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お守りの咆哮

 場所は変わって飛行船アズールの内部、魔法学園生徒の寮の一つの部屋に、生徒の一人である魔女のドロピアと、友達である魂の形をした顔のついている「たましいくん」が今は二人で静かな空間を過ごしている。

 ドロピアは今日の日記を何本もある細い線のあるノートに事細かく書き込む。


「今日は……と、妙な赤毛のお姉さんを艦長が連れてきた。と! よし」

「ドロピア、今日も遅い時間だし、寝よ〜」

「そうだね。おやすみ! 明日も頑張ろうね」


 誰もいないので魔法を駆使して消灯、後から夜更かし気味の生徒達もそろそろ入ってきて、物静かにそれぞれベッドへ。




 翌朝、寮にいる生徒達の朝は早い。

 身だしなみを整えてから、一番乗りで目は覚めたドロピアは魔法教科書と、おじいちゃんから昔譲り受けた「龍のお守り」を自分の小さい金庫から取り出し、バッグに入れる。習慣なのだ。

 お守りには龍の絵が描かれている。

 して、ドアを勢いよく開けては生徒達の睡眠を妨害し、小走りで廊下を疾走。急な階段をものともせず駆け上がっては、すぐに最上階部分の甲板がある付近のデッキに躍り出る。

 思いっきり天に両腕を伸ばしては、強風を浴びながら気持ちよくストレッチ。たましいくんも真似して小さい体を動かす。


「朝から元気なこったな。少女!」

「うわ!」


 突如ドロピアの背後に現れる、艦長の真由利。腕を組んで快晴のような笑顔で立っている。

 腰には青い宝石のついた柄の剣が黒い鞘に入っている。


「あれ? 艦長ってつるぎ持ってましたっけ?」

「これか。校長の要請で近頃にいくさに向かうかもしれないからな。ちなみに昨日の件ではない」

「そう、なんですね」

「少女も珍しい物を持ってるじゃないか。見せてみろ」


 言われるがままに、バッグに入れてある龍のお守りを手渡す。

 珍しい物を見るように、真由利は目を輝かせて龍の絵を中心に見物。


「ほほう。良い物を持っている。なぜ魔女の君が持っているかは謎だが、そういう事もあるだろう! 大切にしなさい。ほれ」

「ありがとうございます!」


 深めにお辞儀をぺこり。

 するとお守りは金色に輝きだし、特に龍の絵が強く光る。

 ドロピアの手のひらの上で3つ大きさが違う小さな魔法陣が出現して、火柱が天高く立つ。その光景は飛行船のやや遠い場所でも観測された。


 いきなりの事に言葉を失う3人、やや間を空けては真由利が高笑いする。


「面白い! 本物の龍神のお守りとは!!! わたしも昔は持っていたものだ! あーはっは!」

「え、ええ……本物? なんですね。へえ」

「君には才能がある。後でわたしの部屋に来なさい! ではまた!」


 気づけば真由利の姿はない。

 日がのぼり始めた空を背景に、徒歩で真由利の部屋へと向かう。

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