私の主【ベアーside】
我々クマ人形の一族は、代々トップの使い魔になることが決定している。
この情報は一部のものしか知らず、表ですごい活躍している一族よりは生活にあまり支障は出ていないと思います。
色々な人から恨まれたり、妬まれたりしないからです。
もちろん、私たち一族が恨まれたり妬まれたりしているのは一部のお偉いさん方だけなんだけなんですけどね。
私たちクマ人形一族は人形だからと油断させて行う諜報活動、身体能力も最低限の値を個々が超えているという特徴を持っています。
人形なので、また新しく体を作ったりできる。
そういう利点も加味して、トップから任命されました。
だから位も高く、使い魔の頂点に立ち続けてきた。
けれど、それは自由を奪われるのと同じ。
自分の主を自分で見つけてこそ、真の使い魔となれる。
ここ、お偉いさん方が勘違いしているところですね。
誰かに指名されるのではなく、この人に一生を捧げたいと思った人に仕えるのが、使い魔の理想です。
使い魔の大半はそのように思っているのですが、クマ人形一族は利益に目が眩み感情を捨てるようになりました。
一部のお偉いさんのことを、悪く言えませんね。
そこで生まれた子供も自然と感情がなくなるわけで、私たちクマ人形一族は次第に“非情”の血を受け継ぐようになりました。
当然私も受け継ぐわけで、日々私は無情で与えられた試練をこなしているだけでした。
ある日、そんな私に主が決まったのです。
クマ人形一族で一番優秀だったからだと、今では結論づけています。
私はこれからも無情で上の言うことをきいとけばいいのだと、この時のバカな私はそう思っていました。
ですが主様と触れ合っていくうちに、いつの間にか慕っていました。
この人こそ、私の主様に相応しい。
そう、確信したのです。
楽しい日々を主様と送っていた頃、世間を騒がせる大事件が起きます。
主様の失踪です。
トップ近衛騎士団が総動員しましたが、結局手がかりの一つすらつかめませんでした。
私はその時、実感したのです。
ああ、私は主様のことを何も分かっていない、非力な使い魔だな、と。
自分に相応しいなどと抜かしている、バカなやつだな、と。
それ以来私は必死に主様の手がかりを探し続けましたが、出てきたのは地球にいると言うことだけでした。
見た目の年齢は14歳ぐらいなので、私は国民の個人情報を隈なく調べようやく主様の情報に辿り着くことができました。
生きているのに安心したのと同時に、今危険な状況になっていないか心配する気持ちも芽生えてきました。
なんとか今の主様に会おうとご自宅に向かったのですが、もう手遅れでした。
床に召喚魔法が浮かび上がっており、主様はもう別のところに行ったのだと知りました。
握り込んでいた手に爪が食い込み、唇からも血が出ていました。
“自分が傷ついているのに、感覚がないのは何故だろう”
私は放心状態で、ついそのようなことを思いました。
残された私は召喚魔法の発生場所と発動者を認識し、相手への怒りを覚えながら主様の元へと向かいました。
主様の無事を祈り、城への連絡をしながら。
「トップは何者かに召喚魔法で連れ去られましたので、これより追跡を開始します。返答は不要です」
『おい、ベアー、ちょ、待っ!』
プツリ
私は魔法念話を切り、主様を連れ去った相手の屋敷に侵入しました。
焦りが故に、平常心を保てない状態のまま。




