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ボクの初恋のひと 出会いそして最初の失恋  作者: 明けの明星


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10/28

梅雨から初夏へ~梅雨、雨ばっかり

ボクの住む地域が梅雨入りした。

当然雨の降る日が多く、毎日の登校も傘と長靴の出番が増えた。

今朝も朝から雨の降る梅雨らしい日だった。


ボクの学校では校門を入ったところで傘を閉じることになっている。

そこはまだ外だから校舎入り口を入ったところにある下駄箱までの

わずかな距離、雨に濡れちゃう。

みんな駆け足で校舎に入るから、水たまりを踏んずけて雨水を跳ね上げる

事も多かった。


誰かが跳ね上げた雨水がボクの足にかかった。

冷たいし、気持ち悪い。

クソって思いながら周囲を見回すと、

登校班の先頭を歩くあすかが校門にはいってくる姿が見えた。

先頭を歩いているのは班長だかららしい。


雨降りの日は当然、休み時間に校庭で遊ぶことができない。

ボクは身体を動かす事より、じっとして本、とくに図鑑なんかを読んでいるほうが好きだから

外で遊べなくてもなんてことはないのだが、

同じ1年生の男子のなかには、外で遊べないとなんだか変な行動をとり始める子もいる。

教室の中を意味もなくぐるぐると走り回ったり、走ってはいけません、と言われている廊下を

最大限速く歩いてみたり。

なんだか止まることのできない魚のようだ。


女子は何人かで集まってひそひそなんだかおしゃべりしたりして、

動かなくても楽しそうに過ごしている。

そのうちおしゃべりの声が大きなってうるさいくらいだ。

それでも、女子の何人か、のグループにあぶれてしまった子が

一人で机に座って居心地が悪そうにしていた。


雨の続くこの季節、長い休み時間には

6年生が1年生の教室に来て一緒に遊んでくれることになっている。

この日も、6年1組の人たちがボクたちと一緒に遊んでくれた。


休み時間がそろそろ終わりとなった頃、一緒にいてくれた6年生の男子が、

ボクたちに、

「君たちもおっきいさんになったら、ちっさいさんにこうやっていろんな遊びを教えてあげるんだよ」

と言った。


「おっきいさん」といのは6年生のこと。

そして

「ちっさいさん」は1年生のこと。

この学校ではそういう。

リレーの選手のことを「リレーせん」というのと同じような

学校ならではの方言のようなものかな。


いまはボクが「ちっさいさん」であすかが「おっきいさん」

ボクが6年生の「おっきいさん」になったら、

その後、小学校を卒業して、つぎの「中学校」の1年生になる。

事くらいは、知っていた。

そうしたら、またばくは「ちっさいさん」になって

あすかは「おっきいさん」としていてくれるのかな。

おっきいさん、とちっさいさん、でいられるのは1年生と6年生だけ。

その後はどうなるんだろう、って思っていたから

またボクが1年生になっておっきいさんのあすかがいてくれる、

と思ったらとても安心した。


その日の夕食の時、それを話してみた。

「小学校でおっきいさんになって、つぎに中学に行ったら、またボクはちっさいさん、で

 いまの6年生が中学でもおっきいさんになってくれるんだよね」

ママと、まいかはしばらく、ぽかんとしてたが、

「あのさ、中学って3年生までなんだよ。だからおっきいさんになるのはまいかたちの学年

 ついでにいうならその次の高校も3年間。大学は4年間」

と冷ややかに言った。

「それに中学になってもおっきいさんとかちっさいさん、とか言ってるわけないじゃん」

と続けた。

そうなんだ、中学って3年生までなんだ。

じゃ、この小学校を卒業したら、もうあすかと同じ学校で過ごすことはできないんだ。

何も知らなかったボクはショックだった。


あすかが「おっきいさん」でボクが「ちっさいさん」でいられるのは

小学校の今だけなんだ。

「受験をして中高一貫校中高に行けば、また6年間同じ学校で過ごせるわよ」

ママが口をはさんだ。

「中高一貫校、受験」

そんな言葉が初めてボクの頭に入ってきた。

そしてそれはもしかしたらボクとあすかがもう一度

同じ学校で過ごせるチャンスがあるかもしれない、という希望にもつながっていた。





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