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1:その出会いを彼は『激麟』と呼んだ

 死ぬ――――ッ!

 山へキノコ狩りに行って、帰り道で魔獣に襲われて消息不明になった子供の話……。

 そんなものは二、三ヶ月に一度は聞く話――。

 だが、そんなのは他人事のように山へ食料調達へ行かなければ行けないのも事実。

 しかし、そんな他人事のことが自分に起こるとやはり、冷静ではいられなくなるものだ。


 グリズリーの一振りをもろに受けることは避けれたが、あくまでも致命傷にはならなかっただけ……。

 左腕から溢れる血は、僕の意識をもうろうとはさせるがグリズリーにとっては道しるべである。

 だがいつもなら、都合の悪い変わりやすい山の天気も今日は僕の味方なのかもしれない。

 ぽたぽたと降り出した雨はすぐに、僕の垂らした血を薄める。


 しかし、そんな今日だけは僕の味方と思えた山の天気ですらタイミングが遅かった。


 ゴロゴロと音を立てる雷雲も、グリズリーのもの静かに僕を眺める視線に比べればなんてことない。

 逃げる余力もなくなった僕が、トドメを受け……。

 いっその事、こいつに雷でも落ちてくれたら――――そう思ったときだった。


「ドォォォォォンッ!!」


 それは雷の落ちる音ではなく、男の声と横走りする雷撃が響く音だった。

 駆け寄って来た彼は、僕の傷を手当てしながらいう。


「救世主参上ぉ! 逃げるぞ!」


 救世主のくせして、逃げるとは何事かと思いながらも……おんぶしてくれた彼はやはり救世主なのかもしれない。

 しかし、走る彼は逃げるだけのことをしたのだろう。


「――――なんかめっちゃ追って来てますよッ!?」


 彼が逃げながら放つ雷の魔法はハチドリのように緑や青……時には赤白く、金属のような光沢を帯びる。

 そして、彼は僕に向かってこう聞いた。


「――――お前にも激麟が走ったか?」


 ――――と。たぶん、魔法のことを言いたいのだろうが……それどころではなかった。

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