第3話:写真と封筒
一本の苗は大事そうに囲いに囲まれていて、その囲いの周りには雑草が生い茂っていて、その後ろには、どこか切ない青空が広がっていた。その時に一瞬、俺の中でこの苗にそっくりな一本の苗の描写が走った。それはどこか見覚えのある感じだったのだが、ほんの一瞬の出来事だったので、その正体が何だったのか確認することが出来なかった。今のは何だったのだろうかそう思い出だそうとすればするほど俺の傍から遠ざかって行く。この写真を見れば見るほどその苗のことが気になりだす様な気がした。
ふと気づくと、俺は自分の部屋のベットに座っていた。いかん、いかんと自分に言い聞かせると、不思議な写真をその場において、風呂に向かうことにした。
次の日は、なぜか早めに5:00ごろに起きてしまって、すっかり寝不足モードで仕事へ行く仕度をし、会社の始業時間である、7:00に一番乗りするつもりでいた。昨日の写真のことなどすっかり忘れて、パンにジャムを塗り、6:45発の電車に間に合うように少し早めに部屋を出た。しかし、何かを忘れたような気がして、マンションの駐車場のど真ん中で、立ち止まって考えてみてた。何だったかな〜と考えているうちに時間は急ぐように過ぎていった。と、その時だった。漫画などでよくある、お決まりの電球がピカッと光った。そうか、新聞を取り忘れていたんだ。急いで取ってしまわないとまた管理人になんか言われてしまう。一気にロビーまで戻ってポストまで走ると、時計の針は6:40を指していた。今日の唯一の目標が達成できないかもしれない。早くとって早く仕事に行こう。そう決心すると、一気に新聞を引き抜いた。その時に一通の封筒がそばに落ちた。差出人は・・ミヨシ・・ケイゴ・・ああ、中学の時の先生か。でもなんでこんな日に封筒を出すんだろう。俺は時間はなかったが、別に早く行っても何も変わらないのでその場で封筒を開くことにした。