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期間が空いてしまって申し訳ないです…。

前回が長すぎて、今回は短いです。

 大切にするって、いったいなんなんだろう?

 レインに言われた言葉が思いのほか心に刺さっていて、俺は意味が分からないままふわふわと考え続けていた。

 大切なものはしまっておかなきゃいけない。ちゃんと鍵をかけておかないとなくしてしまう。俺の中ではそういう感覚でいたのに、それは束縛になってしまうらしい。

 だったら大切にするってなに?

 それをレインに訊いたところで、きっと俺が理解できる説明はしてくれないだろう。

 レインは俺をなにも知らないから。

 別に、そのことでレインを責めたいわけじゃない。俺自身、引き取られる前は自分というものをわからなかったし、レインやレインの両親、使用人の人たちがいないときは、ただぼーっとして、なにも考えることができなかった。レインから自分のことをたくさん訊かれても、食べ物は咀嚼して飲み込むだけだし、色も視覚にただ飛び込んでくるだけだったので、具体的なことを答えたりはしなかった。基本的に、俺はなにをするでも義務感しか感じなかった。

 やれと言われればできるけど、したいことは浮かばなかった。

 そんな生活から一変して、引き取られた後は考えなければならない環境に置かれた。

 そのうちに自我らしき感情が芽生え、俺は今の俺になっていった。

 でも、基礎が欠けている。土台がないから、俺の自我はぷかぷか浮いているような頼りないもので完結してしまっている。

 そんな自分を悟られたくなくて、なにもない空っぽな人間だと思われたくなくて、俺はイリアに笑顔で接する。だけどわからない。いくら笑いかけても、イリアは笑ってなどくれなくなった。

 自分が独りよがりの感情に流されているのには気づいている。

 俺といるときのイリアの様子を見れば、俺たちは決して「恋人」という繋がり方をしていないということは明白だ。でも、俺はこの関係を「恋人」という肩書で飾ってもかまわないと思ってしまった。

 だって、新しく家族となった俺と仲良くしてくれたでしょ?

 いつだって俺のことを尊重して考えてくれていたでしょ?

 俺が女装してたことを知っても、嫌わずにいてくれたでしょ?

 俺からの告白を、拒絶しなかったでしょ?

 それって全部、愛情からくる行動でしょ?

 俺は一体、何を間違えているんだろう?

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