第一話:通勤
木漏れ日が降り注ぐ6月の半ば、ベットの上で夢を見続ける俺をよそに、幾人かの小学生たちが窓の外を走り抜けている。登校中のようだ。その足音に気づいたのか、目覚まし時計がハッとした表情を浮かべながら叫びだした。うるさい。とてもうるさい。どうもこの音に好感が持てない。しかもこの時計ときたら、最近寿命が来たようで、たまに変な音がする。だが、この音じゃないと寝坊してしまいそうでどうも手放せない。しかし時間は残酷な物で、刻一刻と過ぎていく。今日も張り切って仕事に行こう!そう思ったが、半分しか食べてないパンが
「たべて〜たべて〜」といっているようで渋々最後まで食べて出ることにした。
俺は今話題のIT企業に勤めている。この企業というのが、、最近アメリカか何かの企業を真似て、いつ何時でも会社に来て、ノルマさえ済ませれば帰ってもいいと言う、完全ノルマ制の、労働者に優しいシステムになっている、珍しいタイプの会社なのだ。この制度のおかげで、自由に会社に出入りしていいので、最近人気の会社となってしまっている。俺はこの制度になる前にこの会社に入ったので、ツクヅクいいときに入ったな〜といつも思う。
俺はいつもどおり緑色の電車に乗り込むと、腕時計が急に鳴り出した。一時間毎に鳴る、アラームだった。そのアラームのせいで、一気にその車両の人たちから真っ白い目で見られるようになってしまい、その時間だけ、音楽携帯の電源を切る羽目になった。