*推し量れない
前後のチームに別れて待機していたベリルたちは、監視を同時に狙撃して突入した。倉庫の内外にはコンテナなどが乱雑に放置されていて、それを盾に銃撃戦を繰り広げる。
「ひ、ひえぇ~」
ビクビクしながら周りをキョロキョロしている少年にアザムは小さく笑った。
少年の恐怖はよく解る。得体の知れない音と空気は、たちどころに恐怖心を煽っていく。
サムに武器を持たせてはいけない事をやはり彼は見抜いていた、こんな状態では味方にも攻撃しかねない。
そして、今の状況にアザムはようやく気がついた──こちらにいる仲間の人たちが守っているのは自分たちなのだと。
3人の大人がぴったり僕たちの側にいる。話し合った訳でもないのに、この人たちは自然にベリルの意思を読み取っているんだ。
<相手の動きが鈍い。これならすぐに制圧出来るぞ>
「油断はするな」
裏口から侵入したチームの通信に、ベリルは左耳を押さえ念を押す。そして仲間からライフルを受け取り、未だ発砲してくる相手に照準を合わせた。
「……」
狙いを定めている表情に見ているアザムにも緊張が伝わってくる。引鉄を引いたと確認して向こうに視線を移すと、すでに1人が倒れていた。
致命傷という訳でもなさそうで、急いで影に隠れている。
「ターゲットの確認」
<まだ確認出来ない>
ベリルはそれに苦い表情を浮かべ、アザムを一瞥した。レイの身柄はある程度、安全だとしていても戦闘が長く続けばそれも危うい。
「プランBに移行」
エメラルドの瞳を細め、しばらく思案してゆっくり口を開いた。
「!」
言葉の意味は解らなかったが、側にいた仲間の顔つきが険しくなった事にアザムは気か付いてベリルに目を移す。
無表情に見えたその瞳に見え隠れしているのは──
「……っだめだよ!」
無意識に彼に駆け寄り、しがみついていた。
「──っ」
降ろされる視線にそのあとの言葉が出なくて、喉を詰まらせ目を伏せる。
解ってるんだ、僕なんかの考えおよばない処までベリルは考えて決断したコトくらい。素人が何か言った処で、浅はかな意見でしかないことくらい……アザムは、吐き出せない感情に体を震わせる。
そんなアザムの肩に、仲間の1人がポンと手を乗せた。
「解ってるよ」
ニコリと浮かべたその笑みを見て、再びベリルを見やる。彼の表情は変わらないが、自分の意識が浅かったことは充分に理解できた。
「ごめん……」
命を奪うことに最も哀しむのはベリルじゃないか。なのに僕は、自分が一番悲しんでいると思い込んで……悔やむように唇を噛みしめる。
「なあ、なんだよ?」
周りの空気が読めず、力なく戻ってきたアザムに問いかける。
「なんでもないよ」
小さく笑った。





