冬~秋はあっという間に過ぎ去った
木々の葉が綺麗に色づき、
雲一つない青空が広がったりしていた
秋という季節。
そんないい気候はあっという間に過ぎ去るようだ。
だんだんと寒くってきた。
朝、布団から出るのが大変だ。
おばあちゃんが退院して家に戻って、
今までのように頻繁におばあちゃんの家に行くことはなかったけど、
時々お使いのようにママにおばあちゃんの家に行く用事を頼まれた。
そこでたわいもない話をして、ゆったりとした時間を過ごしていた。
それはボクだけじゃなくてまいかも同じだった。
そんなある日、ボクの家におばあちゃんがやってきた。
まいかとボクでおばあちゃんとトランプをしたり、お菓子を食べたり、
おばあちゃんはいつも通りだったけど、
いつもより少しだけ、ボクたちの顔を見ている時間が多かった。
そして、おばあちゃんが持ってきてくれたアニメのDVDを流し始めた。
ボクもまいかも大好きなアニメだった。
アニメが始まるころ、おばあちゃんが席を立った。
まいかに何か言いそれからボクに近付くと耳元で、
「やさしくて強い子になって」
と言った。
ボクがおばあちゃんからよく言われている言葉だ。
強くて優しい子、ではなくて
優しくて強い子。
おばあちゃんが言うには、優しいというのはとても強いことなんだそうだ。
そのころのボクには深い意味はわからなかったけど、
ボクはおばあちゃんの言う通り、
優しくて強い子になろう、と思っていた。
アニメが終わるころ、おばあちゃんはいなくなっていた。
ママに聞いてみると、
「おばあちゃん、病院に戻ることになったの」
と教えてくれた。
ボクたちとバイバイして別れなかったのはなぜなんだろう、
そう思ったけど聞けなかった。
それからしばらくして、
学校から家に帰ると、パパとママが待っていた。
「おばあちゃんが亡くなった」
と言われた。
「なくなる?」
意味が分からず口に出すと、
隣でまいかが
「死んじゃったってこと」
と教えてくれた。
それから、パパもママもおばあちゃんの葬儀のためあわただしく
動き回っていた。
遠くに住んでいる親戚もやってきた。
ボクの家はいろんな人が出入りしてとてもにぎやかだった。
ボクがおばあちゃんに会えたのは、
葬儀場の祭壇に安置されてからだった。
白い着物をきて、真っ白な顔をしていた。
おばあちゃん、こんな顔してたっけ。
ボクはおばあちゃんが寝ている顔を見たことがなかったから
初めて見るおばあちゃんの目をつぶった顔がどこか違う人に見えた。
「まいかもけいたもおばあちゃんからすごくかわいがってもらって
よく遊んでもらって、よかったね」
どこかの叔母さんが涙をこらえながら言った。
おばあちゃんにはボクたち以外にも孫がいたけど
遠くに住んでいたからなかなか会う機会がなかったのだそうだ。
なんだか、ボクとまいかがおばあちゃんを独占していたような言い方だった。
でも、ボクはおばあちゃんにさよならを言っていない。
おばあちゃんと会った最後の日、ボクが気付かない間に
おばちゃんはいなくなっていた。
葬儀が終わって、おばあちゃんは「遺骨」という姿になって
戻ってきた。
ボクたちの家に小さな祭壇をつくり、そこにおばあちゃんの遺骨を置いた。
そこでお坊さんがお経を唱えたりした後、
おばあちゃんの葬儀は終わりになった。
親戚たちも帰っていき、ボクたちだけが残された。
しばらくにぎやかだったのに、
なんだかしーんとしていた。
ボクもまいかも忌引きということで学校を休んでいるけど、
明日からまた登校だ。
部屋に戻って眠る前に、もう一度おばあちゃんの遺骨の前に来た。
おばあちゃんの笑った顔の写真が一緒に置いてある。
そうしていると、いつのまにかパパが隣にいた。
「おばあちゃんはけいたやまいか、他のいとこたちのことが大好きだったんだよ。
病院に戻る日、楽しそうにアニメを見るまいかとけいたの顔をみられたのが
とても嬉しかったと言っていたよ」
あの日のことだ。
ボクがバイバイをいわないまま、おばあちゃんはいなくなった。
そしてもう会えなくなった。
「でもボクはバイバイを言えなかった」
パパにそう訴えた。
「まいかもけいたもおばあちゃんが病院に戻るというと心配するだろ、
おばあちゃん、二人に心配させたくなかったんだよ」
パパはそう言った。
大人はよくこどもに真実を知らせない。
悲しませるから、つらい思いをさせるから、っていう理由で。
でもその時のボクは本当のことを教えてもらえない方が、
よっぽど悲しい、そう思っていた。
こどもにとって初めて遭遇するする人の死は祖父母の死のことが多いと思います。
我が家も母が亡くなった時、3歳だった息子にどう伝えるかとても迷いました。
そんなことを思い出しながら書きました。
読んでいただけると嬉しいです。




