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私の母親の再婚相手には、私の一つ年下の娘がいた。

 くせの無いまっすぐな長い金髪、透き通るような白い肌、二重のぱっちりとした大きな目に、曇りのない青い瞳。人形のような美しさを持っているのに、いつも楽しそうに笑っているから、そこに強い人間味を感じて惹かれてしまう。シンシアはそんな不思議な子だった。

「お姉さま、お手伝いいたしますわ」

 新しく現われた母親と姉という存在にもすぐに慣れてくれたようで、たくさん話しかけてくれる。明るくて人懐っこくて、とってもいい子。人見知りな私でも、本当の姉妹になれそうと思っていた。

「あ…」

 洗濯物を干すのを手伝ってくれていたシンシアと軽く指が触れたとき、シンシアが小さく声を上げて、洗濯物を取り落した。

「ご、ごめんなさい! せっかくお洗濯したのに…」

「いいのよ、また洗えばいいんだし」

 洗濯物を拾ってシンシアの方を見ると、ふとシンシアと目が合った。

「っ」

 シンシアは驚いたように目を見開いて、すぐに視線を逸らした。その顔がどんどん赤くなっていく。

「熱でもあるの?」

 私が熱を確かめようと手を伸ばしたとき、シンシアが私の手から落としてしまった洗濯物を取り上げた。

「わ、わたし、洗い直してきます!」

 私の返事を聞く前に、シンシアはもう走り出してしまっていた。

 いつもほんわかしているシンシアが、珍しく取り乱していたのを不思議に思いながら、私は全ての洗濯物を干し終え、キッチンで紅茶を淹れていた。

「お姉さまっ」

「シンシア、どうしたの?」

「洗濯物、ちゃんと干してきましたから安心してくださいまし」

「ありがとう。紅茶飲む? 今淹れているんだけど」

「嬉しい! いいんですの?」

「もちろん。座って待ってて?」

「はいっ」

 花が咲くように笑うシンシアが本当に可愛らしくて、血は繋がっていないけれど、姉妹であることが誇らしかった。

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