも、光一兄ちゃんもね」
「――それは素直にお礼を言っておきますよ」
「愛されてるな、ひばりお姉ちゃんは」
「もうっ、光一君!」