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*人であるために

 それから、少年に付きっきりで看病を続けた。少年は高い熱と吐き気にもうろうとする意識のなか時折、小さく呻き声を上げて何かを口走っている。

「……」

 その様子を見つめながらベリルは目を伏せた。自分の額に手の甲を当てると、熱っぽいのが解る。しかし、それ以上の症状はみられない。

 彼に感染したウイルス──体に侵入したものは何であろうと、いつかは彼自身のエネルギーに変換される。

 ベリルがそうしたのではない、そういう構造になってしまったのだ。そのため、彼には『共存菌』と呼べるものすら体内には存在しなくなっていた。

 彼と共には、なに一つ生きる事は叶わない……それを知ったとき、彼はただ笑っただけだった。

「結果を知った」それだけだ。

 知識の渦に飲み込まれるだけもの……そういう認識でしかない。

 25歳のときに偶然に与えられた不死、本来ならば彼はそのときに死んでいたかもしれなかった。犯罪組織に狙われていた少女を守った事で致命傷を負い、遠のく意識なかで暖かな光りに包まれて気がつけば傷は血のりを残してすっかり消えていた。

 少女が狙われていた理由は、まさしくそれだ──たった一度だけ症状に許されていた能力ちから、それによって命を取り留め不死となった。

 己の事を知れば知るほど、それは孤独でしかない。それでも彼は、笑って前に進む事が出来る……全ては『彼だからこそ』なのだ。

 そして今、アザムの苦しむ姿に苦い表情を浮かべる。不死など、この現状では何の意味も成さないのだから。

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