005 永遠の災厄
「ここにサインしてください。」
サーバーは、カウンターの角に積まれた紙の山から一枚取り出し、鉛筆を持ってシャウンの前に差し出す。
シャウンは紙にいくつかの線を引き、その後、用紙は私の手に押し込まれた。
「ここに名前を書くだけでいいです、他のことは私たちがやります。」
「私の名前？」
「そう、あなたの名前、書いてください。」
フォームの下にあるサイン欄を見て、説明しきれない感覚が頭にわき起こった。
私は他人に自分の名前をあまり言わないし、他人に自分の身元情報を漏らすことを恐れている。
かつて私は友人に自分の住所を話して、彼を私の邸宅へ遊びに招待したことがあったが、その結果、夜中に仮面の刺客達に襲撃された。もちろん、その刺客達は容易に私に倒されたが、一人ずつ刺客の顔を確認していると、友人がその中にいる事に気付いた。
それ以来、私は他人に自分のすべての情報を漏らすことがなく、"ダズニ・エノキス"の名前はもはや誰にも広まっていなかった。
しかし、これは前世とはまったく異なる世界であり、自分の名前を伝えることにはリスクがないはずだ。
少し考えた後、私はサインをしました。
「ダズニ・エノキスですか...それでいいです、では、塔の下の庭を待ってください。」
署名した場所は、一つの高塔の頂上で、なぜこんな場所に設置されているのかはわからないが、それは重要ではない。
ショーンの目線が示す方向に従い、私は外に出て、外を一周する円形の歩道を見下ろし、奇妙な建物の中から庭の場所を見つけ出した。
ここから見下ろすと、涼しい風を感じながら、街の美しい景色を見渡すことができ、それはなかなかいいものだ。
気づかずに、私は塔の内部に唯一ある転送陣の上に立っていた。
ショーンの塔についての説明によると、各階層間を行き来するにはこのような陣を利用し、さっきはこの陣を使ってこの階層に来た。
視界が白く染まり、すぐに色彩が戻ると、目の前には大きな橋が現れ、その向こう側に探していた庭がちょうど見えた。
「偶然ですか...どうしてその機械は私がここに来ることを知っていたのか」
考える間もなく、左側の草叢から声が聞こえてきて、私の考えを打ち切った。
「あなたもその女性に呼び出されたのですか？」
一人の大人の男性が草叢から飛び出してきた。
少し緑の葉が残っている服は刺激的な匂いを放ち、病的と形容されるような青白い肌、竹のように細長い身体と四肢、黒と緑の乱雑な長い髪...それはどこから来たアンデッドだろうか？
「私の名前はアヴィク・バナジで、長隆国東部の隠世村出身で、今回の任務の仲間の一人です。」
「どんな任務ですか？」
こんなに早く任務が割り当てられるとは？```
```
それはいつ出されたの？さっき任務登録の際には伝えられてなかったよね？
「クリズ様からつい最近出されたのです。遠くの都市で怪しい穴の調査任務です。」
シャヴォーンが私たちに近づき、真剣な目を向けてきた。
そして、私の注意は彼女が手に握っている赤い長剣に完全に引かれた。
以前彼女がその武器を持ち歩いたことはないし、そのサイズは彼女の小さな体には合わない。
それを誰が使うの？
「これ、あの方からあなたに与えられた武器です。」
何だ、自分用に渡されるものだったのか？
邪悪な光を放つ長剣が投げられてくるが、反応と共にかろうじて受け止めた。
剣の柄を握った瞬間、見えない暖かい流れが体に押し寄せ、全ての神経と血管が活性化された。
自分の機能が著しく強化されていることを明らかに感じることができた。
この体験は前代未聞だ。自分の体内にこんなにも多くのエネルギーが詰まっていることはなかったーー
「自分がもっと強くなった感じがしますよね？これはその武器の効果です。クリズ様の恩寵に感謝しましょうね。」
シャヴォーンが誇らしげに言った。
「とにかく今すぐ出発しましょう、クリズ様は物事を引っ張るのが嫌いですから。」
そう言って、小柄な女性は私たちの腕をつかんで、私たちを未知の道に連れて行った。
***
その瞬間、世界が揺れ動いた。
帝国最北部の縦谷地帯から非常に不吉な兆しを放つ。世界中、不死の特性を持つ生物たちはすべて、兆しの光を見つめていた。
低位のスケルトンから高位の巨魔まで、全てが怒りを込め、殺気を漂わせていた。
城内最高の塔である「黒齊摩爾塔」の上に立つ二人の指導者も、この異変に気づいた。
「気づいたかい、クリズ。」
「それを指しているの？」
緑髪の男は軽く笑いながら、遠くの空を見据えた。最高の塔の頂から外を見るため、遠くの風景が一望できる。
暗い霧が大量に集まり、ゆっくりと広がり始めた。
これは異常だ。建国以来、こんな奇妙な光景は見たことがない。
「すでに調査員を派遣した。」
「その３人だけ？覚えが良ければ、新入りの兵士までいたはずだ。」
クリズと話している男は存在を持たず、クリスでさえも、自分の横にただの影が立っているだけ。
「新兵一人、弱々しい一人、頼りない部下一人、彼らがこの任務に務められるかね？」
神秘的な男の疑問に、クリスは微笑むだけだった。
彼は濁りのかかった空中の影霧を見つめながら言った：
「問題ないよ～少なくともその新人には問題ない。彼は決して簡単な人物ではないからね。」
