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 0話  プロローグ

 漆黒の空に浮かぶ細い月は、夜の闇に紛れようとする彼らを薄く照らし出していた。


 イタリア、シチリア島からほど近い小さな島。その海岸で、服部慶次はかつてない窮地に立たされていた。


「残弾ゼロ、あとは(ブレード)だけか……」

「こっちも弾切れよ。 それに通常移動でもあと7分しかもたないわ……」


 慶次の相棒、モニカ・カスティリオーネは、凛と通る暗い声で言う。


 バッテリーが切れると、この機械人形(パペット)は動かなくなる。

 その後は、誰がこの子を救えるというのか。


「ねえ、なんでお面をかぶってるの?」


 腕の中に抱える女の子の小さな手が、慶次の冷たい金属の顔へゆっくりと伸ばされてくる。

 どう答えたらいいのか、言葉につまる慶次に代わって、モニカがイタリア語で答える。


「私たちはお姫様を守る騎士なのよ。 ……だからお姫様、もう少し目を閉じてがまんしててね」


 女の子は返事をする代わりに、青い目をぎゅっと閉じ、ふわりとした金髪を揺らしながら、慶次の鋼鉄の胴体にしがみついてきた。


 慶次は、その目尻にうっすら付いている涙の跡を胸が締め付けられる思いで眺めた。


 次の目標通過点(ウェイポイント)まで約5分、さらにその先の船着き場までは、高速移動でも10分近くかかる。

 しかし、残量の少ないバッテリーで高速機動を行うことは、自殺行為にほかならない。


 どのような角度から見ても、無事に脱出できる可能性はほとんどなかった。


「どうしてこうなった……」



――時は2ヶ月前にさかのぼる。

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