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我が国で引き取らせていただきます!

ここはアスカナ皇国。

5つある国の中で最も歴史が古くゆうしょ正しき国とされている。

大きな大陸の真ん中にあり、海こそ無いものの森などの自然は豊かで4つの国に囲まれているため交易も盛んである。


そんな国の皇族が主催しているパーティーにここから右上の方にある1番小さくて田舎な国...マリン王国の王女である私、アネット・マリンはいやいや参加させられていた。


ことの発端は我が国に皇国からパーティーへの招待状が届いたことだ。


どうやら皇太子の婚約者を正式に発表するパーティーでもあるらしく、今後の国同士の関係性に大きく影響するためぜひ未来の皇妃を見てほしい。との事だった。


何を隠そう、3兄妹の末っ子に生まれ、兄達とは違い割と緩めに育てられた私はこういったかしこまってる間が苦手なのだ。

なのでいつも通りこっそり欠席しようと思ったが流石にまずいと言われお留守番できず...


「来てしまった...」

私はパーティー会場の端っこでうずくまっていた。

そんな事をしている私を見兼ねたのか兄達が駆け寄って来てくれた。


「大丈夫?人酔いした?王族は1部屋ずつ専用の休憩所があるらしいからキツかったらすぐ言えよ?兄ちゃんが連れていくからな?」


こんなことを言って顔を覗いて来るのは1番上の兄で優しくて我が国が誇る王太子でもあるクラリス・マリン兄様だ。


とにかく優しくておっとりしている私の大好きなお兄様。


「大丈夫ですわ。クラリス兄様。」

クラリス兄様に笑顔を向けてそう答える。


「ったく。あんま兄貴を心配させんなよ。」

そう言ったのは2番目の兄で兄妹1身体能力が高いイルク・マリン兄様だ。

よくヤンキーっぽい印象を与えてしまうことはあるが彼も優しい兄様だ。


「もうすぐ皇太子様が婚約者さんを連れて入場してくるらしいよ?」

クラリス兄様が笑顔で告げる。


「なんでもお相手はこの皇国の公爵令嬢であるアメリア・イアハート嬢でほぼ確定らしいな。昔から家同士でこっそり話を進めていたらしいし。」

イルク兄様が淡々と話す。


「アメリアちゃん...」


私は昔アメリアちゃんに助けられたことがある。


初めて皇国に来た日。緊張しすぎてお茶会の端っこで嘔吐をしてしまったことがあった。それに気づいたアメリアちゃんが医務室の場所を教えてくれてなんなら一生懸命運んでくれたのだ。


それ以来会っても話してもないし、なんならその時に聞けた名前しか知ってることは無い。

でもあの頃の感謝の気持ちを忘れたことも無い。


間もなく皇太子が入場してきた。

大きな拍手と共に入場してきた皇太子はなんと1人だった。


周囲がざわつき始める。

それなのに皇太子様は勝ち誇ったような顔をしながら歩いていた。


「どういうこと?アメリアちゃんは?」

私は慌てて周囲を見渡す。すると皇太子が入場してきた扉から顔を真っ赤にしながらアメリアちゃんが入ってきて、それを見た周囲はさらにざわつきはじめた。


皇太子は皇帝の前に立つと1人の少女を自分の傍に引き寄せ大声で宣言し始めた。


「父上!私はアメリア・イアハート嬢ではなくこの男爵令嬢であるクルミ・レイス嬢と婚約します!」

そんなもはやありえないような言葉に皇帝は勿論のこと周囲の貴族たちも驚愕を隠しきれなかった。


「嘘っ!」

私も驚き思わず声に出てしまう。


アメリアちゃんの方を見ると顔を真っ赤にして今にも泣き出しそうな顔をしていた。


(なんなのあの皇太子。アメリアちゃんにこんな顔させて...許せない!)

とは思ったが流石に皇太子に殴り掛かる訳にもいかず、ただこっそり睨みつけることしか出来なかった。皇太子があんなことを言うまでは...


「そしてアメリア嬢はこのクルミ嬢に嫉妬し犯罪まがいの嫌がらせをしていました!こちらが証拠です!」

そう言って皇太子は皇帝に謎の紙を手渡す。


それを聞いた周囲は一気にアメリアちゃんの方へと目を向けアメリアちゃんは顔を青ざめさせて今にも倒れそうになっている。


私の知る限りアメリアちゃんはそんなことするような子ではないし、クルミとかいう女もアメリアちゃんの方を見て嘲笑っている。


こんな顔虐められていた人ができる顔では無い。むしろ逆にしか見えない。

私は怒りに身を任せアメリアちゃんの方へ向かい彼女を抱きかかえ皇太子にむかって大声で叫んだ。


「皇太子様!そんなに彼女のことがお嫌いなのでしたら我が国で引き取らせていただきますわ!」


そう言ってアメリアちゃんを抱えたまま外に出ようとしたら流石に皇太子に引き止められた。


「ちょっと待て!お前は誰だ?それに女なのに何故そんな余裕にアメリアを抱きかかえられてるのだ?」


「私はマリン王国の第1王女アネット・マリンですわ!ちょっと鍛えてて体が丈夫なだけの普通の王女です。以後お見知りおきを。」


そう言って今度こそ外に逃げ込み馬車に乗る。

兄達も慌てて追いかけてきて馬車に乗り込んできた。


「おいおいどういうことだ!?お前はなんでいつもいつも勝手な事をするんだ!」

イルク兄様が頭をかかえる。


「いやほんとにどういうことですの!?」

先程まで思考停止していたアメリアちゃんが喋り出した。


「急にごめんねアメリアちゃん!助けたくて...ついやっちゃった」


馬車を出発させマリン王国へ向かうよう伝えようとしたらクラリス兄様に止められた。


「流石にご両親の許可なしに国に連れ帰る訳には行かないからとりあえずイアハート公爵家へ向かおうか?」


兄そう諭され逸る気持ちを抑えて公爵家へ向かうのであった。




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